現実に起きている差別と偏見を鋭く描いたズートピア。
そのテーマで、考えさせられるポイントをまとめました。
ディズニーアニメーション映画としてアナ雪に続く大ヒットとなった「ズートピア」。
この作品は単に「友情物語」「冒険物語」というわけじゃありません
非常に深い意味のあるテーマが題材とされています。
それが「差別問題」と「偏見問題」。
- ユーモアがあって面白い!
- 擬人化された動物が可愛い!
の評価はもちろんありますが
- 人種差別や女性差別、多様性について深く考えさせられる…。
と、大の大人が見ても深い意味のメッセージ性に感心してしまうほど凄い映画なんです!
子供から大人まで楽しんで見れるディズニー映画でいて、
深い意味のテーマとメッセージ性を持ち合わせた作品。。。
半端ないです!
映画評論家のレビューをまとめた、かの有名サイトであるロッテントマト
そこでも肯定的評価が98%とめちゃめちゃ高い評価を受けてますが納得です。
とても繊細なテーマをさほど不快に感じさせないように描かれていますよね~。
今回はズートピア内で起こる「差別」と「偏見」に注目してご説明させて頂きます!
下記クリックで好きな項目に移動
【ズートピア考察】アメリカ社会がモデルの差別と偏見問題?
タイトルにもなっている「ズートピア」!
- 狩る側であった「肉食動物」
- 狩られる側であった「草食動物」
両者が手を取り合い仲良く暮らせる街です。
しかし現実は草食動物と肉食動物です
- 互いに差別意識がある
- 動物の種類によってイメージが固められています。
- きつねはずるいとか、うさぎは弱いとか
ここに多民族国家の代表とも言えるアメリカ社会を当てはめると……?
非常に似通った点が多いんですよね~。
「自由の国アメリカ」とは言っても実際は差別意識が根強く残っている社会でもあります。
様々な野生動物=他民族の多い国・社会を表していると言えます。
アメリカ社会の多民族性は
- 古くは「人種のるつぼ」
- 現在は「サラダボウル」
などとたとえられますね
ズートピアは「何にでもなれる場所」=アメリカンドリーム
ジュディが田舎町から夢を抱いて上京した「ズートピア」
まさに「アメリカンドリーム」を夢見て上京した女の子!
「アメリカ社会では、大きな夢が叶うはず!」
しかし現実は差別の壁があり、自身も知らぬうちに差別の意識を抱いてしまう・・・
きつねはずるい、肉食動物は危ないって、ジュディも思ってます
そう考えると非常にリアルな問題を描いた作品ですよね~。
モデルはアメリカ社会だと思われます
でも重要なのは、この問題はどの国でも、誰にでも起こりうることです。
日本だってそうです
人種差別、身分差別、いまだに横行してますよね
「差別や偏見はいけないこと!」としながらも
- 「何が正義か?」
- 「自分の考えは偏っていないか?」
などを問うズートピア。
気になるシーンやポイントを切り取ってさらに掘り下げましょう!
【ネタバレ考察】ズートピアあらすじから差別問題を分析
【差別問題考察1】うさぎのジュディは差別される側とする側の両方
ジュディの立ち位置は、前半と後半で変わるんです
ズートピアは大きく前半と後半に分けられるかと思います。
前半のジュディ
そもそも「ウサギは小さくて弱いもの」という偏見で固められていますね。
- ガキ大将のギデオン・グレイに「ウサギが警察官なんて無理!」と言われる。
- 警察学校では「フワフワは田舎に帰れ!」と罵倒される。
- ZDPの受付ではクロウハウザーに「かわいい!」と見た目で判断される。
- ニックに「マヌケなウサギ」「夢は叶わない」と断言される。
そんな偏見に屈せずにジュディは大きな事件を追うことになります。
しかし肉食動物失踪事件は「肉食動物の凶暴化」に加え
「ライオンハート市長」が自分の立場を心配してかくまっている事実が判明すると立場が変わってしまいます。
後半のジュディ
凶暴化する肉食動物とライオンハート市長の罪を暴いたジュディは一躍ヒーローに。
- 会見で「肉食動物のDNAが問題かも」と発言。
- 直後にニックに向かってキツネ除けスプレーを手に取るしぐさ。
「罪もない肉食動物まで危険な可能性がある」とした上で
差別と偏見の被害者から図らずも加害者になってしまいます。
↑ジュディの発言で肉食動物に不安気な表情を見せるウサギ。
その他にも「見た目で判断されたくないジュディ」が見た目で判断してしまう箇所が沢山あるんです。
- キツネ除けスプレーを常に持ち歩いていた。
- 冷凍食品のお一人様人参が小さすぎて食べずに捨ててしまった。
- ナチュラルクラブで裸の動物に絶句した。
- ナマケモノは仕事が遅い!とイライラしていた。
- ミスタービックは大きいクマだと思っていた。
むしろ差別と偏見の助長という、ひどい悪に加担してしまうんですね。
【差別問題考察2】偏見を持たないキャラはニックだけ←イケメンすぎ
そんなジュディと対照的だったのがニックです。
- ナチュラルクラブの裸の動物に動じることはなかった。
- ナマケモノで親友のフラッシュは仕事が早いと紹介した。
- ミスタービックの娘の結婚パーティーに出された小さな料理を味わって食べていた。
結局のところニックは見た目の判断ではなく中身を見ていたんですね。
やはりイケメンです。
ジュディとニックを対照的に見せることで
- 「差別や偏見の本質」
- 「誰でも被害者から加害者になりうる」
ズートピアにはそんな深い意味のメッセージが隠れているんですよ。
【差別問題考察3】黒幕羊のベルウェザー副市長の犯行動機も人種や女性差別
ズートピアの黒幕は羊のベルウェザー副市長でしたね。
草食動物が低く見られていると感じ、
肉食動物に敵対心を露わにしていました。
きっとジュディが幼いころから受けていた差別と同じような環境で育ったのでしょう。
ベルウェザー副市長も前半はライオンハート市長にこき使われる可哀そうな立場でした。
「副市長なんて名前だけ。実際は秘書みたいなものよ。」
確かに前半部分のベルウェザーに対するライオンハート市長の態度はちょっとイジメにも見えるような扱いだったように感じます。
ベルウェザーいい人って、思ってましたよね
ズートピアすげえ……!!
そんなぞんざいに扱ったつもりはないのでしょう
でもベルウェザーはそのちょっとが、復習の怒りになったのかもしれません。
仕事とかパートナーとかでもそうですよね
毎日1イライラさせられて、100イライラで爆発したら、こっちが悪者扱いみたいな
やってられんです、やっぱ働いちゃダメ
- 「草食動物は低く見られて評価されない。」
- 「肉食動物という敵に立ち向かうべき。」
非常に偏った考えですが、ベルウェザーにとってはこれが正義であると疑わなかったわけです。
以上が、ストーリーに即した、あらすじネタバレ込みの差別問題考察です。
以下は、私の個人的な感想です。
【ズートピア感想】草食動物と肉食動物の人種差別問題だけがテーマじゃない
これは私の考察と分析(感想)ですが、物語のスタートとしては
「草食動物と肉食動物の二極化」と思われる世界でした。
「狩る側」と「狩られる側」ですね。
例えば肉食動物が強い力を持っていたのであれば
- ZDP署長は肉食動物であるはずでは?(しかしボゴ社長は水牛です。その他警察官もゾウやらサイなど。)
- クロウハウザーは肉食ですが太っているし、仕事をバリバリこなすタイプとは見られていません。
- ガゼル(歌手)は草食動物ですが肉食動物も憧れるスーパーアイドルです。
- 闇の組織のミスタービッグは小さなネズミでした。
これを見るとズートピアは肉食動物の有利な世界とは言い切れません。
それよりも個々の動物のイメージだったり個々の性格による内容。
決して「肉食動物だから」「草食動物だから」と決められてはいなかったように感じます。
(もちろん後半は作為的に肉食が野生になると言われて悪者にされましたが、あくまで作為的なものです。)
現実社会で言う二極化や差別で当てはまるとしたらなんだろ~かと考えたところ、全てに当てはまるようで矛盾があったんです。
【感想1】ズートピアを黒人と白人の人種差別問題とは少し矛盾する
例えば「黒人・白人差別」
この手の差別は映画やドラマ・アニメなどでテーマにされることが多いですよね~。
これを肉食・草食に当てはめてみようとするとどちらも「ん?」って思う箇所が多いんです。
- 白人が7割ちょい
- 黒人が1割ちょい
- ハーフやその他が1割ちょい
です。
恐らくですがこれはあえて断定せず作られているのだと感じます。
断定してしまうと結局
「黒幕側の動物が全て悪い」=「黒人または白人どちらかが悪になる。」
という物語になってしまいますからね。
2018年6月21日追記:
「白人が7割ちょい 黒人が1割ちょい ハーフやその他が1割ちょい」と書いてありますが、アメリカはワンドロップ・ルールを採用しているので、白人と黒人のハーフは黒人になります。
写真の双子は親の片方が黒人なので右の子も黒人です。 pic.twitter.com/cVidFkwCSS
— アニメで英単語 (@Puku_Pukuro_) 2018年6月19日
【感想2】ズートピアと女性差別問題はそこまで深いテーマではない
次に「女性差別」
これはジュディが警察官になるときの偏見。
ベルウェザーが市長になれない理由の一つにもなっているかもしれません。
現にズートピアに出てくるキャラクターのほとんどが男性なんです。
しかしこれも肉食・草食でわけられてるわけではありませんよね。
女性=か弱い存在なイメージは確かに含まれているかもしれません
が、ズートピアではそこまでピックアップされていないように感じます。
【感想3】ズートピアの5つの地区は民族・宗教差別問題を描いてる?
そして「民族・宗教的差別」
これは多種の動物達が暮らすズートピアに表されているかも?
- サハラ・スクエア
- ツンドラ・タウン
- レイン・フォレスト地区
- リトル・ローデンシア
- サバンナ・セントラル
これらの地区にはそれぞれに適した動物が住み分けされています。
動物の世界では確かに寒い場所に適している動物。
暑い場所に適した動物がいるので当然ともとれますが、人間社会では??
これは、それぞれの国に住む一定の人種や宗教的な住み分けのようなものでしょうか。
「ある国では〇〇人が多くそのほとんどがキリスト教であったり、ある国では〇〇人が多くほとんどが仏教徒である。」
のような感じ。
しかし住み分けはされていても、ズートピアでその土地に住む住人を見下すような描写はありませんよね。
ジュディが住んでいたバニーバロウは「田舎」と言われていましたが…。
「小さい草食動物はバカにされやすい。」ともありましたが、
ミスタービッグ(ねずみ)のような例外もありましたし、決して民族や宗教の差別を描いているわけでもないような。
オッタートン(カワウソ)が通っていたとされるナチュリストクラブも特定の動物が通っていたわけではありませんでした。
(ゾウ・キリン・ヤクのような草食もいればクマなどの肉食もいた。)
【感想まとめ】結局ズートピアと差別問題ってどういうこと?
トータルして感じたものは
「差別・偏見の対象は限定されたグループとは限らない。」
「誰もが被害者になる可能性・加害者になる可能性を秘めている。」
この問題に関して絶対的な正義を作ることは悪を作ることになります。
ズートピアは差別・偏見の問題を描きながらも特定の団体や人を正義とせず、
誰しもが持つや分からない差別の意識を表現しました。
答えはこれ!
これが正義ね!
とせず、自分自身を見つめなおし疑問を問う形にしたことがこの作品の最大のポイントなんではないのでしょうか。
ズートピアの副市長(後に市長になる)のベルウェザーは「ズートピアの9割は草食動物」だと言っておいて肉食動物を凶暴化させようとした排外主義者だったことは終盤になって明かされますが、あれにしたって日本において身近にあるヘイトと同じですね。
— 古賀 利明 (@toshi_k_1974) 2018年6月19日
【まとめ】差別・偏見は誰しもが被害者になり、加害者にもなりうる。絶対的正義はない!
本編の各所に深~い意味が散らばっています。
この作りこみ。
スタジオジブリの代表取締役である「鈴木敏夫さん」もディズニー作品の中でもずば抜けた傑作!と評価するほど。
- ズートピアのモデルは多民族国家のアメリカがモデル。
- 前半と後半で変わるジュディの立ち位置。
- 差別問題は特定の人や団体ではない。
誰しも自らの主観を正義と考えがちですが、自分を疑う心・相手を肯定する気持ちは非常に大事ですね。
とにかくズートピアは名作!
続編も期待したいところです。
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