ドラマ銀と金11話感想|細かい改変がことごとく失敗した蔵前麻雀




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ドラマ版「銀と金」11話の感想です。

第9話までで、企業御曹司である西条とのポーカー勝負が終わり、第10話からは一大コンツェルンの会長である蔵前仁との麻雀勝負に入ります。

ポーカー勝負の見どころは、「西条役」大東駿介の鬼気迫る演技でした。

ドラマ「銀と金」これまでの感想はこちら

第10話から始まる麻雀は、原作では「誠京麻雀」と呼ばれるものでした。

蔵前の経営する企業の名前が「誠京」だったからです。

ドラマでは「蔵前麻雀」と呼ばれています。

第11話から、本格的な蔵前麻雀が始まります。

あらすじはこちら。

蔵前麻雀のルールの確認もできます。

ドラマを1回見ただけではよく分からないと思うので、以下の引用からルールを何となく確認してみて下さい。

総資産6,000億円でギャンブルの怪物と言われる蔵前仁(柄本明)に、平井銀二(リリー・フランキー)とともに勝負を挑む森田鉄雄(池松壮亮)。
一ツモ100万円、さらに親はツモ代を倍々にアップできるという“蔵前麻雀”で、500億円を賭け、勝負に挑んでいた。
南四局の時点でトップに立つ森田は、このまま逃げ切り、これまでプールした供託金を総取りしようとしていたが…。
リーチをかけているのは蔵前と森田。この半荘、森田は勝利し、大金を手にすることはできるのか!?
出典:銀と金 amazon プライムビデオ

銀と金 amazon プライムビデオ

ネタバレ注意:まんが原作とドラマ版との違い

ドラマ「銀と金」第11話。

まんが原作とドラマ版の違いを簡単に比較し、その後、個人的な感想や評価を加えています。

あらすじや内容を含みますので、閲覧に注意してください。

 

最初の半荘

まんが:南1局でトップに立った森田。南3局で蔵前に振り込み、森田トップ(1000点差)で南4局(オーラス)に入る。

ドラマ:東1局で森田がハネ満ツモ。途中はすっ飛ばし、11話開始時点がすでにオーラス。

 

まんがでは南3局でトップを走る森田に対し、蔵前会長が直撃を取ります。

そしてオーラス。

ドラマではオーラスで蔵前に16,000点の圧倒的な差をつける森田。

蔵前が二度ヅモで和了牌をわざと見送り、森田へ送り込んできたという手法は、まんがもドラマも同じ。

 

まんが原作では、嫌な予感を森田は感じています。しかし考えすぎだと思い、切ったがロン。

しかしドラマ版の森田は特に疑うことなくロン牌を切ります。

ドラマでは、ここでの森田を「単なる間抜け」に改変したようです。改変意図は読めません。

原作通りにやるなら、たとえば森田が牌を切る寸前に、ちょっと止まって

「いや、待てよ…まさかな、、、」という3、4秒のシーンを追加すればいいだけですが、

それをなぜ行なわなかったのか? よくわかりません。

 

HELL EDGE ROAD(ヘルエッジロード)

まんが:蔵前が森田から直撃を取り、森田の1000点リードでオーラスを迎えたときに発するセリフ。

ドラマ:オーラスで蔵前が森田から直撃を取りトップで終了。2回目の半荘に行くときに発するセリフ

 

ここもまた微妙な改変が入っています。

半荘の初めにヘルエッジロードは、やや疑問。

なぜなら、第一回目の半荘の開始時にも、すでにヘルエッジロードです。

 

原作でのヘルエッジロードの文脈は、

「安全な状況に立っている状態」から、一気に

「もうどちらに勝負が転ぶかわからない状態」を指します。

 

確かに、半荘開始時点は「どちらに転ぶかわからない」ので、最初からヘルエッジロードです。

しかし、半荘開始時点は、まだアクセル・ペダルを踏むタイミングではありません。

オーラスで1000点差は、勝負を降りることのできない状況です。

半荘開始時は、全然降りてもいい状況です。

 

このあたり、ヘルエッジロードの解釈が、原作とドラマでは異なるようです。

まんが版ヘルエッジロード:どんなに場代が上がっても、降りられない状況

ドラマ版ヘルエッジロード:半荘に負けて、軍資金が減った状態での仕切り直し

 

こんな感じですかね。現時点で、たぶん日本で一番詳しい「ヘルエッジロード」分析論です。

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場代を釣り上げる蔵前

まんが:森田トップの1,000点差の状況で、場代を40億まで釣り上げる蔵前

ドラマ: 2回目の半荘の開始直後、東1局でで場代を40億まで釣り上げる蔵前

 

ここも改変。ちょっと、よく分からないですね。

「景気よくいこう」とかいって、東1局で40億もいきなり上げるのは、ちょっと意味不明

そんなにつぎ込んで、もしこの半荘、森田や銀二がたまたまトップを取っちゃったら、どうするつもりなのでしょうか?

供託金だけで500億を超え「森田銀二チームの勝ち」となってしまいます。

それじゃ蔵前会長、全然麻雀勝負を楽しめないじゃないですか。場代を無駄に引き上げる合理性がない。

 

また、森田も森田で、20億まで場代が釣り上げられているのに、降りずについていく必要が全くありません。

船田が外野から「ここで流れをもっていかれると辛い」「だから森田は降りないんだ」などと言っていました。

こんな非合理的なこと言ってるようではいつまでたっても勝てません。「流れ」って。

確かに、福本麻雀においては、「流れ」というか、確率や合理性を超えた何かに焦点が当てられていますが。。。(特に『アカギ』)

 

ちなみに、まんが原作では、蔵前が場代を吊り上げるのはオーラス。森田は1000点差ながらトップ。

トップである限り、降りる、つまり上がることを放棄するわけにはいきません。

森田は「おりられない」ということが逆に弱みになっています。

そこを蔵前はよく理解していて、場代をめちゃくちゃに釣り上げていくのです。

そして森田は、こんな「1ツモ20億というのは無謀」だと思いながら、降りられないのでギリギリの状況でツモを続けていきます。

ここで降りてしまっては、供託金が蔵前に流れてしまいますから。

 

それに対してドラマ。

東1局でちょっといい手が入ったからといって、ツモが20億になっても続行するというのは、ただの馬鹿です。

森田は西条とのポーカーで何を学んだのでしょうか?

フルハウスが入ったとき、森田はトイレで顔を洗って自省しました。

 

相手のイカサマを見破ってもないのに、カードに釣られて勝負してどうする! これじゃ良いカモだ!」(第8話)

 

さて、いい手に釣られて、蔵前の無茶苦茶な場代アップについていく森田。

改変の理由がよく分かりません。

 

一時休戦

まんが:半荘が2回終了したあと。

ドラマ:2回目の半荘、東1局を蔵前が上がった後

 

ドラマではとても中途半端なところで休戦。

 

原作では半荘が2回終了し、森田と銀二が2連敗したところで一時休戦になります。

森田が策を凝らそうが、良い手を張ろうが、ことごとく蔵前に上をいかれてしまう。そしてはめられてしまう。

森田は「勝てる気がしない」と絶望します。

そこでその様子を見かねた銀次が、一時休戦を申し入れるのです。

 

それに対してドラマ。

2回目の半荘、最初の局で蔵前に上がられ、森田が「気を失った」ところで一時休戦になります。

 

確かにまんがでは、蔵前マージャンは非常に盛りだくさんで、内容が濃い。

25分程度の放送時間では、とても全てのシーンを原作どおりに忠実な再現するのは難しいでしょう。

とはいえ、削った分のつなぎ方がいろいろとほころびが出ている。

このような印象を持たざるをえません。

 

今回の第11話の進行。

まんが原作を知らない人、蔵前麻雀の仕組みをよく理解していない人は、

かなり難しいストーリーになったのではないでしょうか?

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胸を刺す森田

まんが:胸を刺しているところに銀二が現れ、これからの作戦(爆薬)を伝授する。

ドラマ:自ら1人胸を刺し、その後銀二の部屋を訪ねる。そこで作戦(爆薬)を伝授される。

 

これはどちらでも良いですね。

しかし原作まんがを知っていると、何となく原作まんがの方が良い演出のように見えます。

というか、原作の方が銀二がより銀二っぽいという感じがします。

「人の心のスキをつく」銀二。森田がグッと胸に小刀を当てるところを見透かしたように現れる。

 

ナイフの扱い

まんが:勝負の再開の前、銀次からもらったナイフを腹に当て、サラシで固める。

ドラマ:特に言及されない。

原作まんがでは「勝負の際に刃物の冷たさを感じていたい」という森田の心理が描かれています。

これがのちの、「大三元に進むか、それとも手堅くいくか」という選択の際、

サラシで固めたナイフが一定の役割を果たします。

しかし、ドラマでは、森田は迷わず大三元に突き進むので、ナイフの冷たさを感じる必要がありませんでした。

 

森田の大三元

まんが・ドラマともに、おおむね同じ進行。

細かい違いを言えばキリがないですが、大体同じです。

 

柄本明の表情が曇るところ、鬼の形相になるところなど、素晴らしかったですね。

 

まとめ:細かい改変が非常に多いが、成功しているとは思えない

第11話は、原作コミックスでおよそ150ページに相当する盛りだくさんの内容でした。

それをいかに25分のドラマにするか、しかも実質は20分程度。

これは、相当の困難と取捨選択があったものと思われます。

 

物語の進行に関わる本質的なところは残し、不要なところはカットする。

しかし不要なところとはいえ、本質をより引き立たせるための詳細な描写。

単純に抜いてしまっては内容としては面白くない。

 

したがってカットしつつも、本質と本質をうまくつなげる改変が必要です。

別に第11話に限らず、今までもやっていたことです。

しかし、今回の第11話では、それがいまいちうまくいかなかったように思います。

 

その理由は、おそらく、今までの仕手戦、合唱、ポーカー。

これらの勝負より今回の蔵前麻雀のほうがはるかに内容が濃いからでしょう。

「改変しようにも改変が難しい。」

そんな印象を受けました。

 

しかしながら「べつに原作その通りにやればいいんじゃないの」

と思わざるを得ないようなシーンがいくつもあり、そこは疑問が残りました。

 

それにしても、柄本明の演技や表情は素晴らしいです。

 

次回が最終話です。

どのようになるか期待と不安を持って見つめていきたいと思います。

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