洋書おすすめ小説は?面白い本格古典で絶対挫折しない1冊




 

これは洋書・ペーパーバックに挫折し続ける人々への福音である。

タイトルで煽っていないで、早く本題に入ろう。おすすめするのはたった一つ。

 

リライト一切なしの本格英文学

英文学史の教科書に必ず載っている本格派の作品。大作家の代表作。知らない人間はいないくらい有名。

薄い。短い。おもしろい。超簡単。難しい単語などめったに出てこない。

 

そのうえ学習者向けのリライト、一切なし。リライトされている小説を読む気にならない人にもおすすめ。

電子書籍になってるかって? それどころかネット上のそこら中に落ちている。無料。

本が欲しい人はアマゾンなり、紀伊国屋なりに置いてある。

 

教えよう。

 

オスカー・ワイルド『サロメ』。

 

どこでも読める。たとえばここ。Salome – Salomé by Oscar Wilde

 

もうこのリンクをたどって確かめてくれれば十分だけれども、内容をチラ見せ。

 

『サロメ』の英語がどれほど簡単か見てみる

サロメは、新約聖書の登場人物で、当時イスラエルのあたりは古代ローマ帝国の属州だった。サロメは、その属州と統括する領主の娘。

彼女を主人公に、ワイルドが一幕の戯曲として執筆したものが『サロメ』。ビアズリーの絵も有名。

 

さて、では実際に本文を、上記のリンクから引っ張ってみる。

 

最初のセリフ

THE YOUNG SYRIAN

How beautiful is the Princess Salome to-night!

はい、簡単でしょう。ただの感嘆文なので、中学1年生の終わりには読めますね。SYRIANはシリア人と考えておけばいいでしょう。

次のセリフ。

THE PAGE OF HERODIAS

Look at the moon. How strange the moon seems! She is like a woman rising from a tomb.

She is like a dead woman. One might fancy she was looking for dead things.

いったん落ち着こう。あわてる必要はない。大丈夫だ、難しくない。

まずPAGEは召使みたいなもんだ。HERODIASは人名。王妃みたいなもんだ。

Look at the moon. はいいだろう。 How strange the moon seems! も大丈夫だろう。さっきの感嘆文と全く同じ構造だ。seems は is に置き換えられる。

She is like a woman rising from a tomb. これも文法的に分からないということはないだろう。

まずShe が指すものは moon。Salomeじゃない。このへんがワイルドの巧みな表現だ。大丈夫だ。

tomb は「トゥームレイダー」のtombだ。tomb stone blues のtombだ。「墓」だ。「墓から rising」。

「なんて奇妙な月だろうか。まるで墓から起き上がってきた女のようだ。」 こんな感じで全然難しくない。

 

One might fancy she was looking for dead things. fancyが動詞で使われている。こういうところで辞書を引く。look for はもちろん「探す」

 

え、挫折しそう? 大丈夫、またすぐこんな感じだ。

FIRST SOLDIER

The Tetrarch has a sombre aspect.

SECOND SOLDIER

Yes; he has a sombre aspect.

FIRST SOLDIER

He is looking at something.

SECOND SOLDIER

He is looking at some one.

FIRST SOLDIER

At whom is he looking?

SECOND SOLDIER

I cannot tell.

Tetrarch は領主のこと。全然難しくないでしょう。これは現代のリライト一切なし。当時のままだ。

簡単だから挫折しない、しかも高級な文学

ペーパーバックを読んでいると、一文につき辞書を何度も引かなければならず、引いている間に、文脈も忘れてしまい、全体の意味がよく分からなくなる。

そういうのが挫折の原因だ。だからペーパーバックは、辞書をそれほど引かなくてもいいくらいの難易度のを選ぶのがいいとされている。

さて、上記の会話のくだりで、辞書を引かなければならないのは、たった2つだろう。Tetrarch はさっきも言ったとおり「領主」。

あとひとつは sombre だろう。これは辞書を引いてみよう。

そうするとおそらく「暗い」とか「陰鬱な」という意味だ。それが分かれば aspect も自ずと了解されてくるだろう。「暗い表情をしている」くらいの見当はつくはずだ。

あとは全然OKだろう。これほど簡単な文なら、tell が understand 的な意味だというのも、いちいち辞書引かなくても分かってくるだろう。

 

こんな調子で、簡単で短いせりふが続くし、時々長いセリフも出てくるが、それは大抵繰り返しや対句で、苦もなく読める。

ローマ時代や聖書の用語が時々出てくるのと、あとはワイルド特有の多彩な比喩が出てくるくらいで、19世紀末の一級作品が、リライトなしで読める。

ちなみにワイルドは『サロメ』をフランス語で書いたが、友人が即座に翻訳したのがこの英語版だ。

フランス語でも簡単だから、フランス語の勉強している人にもすすめられる。

今回は具体的な作品のおすすめでした。

「もっと全体的に洋書を選ぶコツを知りたい!」

という方は、良かったらこちらもご覧ください。

(関連記事)【英語の勉強で洋書を読む】買って後悔しない!選び方の5つのコツ

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