森鴎外『舞姫』のあらすじ&解説!
舞姫は明治大正時代にわたるすぐれた小説家・評論家・翻訳家、森鴎外の文壇処女作となった短編小説です。 1890年(明治23年)11月に「国民の友」という雑誌に掲載されました。
森鴎外のドイツ留学(1814年から88年)の記念にある初期のロマンス的3作品のひとつです。ちなみに他の2冊は
- 『うたかたの記』(1890年8月)
- 『文づかひ』(1891年1月)
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森鴎外の舞姫あらすじとわかりやすい解説評価!豊太郎の心情と生き方の解釈
舞姫のあらすじをわかりやすく
ではあらすじを。
太田豊太郎は法学部。東大主席
主人公太田豊太郎は法学部出身の秀才です。幼い頃からしつけの厳しい家に育ち、父を早く失いました。しかし賢い母の配慮によって学問に励み、東大法科の常に主席を占め、19歳で卒業しました。
豊太郎はドイツ、ベルリンに留学
政府から選ばれてドイツに留学・自由なヨーロッパの空気に触れて近代的自我に目覚めます。目に見えるもの、耳に聞こえるもの、 1つとして新しくないものはなく、筆に任せて書き記した紀行文などは日本の新聞にも発表され、世の中でもてはやされもしました。
ベルリンで快い生活を送る豊太郎は、政府や役所の意図したような機械的な人間になることに抵抗し、自由な独立心を持つようになります。
豊太郎はエリスに出会う
その頃、不幸な踊り子エリスに出会います。豊太郎がクロステルの古寺の前を通りかかると16歳から17歳の少女がお寺の門の扉にすがってすすり泣いているのを見かけました。
豊太郎は憐憫の情に駆られてその訳を少女に尋ねると、少女の名はエリスといいました。貧しさゆえに父の葬式も出すこともできないとのことです。これを聞いて豊太郎はその日、3マルクの銀貨と時計を与えました。それがきっかけになって2人は恋仲になりました。
読書生活から恋愛生活に。国際恋愛の大変さ
ショーペンハウエルを右にし、シラーを左にして終日机に向かっていた読書の窓に、エリスは1輪の花を咲かせたのです。
しかし当時国際恋愛・国際結婚はとんでもないものだと見なされていました。そして豊太郎は優秀なので、ある同僚から妬みを買っていました。そしてその同僚が、豊田郎の恋愛事情を公使館にばらしてしまいます。
クビになる豊太郎。
そして豊田郎は公務員をクビになり、ドイツ留学の身分を剥奪されます(生活費が支給されない)。困った豊太郎でしたが親友である相沢謙吉の計らいでなんとか生活の糧を得ることになります。
天方伯爵に助けを求める豊太郎と相沢
豊太郎と相沢が頼ったのは海外視察を行っていた天方という伯爵。天方伯爵は豊太郎にたいして、エリスを諦めて学問に集中して立身出世のコースに戻るようにと取り計らいます。
エリスの妊娠
しかしエリスは妊娠して子供が産まれそうになります。
豊太郎の愛を信じている可憐な女性を容易に捨て去れるのか?
豊太郎にとっては非常に難しいです。しかしここで名誉回復の道を図らなければ豊太郎の将来は閉ざされてしまいます。
エリスを捨てる豊太郎
豊太郎は迷いましたが結局エリスを捨てる道を選びました。
裏切られたエリスは発狂。用意しておいたオムツを見て泣くだけの女性になってしまいました。
豊太郎はエリスの生きる屍を残して日本に帰る船に乗ります。
舞姫の最後ラストシーンの名言
こちらがラストシーンのセリフです。
「ああ、相沢謙吉がごとき良友は世にまた得がたかるべし。されどわが脳裡に一点の彼を憎むこころは今日までも残れりけり」
舞姫の評価。面白いかつまらないか
この作品は明治時代の新しい文学の歴史的な転換点となります。
二葉亭四迷の『浮雲』と並んで「近代日本文学における目覚めた自我の新しい人間類型を打ち出した」と評価されています。
明治初期までは「戯作(げさく)」という、芝居じみた文学作品ばかりでしたが、ベルリンと言う舞台のエキゾチックな雰囲気と、典雅な文体が当時の若い読者を魅了しました。
結末での豊太郎の心情を解釈する
ラストの1区外ミスしているものは主人公太田豊太郎を通して作者である森鴎外が出世の機会を与えてくれた友人に感謝しながらも、自分の自由な生き方を選べなかった恨みが告白されたものと言えるのでしょう。
この作品が描かれた当時の日本の家や国家の背景に注目するとよいですね。
まだまだ旧態依然とした時代の中でドイツに留学して近代的な精神に目覚めた青春の魂がいかに苦悩したことか。
とは言え一方では、「明治の青年が国家の未来を自分が背負って立とうとする気概や理想があった」ということも読み取れますね。
舞姫は実話?
舞姫は実話なのでしょうか?
森鴎外自身は事実に基づいたものではないと述べています。
しかし森鴎外はドイツから帰ってきた後に舞姫の作品の女主人公と同名のドイツ人女性エリスが後を追って日本に来たという事実が分かっています。
そして残りの2つの作品には留学時の日記である「独逸日記」の中に、舞姫の物語の素材が色々描かれています。
エリスについてはこちらをどうぞ。
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