細田守『時をかける少女』をネタに「いつまでもこのままで」という終わりなき日常の思想について語る

   

アニメ映画『時をかける少女』を今更観ました。

 

【この駄文は上記作品をネタにして、

青春物語の展開手法の一つをえらそうに語るのが目的です。】

 

(ちょっとだけ音楽の話)
タイムトンネルの世界でバッハの『ゴルトベルク変奏曲』が使われます。
(リンクは第一変奏の流れるシーンで、結構好きなシーンです。)
 
当然ですが、この映画とバッハの音楽作品それ自体は、全く関係ありません。

でも、何となく映像と音楽が合ってる、センスいいな、などと思ってしまいます。

クラシック音楽のこのような断片的な聴かれ方が
「いいこと」なのか「わるいこと」なのか。

 

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さて、アニメ映画『時をかける少女』は
少し過去に戻れる能力を手に入れた少女(真琴)のお話です。
 
真琴の能力の使い方はささやかなもので、
友達だと思っていた男からの告白から逃れようとする
など、女の子は自分に都合の悪いことを避けるために能力を使います。
 
これはとても斬新です。
恋愛感情をないことにしたいという心理が実に鮮やかに描かれています。

 

 

高3の7月で、進路も理系か文系かさえ決められずにいます。
要するに、真琴はいつまでもこのままでいたいと思っているのです。
(予告編で思いっっっっきりそう言ってます。youtubeで観られます。)
 
ただし、残念ながらこのままでいることはできない。
この「いつまでもこのままで」図式は、多くの青春物語に使われています。
 
たとえば長期連載のラブコメや日常生活を描くまんがは、
大体この図式にあてはまります。
 

  • サザエさんも
  • みゆきも
  • ああっ女神さまも
  • ちびまるこも
  • こち亀も
  • 浦安鉄筋家族もです。

 
これらの作品には、主人公に目的がありません。
目的がないと永久に続けることができます。
 
コナンやはじめの一歩のように、
主人公に目的があったとしても(謎の組織との対決/強いって何だろう)、
異常に引き延ばすこともできます。

 

 

こうした終わらない作品を、終わらせるためには

「このままではいられない」という展開が必要です。

 
押井守のアニメ映画『うる星やつら ビューティフルドリーマー』では、
ラムちゃんがあたるとずっと一緒にいたいという強い思いのせいで、
世界がラムちゃんの夢の中に取り込まれ、
ずっと同じ日が繰り返されます。
 
しかし夢からは醒めねばなりません。

 

宮藤官九郎のテレビドラマ『木更津キャッツアイ』では、
木更津を出たことがないぶっさんと仲間たちが楽しくやっていますが、
ぶっさんの余命は半年と宣告されてしまいます。

 

『時をかける少女』でも、
いつまでも友達3人で楽しく過ごしたいのですが、
このままでいることはできません。
(このままだと物語が進まない/終わらないからです。)

 

それは「友達との別れ」という形で展開します。
ところで、青春物語ってたいてい夏です。
 
これは、日本人にとっては「夏」という季節が、
最も「永遠」「憧憬」といったイメージを想起させるからなのです。

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