エルの神話について、ご紹介します
これ、手書きメモ画像です↓
プラトン『国家』第10巻のエルの神話(エルの物語)を手書きノートでまとめてみました
一番伝えたいのは 次に生まれ変わる生涯はランダムじゃなくて、自分で選べるということです
何にだってなれる
なのにこれまでの環境に左右されて 、流されて選んでしまうという悲しい宿命を描いているのです pic.twitter.com/KoF07blZpJ
— Master Neeton@哲学の高等遊民 (@MNeeton) 2018年6月28日
で、これをもとに、話してみました。
音声データがこちらです(容量は2.3mbくらい)
6分半ほどありますが、音声データを聴くと
笑いながら、楽しそうに、哲学の話をする変人の生態が分かります。
以下は文字起こしです(完全一致ではないです)
こんにちは高等遊民です
プラトン国家第10巻に出てくるエルの神話についてご紹介します
あの世のお話です
現代の21世紀から見たらくだらない物語だと思われるかもしれないです
けど実はめちゃくちゃ私たちの今現在の実生活に関わってることだよ
というお話をしたいと思います
下記クリックで好きな項目に移動
プラトン国家のテーマは正義
プラトン国家のテーマは、正義についてです
正直者の人生は、不正がバレない人生よりもどう考えても損
ですけどソクラテスは反対
不正が絶対バレない人生よりも、正義の人生のほうが絶対に得
とふざけたことをいうので、それを証明してみろよ!
みたいな感じで国家の長いお話が始まります
その結論が全部出た後に、最後にこのエルの物語が語られます
エルは戦死した軍人。あの世に1週間滞在して生き返る話
エルっていうのは軍人・戦士です
このエルが、戦争中に戦死してしまうんです
その時に死後の世界を見てくる
1週間したら生き返るっていう話です
で、エルが見たところによると、人間は死んだら閻魔様みたいなところに行きます
今までの人生の結果から判定されて、天国か地獄へ振り分けられる
これは普通のよくある話ですよね
1000年間天国か地獄で過ごして、その後地上に生まれ変わる
どのくらいの期間、天国や地獄に行くかというと1,000年間です。長いですよね。
で1000年終わる
天国なら上から降りてきて
地獄だと下から上がってきて
ってなってる時に呼び出されます
「次の人生を選びなさい」と言われるんです
水晶玉みたいな、泡みたいなのがいくつもあります
こんな感じ?
いくつも人生・生涯が映ってるから、これからどれでも好きなものを選んでいいですよ
ただし、あなたたちの選択だから。
私たち文句言わないでくださいね。
しっかりあの世の人が言ってます
皆どうしようどうしようって悩んで、
とりあえず選択して、
地上にまた生まれ変わっていくみたいな話です
みんな天国と地獄を行ったり来たりする
プラトンが語ってる面白いところは、
- 天国から来た人はだいたい次は地獄に行く
- 地獄から来た人はだいたい次は天国に行く
と言ってるんですよ。
それを一生繰り返す(笑)
なんでかっていうと天国では、1000年間も、やわな、安楽な生活してるからなんです
ディズニーピクサーの「ウォーリー」の話にエルの神話は似てる
あのディズニーピクサーの映画でウォーリーという作品があります
見た人は思い出ししてほしいですが、ロボットがゴミだらけの地球を掃除してますね
人間は宇宙で安楽いすに座って、太って、なんもしなくていい生活送ってるんです。
これが、エルの神話の天国みたいなイメージですね
そういう人はもう、判断力も鈍くなってるんです
だから水晶玉を目の前にして
「王様として生まれますよ」みたいな人生を見つけると、飛びつく
みたいな感じなんですけど
実はよく見ると、クーデターが起きて、王は奴隷として売られてひどい人生を送る
そんな感じの人生だった~とかですね
反対に地獄から来た人は苦労してるから、慎重なんですよ
あまり派手さは無いけど、実直な暮らし
農園の管理者とか、農夫とか、そういう平凡というか、、、
「いいこともそこまでないけど、悪いこともない暮らし」を選びます
で、次は天国に行けるようになる
ただし、その人も、また天国で1000年間すごすと、すっかり調子に乗っちゃって、次は地獄行きの生涯を選ぶっていう(笑)
永久ループをするんです
皮肉屋プラトン真骨頂みたいな感じなんです
哲学を学ぶ意義は「環境に流されず、常に正しい選択ができるようになるため」
これでプラトン爆笑、ぼくらも爆笑で終わればいいんですけど
一生くりかえすなら、どうすればいいんだ、という話。
常に、正しい選択ができるようになろう
そのために哲学を学ぼう
みたいな話になります
と思うかもしれないですけど、実は結構重要なんじゃないかと高等遊民は思っております
エルの神話は現代人にも役に立つ実践哲学
この環境とか
それまでの習慣
に流されて選択しちゃうことって、実生活でも普通に起こってることだと思うんですよ
例えば
朝、起きたくないですよね?
なぜなら、「今まで寝てたから」
「あ~起きるのツライわ~」ってなるわけですけど
これって完全に意志の力が習慣に負けているわけですよ
マルクスアウレリウスでさえ負けるんですよ
参考:【早起きがツライ】これを読んで目を覚ませ!哲学者たちのエピソード
こうしたちょっとしたことを含めたら、私たち実生活で1日に何十回も、環境に左右されながら判断を迫られるんです
そのときに正しい選択が出来ているのか?
ということを振り返ってみると、どうでしょう?
- 「エルの神話」を読み直す意味
- 今現在の私たちが読む意義
も浮かび上がってきます!
エルの神話は極めて実践的な哲学の話です
これと全く同じ事が今現在に生きている私たちの生活で起こってる
自己決定、選択の場面で
自分で判断しているつもりなのに
私たちはこれまでの習慣や環境に流されていて、実は間違った選択をし続けてしまっているかもしれないと考えると実践的な哲学として役に立つと思います
— Master Neeton@哲学の高等遊民 (@MNeeton) 2018年6月28日
まとめ:哲学は役に立つかどうかは読み方次第
99%の人は、エルの神話を読んで、こんな感想です
「21世紀じゃ通用しない、バカ話だよね」
これで終わらせちゃうんですけど、もったいない
哲学を役に立てましょう
哲学を役に立てるっていう意味ではですね、
「自分の生活に当てはめて考えてみる」という解釈をしてみる
そしたら、はるかに哲学を学ぶ意義が出てくるんじゃないかと思います
以上がエルの神話について、高等遊民ご紹介でした
プラトン国家、ぜひ手に取って読んでみてくださいね
岩波文庫の下巻です
第10巻の、後半
10~20ページくらいですから、図書館なり、本屋さんなりで、ぜひ手に取って読んでみてくださいね
ついにkindle版もきた!!