イリアス全24巻のあらすじを簡単に解説!主人公アキレウスの怒りがテーマ

ホメロスの名によって伝えられるギリシア最古にして最大の叙事詩

イリアスについてご紹介します

あらすじを簡単に!

 

面白さを3つにまとめて1分で話した動画です↓ (高等遊民が話してまっせ)

 

本当に岩波文庫で全2冊ある長い作品なのでこの記事ではサクッとあらすじだけご紹介します

 

高等遊民
結局あんまりサクッとしてません

 

下記クリックで好きな項目に移動

イーリアスのあらすじを簡単に! 第1巻が一番つらい

イリアスはすごく長い叙事詩です

しかしその中心には常にアキレウスの怒り。これがテーマです

イーリアスで描かれているのはトロイア戦争の10年の攻防のうちのわずか50日ばかりの間の出来事です

高等遊民
まさにスターウォーズですね
エピソード5の終わり方に近いかも(途中で終わる感がすごい)

イリアスは何の前置きもなしに突然ギリシア軍を襲う疫病の描写から始まります

そしてこれまた何の説明もなしに目まぐるしいほどの出来事や事件を語ります

第1巻が一番目まぐるしいんですよね
なので第1巻さえ乗り越えればイーリアスは読めます

 

一応主人公であるアキレウスは第2巻で姿を消して第9巻までは全く姿を現しません

そこでギリシア軍が劣勢になって

「こんな時にアキレウスがいたらなあ」

と登場人物たちや読者である私たちに思わせるのです

 

じゃ、全24巻のあらすじを簡単に紹介していきます!

実はこの記事でのあらすじ紹介には元ネタがあります

世界名著大事典という古い事典

高津春繁というギリシャ語学者がイリアスついての紹介をしているんですね

そのあらすじが実によくできているのでご紹介します

※原文をそのまま引用しているわけではなく私が適当にアレンジしてます

 

ホメロス イーリアスあらすじ

イーリアスは15693行の叙事詩

昔のパピルスの巻物で言うと全24巻に分けられています

イーアスの主題はその冒頭の句が示してるように怒りアキレウスの怒りです

主人公はアキレウスという戦士です

このアキレウスはゼウスとレダとの間に生まれた半神半人の英雄

約50日間の戦争を描いた物語です

 

第1巻の内容は疫病と怒り

イリアスはそのしょっぱなからわけわからない

途中から始まっているんです

疫病とアキレウスの怒りについて

アポロンの神官クリュセスは囚われの身となっている娘クリュセイスの身代金を持って娘を贖いにきます

クリュセイスを自分のものとしているアガメムノンに拒絶され復讐を誓います

クリュセスの復讐の願いを聞き届けたアポロンは疫病をギリシア軍に送ります

 

疫病が出て9日後

アキレウスは会議を開き預言者カルカスの言葉によって災いの原因がアガメムノンにあると知ります

そしてアキレウスはアガメムノンにクリュセイスの返還を要求しました

しかしアガメムノンはアキレウスに逆ギレ

アキレウスの愛する捕虜の娘ブリセイスを奪われてしまいます

そこでアキレウスは怒りのあまり戦いから身を引きます

 

翌日

アキレウスは母親である海の女神テティスと話をします

「母ちゃんアガメムノンがひどいよ」みたいなことです

テティスは息子が加えられた不名誉を償わせるために天上のゼウスにお願い事をします

ギリシア軍を敗北させて下さいと

ゼウスはそれに約束します

 

第2巻は夢とボイオティアの話

ゼウスはアガメムノンに「夢」を使者として送ります

そしてアガメムノンにギリシア軍が勝つかのような夢を見させて、だまします

夢から醒めたアガメムノンは戦争を決意します

しかしその前に自分の部下たちを試そうと思います

士気を高めるためですね

なので「俺は帰国することにした」とわざと反対のことを言うんです

部下たちはテルシテスに流されて帰国に賛成しますがそこで出てくるのがオデッセウス

テルシテスを杖でぶちのめして懲らしめ、部下を奮い立たせます

オデュッセウスは非常に頭がいい人物でアガメムノンの士気を高める狙いを見抜いていたのです

第3巻は誓い・城壁からの感染・メネラオスとパリスの一騎打ち

メネラオスとパリスの一騎打ちのためにギリシア軍とトロイア軍が一旦休戦します

ヘレネはトロイアの王プリアモスその他の長老と共に城壁上よりギリシア軍を眺めます

一騎打ちでパリスは危ういところをアフロディーテの女神に救われます

 

第4巻は誓いの破れ・アガメムノンの巡視

トロイアの将軍パンダロスは女神アテナに欺かれてメネラウスに矢を放ち、休戦を破ってしまいます

アガメムノンはそれに答えて軍勢を配備

両軍いよいよ戦いに臨むことになります

 

第5巻の内容はディオメデスの活躍です

ギリシア軍の将軍ディオメデスは奮戦してパンダロスを殺します

さらに神々さえも傷つけることに成功します

ディオメデス超強い

 

第6巻の内容はヘクトルとアンドロマケの出会いです

ディオメデスはトロイア軍のグラウコスとまさに一騎打ちで戦おうとした

しかしその時互いに父祖の代から付き合いがある家柄だとわかります

お互いの武具を交換して別れます

 

また、出陣を前にしてトロイヤーの総大将ヘクトルと幼い赤ん坊を抱いた妻アンドロマケーとが別れを惜しむ美しい場面があります

 

第7巻の内容はヘクトルとアイアスの一騎打ち・死体の収容

ヘクトルはギリシア軍に一騎打ちを申し込みます

そして豪傑の名で知られるアイアスがその相手となりますが引き分けとなります

 

また戦死者の埋葬の様子が描かれます

ギリシア軍は船の修理場壁を築きます

レムノス島よりぶどう酒の船が到着します

ギリシアの軍兵たちは酔いしれて浜辺に伏して眠ります

 

第8巻の内容は神々の争いの禁止

ゼウスは海の女神テティスとの約束を守るために神々に戦いに加わることを禁じます

さらにゼウスは、トロイアの奥地にあるイデの山頂に座りギリシア軍を敗走させます

ヘラとポセイドンとアテナが、ギリシア軍を助けようとしますがゼウスに阻止されます

トロイア軍はヘクトルに従って戦場に陣を設けます

 

第9巻の内容はアキレウスへの使いと願いです

アガメムノンは会議で再び軍を解散することを提案します

しかしディオメデスとネストルが反対します

アガメムノンがオデュッセウスとアイアスとポイニクスを使者に立ててアキレウスのもとに向かわせます

償いとして財宝と、まだ手のついていないプリセイスを返還します

そしてアガメムノンはアキレウスの許しを請います

が、アキレウスは拒絶します

ここで今まではアガメムノンの味方をしていた神様がアキレウスに乗り換えます

 

第10巻の内容はドロンの物語です

アガメムノンとメネラウスは将軍たちに堀で見張るように命じます

ディオメデスとオデュッセウスは夜の闇に紛れてトロイヤ軍の軍営に近づきます

そして敵のスパイであったドロンを殺します

トラキアの将軍レソスの陣営を不意に襲ってレソスを殺し、その馬を奪います

 

第11巻の内容はアガメムノンの活躍です

アガメムノンは勇敢に戦いますが負傷します

ディオメデスとオデュッセウスとマカオンといった将軍たちも相次いで手傷を負います

アキレウスの親友パトロクロスはアキレウスに遣わされ、ギリシア軍の状況を調べます

味方の敗北の様子を知りネストルは「アキレウス自身が戦闘に加わるか、その代わりにパトロクロスを差し向けるか」するように勧告します

 

第12巻の内容は城壁の戦いです

トロイア軍はギリシア側の陣営に押し寄せてきます

サルペドンは塔を破壊しヘクトルは門を破りトロイヤの軍勢が雪崩入ります

 

第13巻の内容は船の戦いです

ゼウスが一時トロイアの平原から目を背けている間にポセイドンがギリシア軍に援助をします

クレタの公爵イドメネオスの奮闘によってトロイア軍勢は乱れますがやがて勢力を取り戻します

 

第14巻の内容はゼウスが欺かれます

ゼウスの妃ヘラは愛の女神アフロディーテの愛の帯を借りてゼウスを誘いイデの山上でゼウスを眠らせます

その間ポセイドンはギリシア軍を励まします

一方、ヘクトルは手傷を負いトロヤの旗色が悪くなります

 

第15巻の内容はトロイア軍の押し返しです

ゼウスは眠りから目覚めてトロイヤ軍が負けそうになっているのことをに気づきます

そこでアポロンに命令をしてトロイア軍を助ける

トロヤ軍はそのおかげでギリシア軍の軍隊を破って船に近づきます

パトロクロスはアキレウスの元に戻ってギリシア軍を救ってくれとお願いします

アイアスは鳥のように船から船に飛び移って敵軍を防ぎますが、たった一人の力では及びませんでした

そしてヘクトルがギリシア軍の船に火を放ちます

 

第16巻の内容はパトロクロスの物語です

パトロクロスはアキレウスにお願いしてアキレウスの身代わりとなります

アキレウスの武具を身につけたパトロクロスはその戦車に乗って出陣して敵を打ち負かします

そしてさらに敵の将軍サルペドンを討伐することに成功します

がパトロクロスは深入りしすぎてアポロンの助けを得たヘクトルに討ち取られてしまいます

 

主人公はアキレスのはずなんですけどマジでアキレスは何もしません

 

第17巻の内容はメネラウスの活躍です

ヘクトルはパトロクロスの死体からアキレウスの鎧を剥ぎます

パトロクロスの死体をめぐって両軍が戦います

メネラオスは奮戦の末にパトロクロスの死体を取り戻し

ふたりのアイアスが追いすがる敵を退けるうちに、味方の陣営にパトロクロスを担ぎ帰ってきます

 

第18巻はアキレウスの鎧作りです

パトロクロスの死の知らせを聞いたアキレウスは嘆きの声

母親である女神テティスはアキレウスにヘクトールを討てば、自らもまた死ななくてはならぬ運命にあることを告げます

テティスは母親ですからもちろんアキレウスには死んでほしくないです

しかしアキレウスは聞き入れません

そこでテティスはやむなく火の神ヘパイストスに「アキレウスのために新しい武具を作ってもらう」ようにアキレウスの元を離れます

トロイヤ軍勢が押し寄せてきますがアキレウスの雄叫びの声に立ち留まり、平原に戦陣を張ります

ギリシア軍はパトロクロスの死体をアキレウスにもたらします

そしてアキレウスの新しい盾が描かれます

 

第19巻はアキレウスの怒りの解消です

第1巻からずっとアキレウスは怒っていたんですけど

全24巻のうちの第19巻になってやっと怒りを鎮めます

 

アガメムノン自分の過ちを認めてアキレウスに謝罪をします

ギリシア軍は出陣を前にして食事を取りますが

アキレウスはパトロクロスの仇を討つまではと何も口にしません

 

戦車に乗ったアキレウスに、クサントスという不死身の馬が人の声を発してアキレウスの死が迫ってることを予告します

 

第20巻は神々の戦いが描かれます

アキレウスの受けた辱めが償われてテティスとの約束が果たされたことを受け

ゼウスは諸々の神々に自由に戦闘に加わることを許します

 

ギリシア軍の味方をした神々は以下の通り

  1. ヘラ
  2. アテナ
  3. ポセイドン
  4. ヘルメス
  5. ヘファイトス

 

トロイア軍の味方をした神々は以下の通り

  1. アレス
  2. アポロン
  3. アルテミス
  4. アフロディーテ
  5. レト
  6. 河の神クサントス

 

トロイア軍の英雄アイネイアスがアキレウスに立ち向かいますが負けそうになりポセイドンに助けられます

またヘクトルもアキレウスに立ち向かいますがこれまた負けそうになりアポロに救われます

 

第21巻の内容は川岸の戦いが描かれます

アキレウスはトロイア軍勢を追い込みます

河の神クサントスは、トロイア人の死体で自分の河がふさがれたために洪水となって溢れでてアキレウスを圧し潰そうとします

しかしそこを火の神ヘパイストスに妨げられます

神々が再び入り乱れて戦う様子が描かれます

アポロンはアキレウスを欺きトロイヤ軍はようやく場内に逃げ込みます

 

第22巻はヘクトル討伐の物語です

ヘクトルは追いすがるアキレスを迎えるため、両親の願いにもかかわらず場外に止まります

しかしアキレウスが近づくや否や、ヘクトルは恐怖にとらわれて走り逃げてトロイアの町を3周します

 

天上の世界でゼウスはアキレスとヘクトルの運命を黄金の秤にかけます

そこでヘクトルの死が定められます

それまでヘクトルを見守っていたアポロンはヘクトルを見捨てます

しかしアテナはヘクトルを見捨てません

変身してヘクトルの兄弟でフォボスの姿を取ってヘクトルを励まします

 

しかしアキレウスはヘクトルを討ち取ります

ヘクトルが死ぬ間際にアキレウスに自分を埋葬してくれるようにお願いしますが、アキレウスはそれを拒みます

(アキレウスは拒んでばっか)

 

死体を戦車に結びつけて船へと引きずっていきます

ヘクトルの年老いた父親と母親とヘクトルの奥さんは城壁の上からこれを見て嘆きます

 

第23巻はパトロクロスの葬礼競技です

パトロクロスの霊が現れて埋葬を超えます

翌日、火葬壇が築かれ、多くの犠牲と共にパトロクロスの死体が焼かれます

12人のトロイアの若者が殺されて火の中に投げ込まれます

さらに盛大なパトロクロスの葬礼競技が行われます

 

第24巻はヘクトルのあがないです

アキレウスはパトロクロスを弔ったにもかかわらず嘆きを止めず眠ることも食べることもしません

毎日ヘクトルの死体を戦車に結びつけて、パトロクロスのお墓の塚の周囲を駆け巡ります

 

しかしアポロンがベクトルの死体を損傷から守ります

見かねたゼウスの命令によって、テティスはアキレウスにこの暴虐な行いをやめるように伝えます

 

一方イリスの女神はゼウスの使者としてプリアモス王の所に行き、ヘクトルの子を贖い受けるようにと伝えます

プリアモス王は夜の闇に紛れてヘルメス神に導かれつつ人知れず平原を横切り黄金を積んだ車を駆り、アキレウスの陣営を訪れます

アキレウスはプリアモス王を丁重に迎え入れます

ふたりは自分の不幸を語り合い、抱きあって涙を流します

夜明けにプリアモス王は、息子の死体をトロイヤに運び帰ります

プリアモス王の后ヘカベ、アンドロマケ、ヘレネたちは嘆き悲しみます

翌日彼らはヘクトルの葬礼を行います

 

まとめ イーリアスはkindleでなぜか無料で読めます

イーリアスのあらすじを、ざっくり、まとめました

 

抜き書きっぽくて読みにくいところもありますが、参考までに。

 

そしてイーリアスの昔の翻訳が、kindle unlimitedで無料で読めます

土井晩翠は読みにくいかもですが、呉茂一訳はいまも名訳との評判が高いです

岩波文庫も、上下巻そろえると2000円以上しますからね・・・

ぜひ、呉茂一訳を読んでみてください!

 

呉茂一訳(松平千秋訳以前の定番翻訳)

土井晩翠訳(五七調で訳されてます)

 
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高等遊民のnoteの紹介

 

noteにて、哲学の勉強法を公開しています。

 

現在は1つのノートと1つのマガジン。

 

1.【高等遊民の哲学入門】哲学初心者が挫折なしに大学2年分の知識を身につける5つの手順

2. 【マガジン】プラトン『国家』の要約(全10冊)

 

1は「哲学に興味があって勉強したい。でも、どこから手を付ければいいのかな……」という方のために書きました。

5つの手順は「絶対挫折しようがない入門書」から始めて、書かれている作業をこなしていくだけ。

3か月ほどで誰でも哲学科2年生レベル(ゼミの購読で困らないレベル)の知識が身につきます。

3か月というのは、非常に長く見積もった目安です。1日1時間ほど時間が取れれば、1ヶ月くらいで十分にすべてのステップを終えることができるでしょう。

ちなみに15000文字ほどですが、ほとんどスマホの音声入力で書きました。

かなり難しい哲学の内容でも、音声入力で話して書けます。

音声入力を使いこなしたい方の参考にもなると思います。

 

2はプラトンの主著『国家』の要約です。
原型は10年前に作成した私の個人的なノートですが、今読んでも十分に役に立ちます。
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