ドラマ版「銀と金」9話の感想です。
6話までで、画商中島とのセザンヌ「ジャドブッファンの眺め」をめぐる勝負が終わり、7話からは、企業御曹司である西条とのポーカー勝負。
第7話は、西条が女の子たちを食いものにしていくという悪行をみせしめるストーリーでした。
第8話から、森田対西条たちのポーカー勝負が始まります。
ポーカー勝負の進行・展開については、原作とドラマで大きな違いはありません。
8話のみどころは、西条役の大東駿介の鬼気迫る演技にあると個人的には感じました。
第9話は、西条と森田のポーカー勝負に決着が着きます。
掛け金が7億まで上がり、変則的ながら「降り」を宣言した西条。
違約金の1億をもって引き下がってくれという西条の提案に対して、森田はコール、7億勝負を選択します。
ポーカーでの森田の手は、役無し=ブタ。
しかも西条はイカサマによって、森田の手札が分かっています。
手札勝負になったら勝てるはずがないのに、なぜ森田は勝負をしたのか?
第9話は決着が語られます。
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ネタバレ注意:まんが原作とドラマ版との違い
まんが原作とドラマ版の違いを簡単に比較し、その後、個人的な感想や評価を加えています。
あらすじや内容を含みますので、閲覧に注意してください。
バーテンの手札確認
まんが:ガラス越しで確認。サインはグラスを伏せずにカウンターへ置く。
ドラマ:カメラ経由のノートパソコンで確認。サインはグラスを2つ並べて指で2を描くように触る。
このあたりは、90年代のまんがと、2017年のドラマの違いです。
しかしノートパソコンがイカサマの決定的な証拠になりかねませんね。
美緒(高月彩良)の動き
まんが:停電を予測し、心臓を高ぶらせるも、事態を静観
ドラマ:停電を予測し、自らブレーカーを切ろうと席を立つ
ドラマはまんがに比べて、女の子の活躍が目立ちます。ドラマとしても女性が映るシーンが長いほうがいいでしょうね。明らかに男性向けのドラマですし。
まんがの伊藤美緒は、森田の仲間がやると思っており、これまでずっと勝負を見守っていたのですから、ここでも静観のほうが自然ですね。
ドラマでの高月彩良は、ブレーカーに手を伸ばした寸前に西条に見抜かれ結局は行動を控えますが、突如勝手に動き出すという不自然さはあります。
ちなみにその後の美緒の独白、「西条は勝ちを確信して冷静さを取り戻している」という説明的なセリフは分かりやすくてGOODでした。
たばこをカードの上に置く西条
まんが:さいころの3の目のように、カードの上に3か所にたばこの葉を設置
ドラマ:1か所に多量に葉っぱを置く
まんがのほうが、何となく合理的のような気がしますが、どちらでもいいでしょうね。
西条の札
まんが:ツーペア
ドラマ:エースのスリーカード
なぜ変えたのか判然としませんが、おそらくツーペアでは地味だという判断でしょう。エースは見た目の問題でしょうか。エースは絵柄としては最強です。
ぐにゃあ~っ
まんが:どくん・・ぐにゃあ~っ
ドラマ:ひっ!
おそらく福本まんがで西条にしか使われない特殊な心理表現「どくん・・」「ぐにゃあ~っ」「ぐわ~」「わわ・・」が、ドラマでは生きませんでした。
なんとか表現してほしかったです。
イカサマ騒ぎ
まんがとドラマで大きな変更なし。
ドラマでは煙草の葉がまき散らされている痕跡があるのが、表現としていいですね。
取り乱す西条
まんが:テーブルにひじをつき、手で目をおおいながらうなだれる
ドラマ:いすから転げ落ち、床で取り乱す
ドラマのほうが、派手です。髪の毛をかきあげた西条(大東駿介)は、冷静でいたときと顔まで変わってしまって、大した役者です。
まゆげやおでこが見えているのと見えていないのとで、ここまで顔つきや与える印象が違うものなのかとわかる好例。
負けた額を軽くしたい西条
まんが:森田に直接頼もうとする
ドラマ:融資者の藤谷社長(阿修羅プロダクション)にすがりつく
この辺も、どちらが自然なのか判断付きかねます。ただ、その後に森田が西条をはげますシーンとの文脈を考慮すると、まんがのほうが自然であるようにも思えます。
ドラマだと、藤谷社長に土下座する西条に怒鳴りつける森田。たぶん原作見ていなかったら「なにキレながらおせっかいしてんだ」と思うかもしれません。
原作まんがでは森田はさわやかな印象を読者に与えますが、ドラマだと森田はどうしたちゃったのという印象が。
銀二との再会
まんが:森田が宿泊したホテルに銀二が訪れる
ドラマ:森田は巽のジャズバーに寝泊まりしており、そこに銀二が現れる
わざわざこの1シーンのためだけに、ホテルのセットを作るのは難しいのは分かります。
銀二の「不用心じゃないか」というセリフは原作にもありますが、ドラマではまことにその通りですね。
ちなみにここで森田(池松壮亮)のオールバックが解禁です。ついに森田鉄雄になりました。
蔵前仁のプロフィール
まんが:誠京グループの創始者。バブル期に不動産を買いあさり、資産を構築。
ドラマ:パチンコメーカー社長。欲望を種に巨額の金を稼ぐ男と説明。
ここから、ポーカー編が終了し、蔵前との麻雀勝負編に移行します。
蔵前仁のプロフィール設定を、実際に成立したカジノ法案とかこつけたのはよく考えられていると思います。ちょっと格が落ちますが。
また、蔵前や勝負の目的について、船田や安田が説明しています。
500億という勝負に対し(原作では400億)、原作では驚く森田に対して、銀二が「なーに、ちょっとつけば軽いもんよ、森田なら」と軽くいう場面がありますが、ドラマではそれはなし。
原作とドラマでの銀二のキャラクター設定の違いが浮き彫りになりますね。原作の銀二は妙に人当たりが良くて、その辺の若造とすぐ仲良くなるのですが、ドラマでは近寄りがたい印象になっています。
伊藤美緒とのその後
まんが:蔵前邸へ出発する前に、伊藤美緒が森田に「付き合ってほしい」と告白。
ドラマ:そのシーンは全てカット
別に必須ではないのでカットで構いませんが、高月彩良という優秀な女優をそのまま捨て置くのは惜しいですね。
ギャンブルに対する森田の考え
まんが:銀二が尋ね、「身投げ」のイメージと答える
ドラマ:そのシーンは一切なし
これも別に必須ではなく、演技やストーリーの中で伝えればよいものでしょう。
蔵前宅での案内係の執事袋井
まんが:袋井1名で対応
ドラマ:袋井に加えメイド2名
メイドは2人ともセリフがなく、9話の時点では設置の意図が全く意味がわかりません。
単に絵面ということか。「……にしては」という問題も。
ちなみに袋井の俳優は林泰文。メイド2名に関しては、キャストロールでも確認とれず。誰なんだ……。
既に麻雀勝負をしている西条
まんが:森田がすぐに気が付く
ドラマ:安田が気づき、森田へ伝える
この辺もよくわかりませんが、まあどちらでもいいです。
そんなことよりもっと重大なことがあります。
福本伸行じゃねえか!!!
原作者の出演。次回予告でも、森田たちの勝負に福本伸行は参加していますし、これは楽しみですね。
自分でルールを考案したゲームを、実際に第3者が用意してくれてプレイするとは、なかなか楽しそうですね。
目が良い人は、冒頭のキャストロールで福本伸行の存在に気が付いていたかもしれません。
まとめ 今後の展開には期待しかない
第9話は、またも大東駿介の演技力が光るストーリーになったという感想です。第10話でも登場しますし、破滅する西条を大東駿介はどう演じるのか注目ですね。
また、蔵前仁のキャスティングは、柄本明でした。
原作では、もっと妖怪のような、威厳も何もない怪物として描かれています。この点で、柄本明は妖怪感はありませんが、威厳がないのに不気味な感じはありますね。
蔵前との麻雀勝負が、ドラマ「銀と金」のクライマックスです。原作者福本伸行も登場し、いいキャスティングで楽しみです。