機械/横光利一あらすじと感想




横光利一『機械』(1930)

新感覚派の代表作家。

1930年(昭和5年)9月に雑誌「改造」に発表された短編小説。

31年白水社より刊行。

横光書記の新感覚派的手法から後年の心理主義的手法へと転換する契機となった作品。

 

あらすじ

ネームプレートを製作する町工場で働く人々の心理のもつれを「私」の目をとおして描いたもの。

登場人物

主人:町工場の主人。純粋無垢な善良さを持つ40過ぎの男。すぐお金を落とす。

私:語り手

軽部:工場の同僚・先輩。主人に気に入られる「私」をスパイだと考え、嫉妬・監視・攻撃する。

屋敷:私より後に入った新入職人。私にスパイだと疑われる。

主人公が曖昧。

 

相手の心理を推し量ることで自分もまた同じように量られるという心理の堂々巡りが、しだいに語り手の「私」を追い詰めていく。

自意識にとらわれて、思いがけない悲劇的な運命をたどってしまう。

文体、題材、主題などの新鮮さによって、発表当時小林秀雄をはじめとして評論家や読者を驚かせた。

『機械』以後は、横光利一は心理主義的手法をさらに推し進め、『寝園』『時間』などの作品を書き、さらに一転して『紋章』『家族会議』『旅愁』のような社会的広がりのある小説を書くようになった。