洋書おすすめ小説は?面白い本格古典で絶対挫折しない1冊

洋書で英語の勉強したい人に、超おすすめの1冊があります!

それはオスカー・ワイルド『サロメ』です。

英語の勉強にぴったり! リライト一切なしの本格英文学

英文学史の教科書に必ず載っている本格派の作品です。

大作家ワイルドの代表作。知らない人間はいないくらい有名です。

特徴?

  1. 薄い。
  2. 短い。
  3. おもしろい。

もう読んでみたくて仕方がないですね。

英語も超簡単です。
難しい単語などめったに出てきませんよ。

 

「リライトとかじゃなくて?」

違います!
学習者向けのリライト、一切なしです。

「リライトされている小説ってなんかなあ」
「せっかくなら原書に挑戦したいよなあ」

と、リライトペーパーバックを読む気にならないあなたにも、超おすすめですよ!

英語版はたとえばここ。
Salome – Salomé by Oscar Wilde

内容を簡単に紹介しますね。

いかに簡単な英語を使っているかわかると思います。

 

『サロメ』の英語は超簡単! 挫折しないペーパーバック小説!

そもそもサロメってどんな話?

サロメとは、新約聖書の登場人物のお姫様です。

舞台は、新約聖書ですからイスラエルのあたり。
その頃は、古代ローマ帝国の属州でした。

サロメは、その属州と統括する領主の娘です。

彼女を主人公に、ワイルドが一幕の戯曲として執筆したものが『サロメ』なのです。

ビアズリーの絵も有名ですね。

 

さて、では実際に本文を、上記のリンクから引っ張ってみましょう。

最初のセリフ

THE YOUNG SYRIAN

How beautiful is the Princess Salome to-night!

はい、簡単でしょう?

書き出しでこんなに簡単なら、勇気と希望を与えてくれそうですね!

これは文法的には本当にただの感嘆文。
なので、中学1年生の終わりには読めますね。

SYRIANはシリア人です。

次のセリフもいってみましょう。

THE PAGE OF HERODIAS

Look at the moon. How strange the moon seems! She is like a woman rising from a tomb.

She is like a dead woman. One might fancy she was looking for dead things.

あらら? ちょっと難しい?

大丈夫です!

まずPAGEは召使という意味です。
HERODIASは人名。王妃、サロメの母親の名前です。

Look at the moon. はそのまんまですね。舞台は宮殿のベランダです。

How strange the moon seems! も、さっきの感嘆文と全く同じ構造です。

seems は is に置き換えられます。「なんて変な感じの月なんだろう!」

She is like a woman rising from a tomb.

文法的に分かるけど、内容がよく分からないですね。

まずShe が指すものは moonです。
Salomeじゃないです。
ちなみに、このへんがワイルドの巧みな表現なんです(読めば分かります。月とサロメがsheという単語で同化するんです。)

tomb は「お墓」
「トゥームレイダー」のtombですね。
ボブディランの”tomb stone blues”という曲のtombですね。
「墓から rising」です。

「なんて奇妙な月だろうか。まるで墓から起き上がってきた女のようだ。」

こんな感じですね。文法や単語で難しいことは、本当にないと思います。

 

次の文章。

One might fancy she was looking for dead things.

fancyが動詞で使われていますね。
こういうところは辞書を引くと良いですね。「~だと思う」的な意味になります。
look for は「探す」です。

「(月は)まるで、しんだものを探しているようだ」という訳になります。

 

「なんかムズくない?」

え、挫折しそう?

大丈夫です。またすぐ簡単に戻ります。

FIRST SOLDIER

The Tetrarch has a sombre aspect.

SECOND SOLDIER

Yes; he has a sombre aspect.

FIRST SOLDIER

He is looking at something.

SECOND SOLDIER

He is looking at some one.

FIRST SOLDIER

At whom is he looking?

SECOND SOLDIER

I cannot tell.

めちゃめちゃ簡単ですよね。
Tetrarch は領主のことです。

これ、現代のリライト一切なしですよ。
中学生でも読めますよね。

洋書を読もうとして挫折する理由が『サロメ』にはない

洋書を読む時、挫折する原因ってなんでしょうか?

たとえば、ペーパーバックを読んでいると、

一文につき辞書を何度も引かなければならない。
引いている間に、文脈も忘れてしまう。
辞書を調べたけど、文全体の意味がよく分からない。

こんな「あるある」ないですか?

だからペーパーバックの選び方としては、

「辞書をそれほど引かなくてもいいくらいの難易度」

これくらいがちょうどいいと言われています。

さて、上記の会話のくだりを振り返ると、辞書を引かなければならないのは、たった2つくらいです。

Tetrarch は「領主」。
あとひとつは sombre でしょうね。

これは辞書を引いてみると、「暗い」「陰鬱な」という意味です。

それが分かれば aspect と合わせて「暗い表情をしている」みたいな感じですね。

tell も understand 的な意味です。

 

こんな調子で、簡単で短いせりふが続くし、時々長いセリフも出てきます。
が、それは大抵繰り返しや対句で、苦もなく読めます。

ローマ時代や聖書の用語が時々出てくるのと、あとはワイルド特有の多彩な比喩が出てくるくらい。
19世紀末の一級作品が、リライトなしで読めます。

ちなみにワイルドは『サロメ』をフランス語で書きました。
それをワイルドの友人が即座に翻訳したのが、この英語版です。

フランス語でも簡単です。
フランス語の勉強している人にもおすすめですよ。

 

サロメは「累(かさね)」というまんがでも取り上げられてます

2018年に土屋太鳳と芳根京子の主演で実写映画化しました。

これも非常に面白いので、おすすめですよ

映画。累(かさね)の登場人物は?相関図からキャストを一覧まとめ

【映画】累(かさね)の結末ネタバレ。あらすじと感想。原作まんがとの違い。面白いかつまらないか評価は?


今回は具体的な作品のおすすめでした。

「もっと全体的に洋書を選ぶコツを知りたい!」

という方は、良かったらこちらもご覧ください。

(関連記事)【英語の勉強で洋書を読む】買って後悔しない!選び方の5つのコツ

おすすめの翻訳は、光文社古典新訳文庫です。
注釈と解説が豊富で、聖書やローマ時代の、なじみのない言葉や概念を詳しく説明してくれています。

オスカーワイルド『サロメ』

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高等遊民のnoteの紹介

 

noteにて、哲学の勉強法を公開しています。

 

現在は1つのノートと1つのマガジン。

 

1.【高等遊民の哲学入門】哲学初心者が挫折なしに大学2年分の知識を身につける5つの手順

2. 【マガジン】プラトン『国家』の要約(全10冊)

 

1は「哲学に興味があって勉強したい。でも、どこから手を付ければいいのかな……」という方のために書きました。

5つの手順は「絶対挫折しようがない入門書」から始めて、書かれている作業をこなしていくだけ。

3か月ほどで誰でも哲学科2年生レベル(ゼミの購読で困らないレベル)の知識が身につきます。

3か月というのは、非常に長く見積もった目安です。1日1時間ほど時間が取れれば、1ヶ月くらいで十分にすべてのステップを終えることができるでしょう。

ちなみに15000文字ほどですが、ほとんどスマホの音声入力で書きました。

かなり難しい哲学の内容でも、音声入力で話して書けます。

音声入力を使いこなしたい方の参考にもなると思います。

 

2はプラトンの主著『国家』の要約です。
原型は10年前に作成した私の個人的なノートですが、今読んでも十分に役に立ちます。
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