2016年おおみそか、ガッキーが?
NHK紅白歌合戦で?
恋ダンスを恥ずかしがりながらも踊ってくれました。
逃げ恥のひらまさ役の星野源さんが歌っているのだから、
みくり役の新垣結衣さんが恋ダンスをしてくれるでしょ!
そう期待した人たちは多いですね~~~
というか日本中のほとんどすべての人が期待していたことでしょう。
しかしTwitterをはじめとして一部で「これは恋ダンスの搾取ではないか?」という声があがっていました。
紅白見てる人「ガッキー恋ダンス一緒踊ってくれなかった…踊って欲しかった!」
ガッキー「それは恋ダンス搾取です。」 pic.twitter.com/FVry8wdcML— はるるん。 (@harurun_qu) 2016年12月31日
紅白で恥じらいながら恋ダンスの振りをするガッキーは可愛かったが、あの振りに正当なギャラは支払われているのか疑問だ。みくりさんなら「それはお祭り気分の搾取です。私、森山みくりは、お祭り気分の搾取に、断固反対します!」って言うのではないか。と、早朝なんとなく目覚めてふと思った。
— Yuji Takenoshita (@yujitakenoshita) 2017年1月9日
【紅白】ガッキー、大照れで紅白「恋ダンス」…「カメラ来たらやるしかない」https://t.co/5mlMIaChAT
契約外・・・というか、「出演者への搾取です!」とみくりさんに言われそう・・・。(;´Д`)
— Cue of A (@cueofa) 2017年1月1日
ああそうか…
「共演者だからガッキーも踊ってくれるだろう」「紅白という大舞台だからやってくれるだろう」なんて考えは、みくりが指摘していた、好き
搾取、親切の搾取だな!— なつめ (@natumerisu) 2016年12月31日
紅白でガッキーに恋ダンスを求めるのは、搾取です。うん。
— ららこ (@skbnbn) 2016年12月31日
なるほどなるほど
- 出演者への搾取
- ガッキーの搾取
- 恋ダンスの搾取
いろんな形で、搾取が指摘されました。
わたしは当時、このようにツイートしました。
みんな、紅白のガッキーは「恋ダンスの搾取」ではない……! 「みくりの搾取」なんだ……!
— Master Neeton@哲学の高等遊民 (@MNeeton) 2016年12月31日
ほほう、みくりの搾取か。
いったい、どういうことなのでしょうか(←自分も忘れてる)
たぶん搾取について分かりやすく解説してたはずです
どうぞご覧ください。
下記クリックで好きな項目に移動
ガッキー紅白での「恋ダンスの搾取」とは?
↑これ、著作権的にはアカンやつなので、苦情が来ましたら削除いたします、が、かわいすぎる……もう少し見ていたい……
「搾取」というのは、逃げ恥のドラマ内で、事あるごとにみくりが口にしていた言葉です。
- 商店街の要請に対して「私、森山みくりは、やりがいの搾取に断固反対します!」
- ひらまさに対しても「私、森山みくりは、愛情の搾取に断固反対します!」
そんなみくりの姿はドラマを観ていた人であれば誰でも覚えています。
【みくりの名言「愛情の搾取」に大反響】結婚や夫婦関係に一石投じる https://t.co/gdLeAOffbT 商店街で「やりがい搾取」心理みくり作動!「ラストは妻を都合のいい家政婦だと思ってる夫たち、夫をATMだと思ってる妻たちへの160km/hストレート」なるほど。#逃げ恥 pic.twitter.com/VJz2zhwwXr
— わび@さび (@think_literacy) 2016年12月14日
これこれ。
さて、2016年大みそかの紅白歌合戦
星野源さんが歌ったのはもちろん逃げ恥のエンディングテーマ『恋』でした。
2018年は朝ドラ「半分青い」で「アイデア」という曲が流れてますね。あれも悪くない。イントロなんなの。星野源のイントロなんなの? 「耳にいつまでも残って鳴り続けるハラスメント」とかないんですか(ほめてます)
星野源さんが歌っていたとき、まあカメラがガッキーのほうに寄るわ寄るわ(笑)
星野源さんのほうも「日本の皆さん、踊ってますかー!?」なんて盛り上げている
だから、否が応でもガッキーへの期待が高まります。
ガッキーはなかなか踊りませんでした。
が、最後の最後で、少しだけ踊ってくれました。
これに視聴者もNHKも大満足したという、てん末でした。
しかし上記のように「搾取」に敏感だったみくり=ガッキー
紅白歌合戦でいやいやながらも(?)恋ダンスをした姿を見て、
一部のファンは「これは恋ダンスの搾取だ!」とツイートしたのです。
搾取の意味は? 哲学用語での正しい定義とは?
ところで「搾取」とは何でしょうか。
「やりがい搾取」
「愛情搾取」
何となくニュアンスは分かるので既に世間に浸透している言葉です。
でももともとは主にマルクス・エンゲルスが提示した哲学・経済学の用語でした。
だれ!
これ!
マルクス
エンゲルス
搾取をごく簡単に説明してみます。
資本主義社会では、労働者は自らの労働力を商品として資本家に売ります。
要するに、会社に雇われて働くということです。
そして労働者とは、弱い立場です
なぜかというと、「どこかに雇われないと生活ができない」から。
働かなくても生活できたらだれが働くか!!!
— アニメで英単語 (@Puku_Pukuro_) 2018年5月11日
ってことで、労働者は、どうしても雇い主よりも立場が弱くなりますね。
つまり、対等な条件で労働契約を結ぶことが不可能なのです。
そもそも論で!
なんでかっていうと、企業側は、労働者が働いた結果生み出してくれた労働の価値を、対価として労働者に全額支払うことはありません。
つまり「深夜のコンビニワンオペバイトで、ちょっと陳列工夫して、3万円利益上がった」としますよね
だからといって、あなたにその3万円が支払われることはないです。時給も変わらんです。800円。いま東京は950円くらいか
まあこれは当然といえば当然
利益を100%労働者に渡してしまっては、会社として成長できないからです。
要するに、余った利益を会社は更なる利益拡大のために投資するのです。
【具体例1】搾取の意味を分かりやすく
単純な例ですと、あなたが投資銀行マンみたいな感じで100万円の元手で当月50万円もうかったとします。
全部で150万円ですね、そのうち
- 労働者には30万円渡す
- 会社には20万とっておく
- 翌月は120万円の元手で事業を展開する
ということです。
そうすると同じ条件下であれば、翌月は60万円の利益が見込めますね。
+10万円儲かるわけです(これを複利といいます)
50万円もうけた労働者に、その50万円が支払われることはありえないのです。
以上は搾取の一例です。
現代での搾取のイメージはこんな感じでしょうか。
【具体例2】搾取の意味を分かりやすく
実はもう一つ例があり、マルクスらの文脈ではこちらのほうがふさわしいかもしれません。
(といってもよく読めば同じことの裏返しです。)
それは、労働の対価として労働者が受け取るべき金額以上に、企業が労働者を働かせるという場合です。
要するに、「給料以上に働かせる」ってことです!!
たとえば時給800円のコンビニバイト。深夜ワンオペ!!
1時間に800円分の労働をすることが単純な対価となりますよね。うん、800円以上働いてたまるか
例えば30分で800円の利益が出るまで売れたら、あとの30分は働く必要がない。
ない、といえば、ないです。企業にも迷惑かかってません。だって給料泥棒ではないからね。800円は稼いだから
でも、もちろん雇い主はそんなこと許しません。
つまり、雇い主は労働者に時給800円以上の労働を当然のように求めているのです。
大事でも絶対にテストに出ませんよ~、マルクス主義や労働・搾取が学校で教えられることはありえません
- どんなに一生懸命働いても800円。
- 適当にさぼっても800円。
ええ、絶対そうですよ。絶対に。
だから、そりゃさぼりたい
ですが、さぼったらクビです。
労働者はクビになったら生活できない弱い立場なので、一生懸命働かざるを得ません。
ああ~~、働かないでよかった~~~!!!!
地球に生まれてよかったーーーーーぁ! pic.twitter.com/esHaAaoVBW
— 武田=R=信玄@ガンオン熱再来 (@Singen_notos) 2018年6月12日
この辺から上記の「やりがい搾取」が生れてくる構図も見えてきませんか?
「やりがいを求める」とは、労働者に一生懸命働いてもらうための論理なのです。
これは労働者側も、
「やりがいのない仕事よりも、やりがいのある仕事をしたい」
と思ってるだけに、タチの悪い論理に仕上がっています。
搾取によって生まれる独占資本主義社会
マルクスはこの搾取を非常に問題視しました。ありがとうマルクス、あなただけだよそんな優しい人は
資本家は、商品を売って利益を出すことを目的に事業を展開します。
→事業始める人は、お金儲けが目的です
その商品の主な買い手(消費者)は、労働者です。
しかし労働者は搾取によって所得を低く抑えられています。(時給800円)
そうすると消費が縮小し、商品が売れず、資本家がもうかりません。(だって金ないから)
すると資本家は、利益を最大化するためにコストカットを行います。(いわゆる経費削減。バカですね)
さらに労働力を安く買いたたき、また商品の質を下げていきます。(時給が下がる。ボーナス減る)
こうしてさらに労働者の所得が低くなる・・・要するにデフレスパイラルです。
こうして商品の売れない、力の弱い資本家は破産し、労働者は失業者となります。(=中小企業が倒産する)
そしてより大きな資本家のもとに、その資本および労働力を吸収されていきます。(=商店街が潰れて、大型ショッピングモールができる)
これを「資本の集中」といいます。
資本の集中が続けば、少数の強力な資本家が残ることになり、独占が生まれます。
このような独占資本主義は、20世紀の初頭にはじめて誕生しました。
こうして社会主義運動が急速に発展していく歴史が見えてくることになります。
おわりに:紅白でのガッキーの恋ダンスは搾取だったか?
さて、「搾取」という言葉のルーツをめぐり、哲学や経済学や歴史の流れをさらっと見ていきました。
ここで本来のテーマに戻りましょう。なんだっけ
紅白のガッキーに要請された恋ダンスは、果たして搾取だったのか?
おお、重要!
考えてみたいと思います。
ちなみに上の「要請」という言葉は「カメラがガッキーに近寄る」といった無言の圧力のことですね。
ガッキーは本来、ゲスト審査員として紅白に出演しています。
そこでガッキーが提供すべき労働とは「審査をすること」です。
歌を聞いてコメントを述べたりということですね。ガッキーかわいい
「恋ダンス」をすることは、提供すべき労働としては入っていないことになります。
もしもガッキーが星野源さんと同時にステージに立つという出演内容であれば?
その場合は、ガッキーは「恋ダンス」を労働として提供すべきです
でも実際は、審査員なので違います。
つまり、かなり思い切って言いますと、
- 恋ダンスやみくりという役柄
- 紅白ゲスト審査員ガッキー
この両者はある意味で「無関係」なのです。
もちろん逃げ恥があったからこそのゲスト出演です
が、厳密にいえばゲスト審査員ガッキーと逃げ恥ヒロイン森山みくりは無関係です。
その無関係な「恋ダンス」や「みくりとしての役割」を要請されたガッキーはまさに「恋ダンスの搾取」「みくりの搾取」を受けていると言うことができます。
みくりを見せてくれよ!
恋ダンスを見せてくれよ!
っていう。
- 脱~げっ、脱~げっ
- 一気、一気
と変わらないです。
搾取とは逃げ恥でも取り上げられていただけあって、現代日本でもいまなお社会問題になっています。
この記事が、搾取について考えるきっかけになれば幸いです。
以下は「やりがい搾取」について詳しく考えた関連記事です。
逃げ恥のやりがい搾取を知れば就活は金に汚くていいことがわかる
逃げ恥観たいね
マルクス・エンゲルス 共産党宣言 (岩波文庫)
マルクス,エンゲルス 岩波書店 1971-01
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