森鴎外の舞姫は実話?恋人エリスはモデルがいてその後は子どもを産んでいた

舞姫のエリスには、実在のモデルがいた!?

 

森鴎外の『舞姫』は、実体験をもとにした小説です。

ほぼ、実話。

実際に、森鴎外は、留学先のドイツ人女性と恋に落ち、その後、彼女を捨てました。

 

わたしは森鴎外のこのような恋愛事情について、批判的な立場をとっています。

つまり、森鴎外は、最低なヤツだと思っています(笑)

それをあらかじめご了承の上お読みくださいませ。

 

森鴎外『舞姫』あらすじ

一言で言うと、「時は明治時代。舞台はベルリン。日本の留学生に恋したドイツ人女性が、彼の突然の帰国に衝撃を受けて発狂する」という話。

かなり悲惨な結末ですよね。。。

 

詳しいあらすじはこちらに書きました。

森鴎外の舞姫あらすじとわかりやすい解説評価!豊太郎の心情と生き方の解釈

2018.04.01

 

森鴎外はドイツ留学を楽しんだ

 

森鴎外はドイツ留学を、学問においてもプライベートにおいても思う存分楽しんでいました。

留学先のイギリスで鬱病になって神経衰弱になった夏目漱石とはえらい違いです。全く対照的です。

※夏目漱石は帰国するときに船でこんなところに二度と来るものかと叫んだそうです。

これは、森鴎外と夏目漱石が志した学問の差にあります。

  • 夏目漱石は文学を専攻しました。
  • 森鴎外は医学を専攻しました。

自然科学に国境はあまりありませんが、文学には思いっきり国境がありますよね。

夏目漱石は英語を母語としない日本人が、英文学を専攻することに何の意味があるのだろうと非常に思い悩んでいました。

だから神経衰弱になっちゃったんですね。

作家になりたい高校生へのアドバイス|夏目漱石「文学者たるべき青年」より

 

一方、森鴎外は留学生活を楽しむ余り、ハメを外しすぎました。

彼はベルリンの教会で知り合った若いドイツ人女性と恋に落ちます。

名前をエリーゼといいます。

そして結構真剣に考えるようになります。

当時の日本では国際結婚なんか絶対に認められません。

特に森鴎外のようなエリート街道まっしぐらの人間にとっては、絶対NG。

外国人と結婚しようものならその後の医者としての立身出世は絶対にうまくいきません。

そういう時代だったんですね。

なので森鴎外の友人や先輩は、考え直すように説得しますが、森鴎外はいや絶対に結婚するんだと頑固に突っぱねます。

森鴎外は、非常に頑固。頑迷と言うべき程の頑固さです。

なので友人たちは考えます。

  • 「しょうがない。ドイツ人女性と一緒に帰国するという事態は避けよう」
  • 「そんなところ見られたらもうおしまいだからな」

こんな配慮をしました。

そして先にエリーゼを貨物船で日本に送り出し、その後で森鴎外が帰国するように取り計らいました。

(貨物船というのがちょっとかわいそうですが……)

 

舞姫と同様ドイツ人女性エリーゼを捨てた森鴎外

森鴎外の舞姫で豊太郎が相沢を憎む理由は?人知れぬ恨みと明治の時代背景を考察

ここまで読んでくださったあなた。きっと

「おお、いい話だな~。」

と思うでしょう?

 

しかし、ここからが、驚愕です……!

 

帰国した森鴎外はエリーゼとの結婚について、母親から反対されます。

すると驚くべきことに、あっさり諦めてしまったのです。

 

「マジで?」って感じです。

このあたり、詳細が分かりませんが、現代だったら「どんだけマザコンやねん」と突っ込みたくなります。

 

突然の森鴎外の心変わりに、エリーゼは虚しくドイツに帰国することになりました。

 

かわいそう……。

 

そして、森鴎外はどうしたか。

鴎外もまた、心をいためたのでしょうか?

 

鴎外は、エリーゼとのそんなお話を、後日、『舞姫』という物語にします。

いかがでしょうか?

かつて自分が残酷に捨てた女性との恋愛話について、このような形で題材にする。

舞姫では、エリスは発狂して終わるんです。

 

ひどいと思いませんか?

小説家はそのような残酷な面も持ち合わせてないといけないんでしょうかね。

この辺り、あなたはどう感じられたか、ぜひコメントくださいませ。

 

【実話】エリスのその後は?結婚して子どもがいる?

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このドイツ人女性エリーゼのその後はどんな運命をたどったのでしょうか?

じつはNHKは昔ドキュメンタリー番組で、彼女のその後を取材したそうです。

NHKの取材班はエリーゼの両親を探ります。

彼女の両親は、カトリック信者とプロテスタント信者と言う夫婦でした。

これは、当時のヨーロッパでは非常に稀な組み合わせだったそうです。

エリーゼの両親はしたがって、宗派にとらわれない柔軟な心の持ち主でした。

だから、恋人森林太郎を追って、日本に旅立つ娘を許したのです。

さらにNHKは、彼女の子孫を辿りました。

実は子供がいたんですね。

エリーゼは森林太郎にあっさりと捨てられ、ドイツに帰国します。

その後には、ドイツ人男性と結婚をして、事業家の夫を支えたそうです。

ドキュメンタリー番組の取材の時点ではエリーゼの孫たちが健在でした。

そして孫にインタビューをしていました。

 

非常におもしろい話が1つあります。

お孫さんたちは、エリーゼから森鴎外についての話は一切聞いたことがなかったそうです。

ではエリーゼの夫は知っていたのか?

それは明らかではありません。

しかし知っていたとしても詳しくは語らなかったことでしょう。

 

エリーゼは自分を裏切ったかつての恋人森鴎外について、誰にも語ることなく生涯を終えたのです。

 

しかしエリーゼは、森鴎外に捨てられた後は子供たちを立派に育てあげて幸せな人生を送りました。

 

まとめ 舞姫の豊太郎はクズ?

森鴎外の『舞姫』のエリスのモデルについてご紹介しました。

  • 舞姫は、実話じゃないけど実体験あり
  • エリスのモデルは実在してエリーゼという
  • エリーゼは日本まで来て森鴎外に捨てられる
  • エリーゼはその後ドイツ人男性と結婚し幸せになる。
  • 森鴎外は最低(高等遊民の個人的感想)

 

以上のような内容でした。

あなたはどうお感じになりましたか?

 

わたくし高等遊民は、今回いろいろと森鴎外を悪く言いました。

が、作家としては当たり前ですが、非常に優れていると思っています。

『舞姫』しかり、『雁』しかりですね。

『舞姫』は薄いので、すぐ読めます。

文語調でお堅いのがダメというあなたは、現代語訳もあります。

この機会にぜひ読んでみてください。

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8 件のコメント

  • 現代とは明らかに価値観が違う時代ですから、一概にはクズとは言えないと思います、個人的には。森鴎外って、幼少期から英才教育をされてきたような人ですし。
    あと鴎外とエリーゼさんは文通を続けていたともいいますし、エリーゼを諦めさせるために家族が他の女性と結婚させようとしたことへの反抗でもあるんじゃないかと思いましたよ。
    突然失礼いたしました。

  • こういったものは、もっと調べてから書くべきだと思います。
    六草いちかさんがエリーゼと鴎外の事を現地で徹底的に調べ上げた本を出されています。
    是非それをお読みになってみてください。
    鴎外の苦悩、エリーゼ帰国後も長年続くことになる二人の文通、エリーゼからの最後の知らせ。
    豊太郎をあそこまで最低な男として描いたのには、自戒の念が多分に込められていることがわかると思います。

  • 他の方もコメントされていますが、森鷗外のことを一概に現代の男性と同じ扱いで『クズ』と指すのはどうかと思います。
    小説を読み、尚且つ森鷗外のドイツでの実体験ですので感じ方は人それぞれですが、背景もしっかり読み取ると、森鷗外もたいそうエリーゼ(エリス)に惚れていたこと、裕福な家に生まれたからこそ周りから大批判されたこと、などが挙げられます。
    また、舞姫は森鷗外のはじめての小説ですが、なぜこの時代に擬古文・雅文体(古典のような文体)で書いたのかを考えるともっと面白いですよ!
    この時代にわざわざそのような文体で書いたのは当時身分の高い人や教養のある人(森鷗外の上司ら)のみ読めるものでした。あえてこの文体で書くことで、自分がどれだけ彼女に夢中だったかを小説の中に記し、弁明のような形で小説を作り上げ、上司らに真実を知ってほしかったのではないでしょうか。
    森鷗外は非常に教養のある方ですし、時代背景や環境を考慮してから舞姫を見直すと、もっと沢山の読み取りができると思いますよ✨

  • 小説書いてる暇あるなら臨床やれ論文書け 脚気患者の恨みはエリーゼさんの胸の谷間より深い
    藪医者で蜃気楼な脚気菌追いかけた無能

  • ストーリーは知っていましたが今まできちんと読んだことがなく、短い話でもあるので、仕事の休憩時間を利用して読みました。完璧な自己陶酔っぷりや自己憐憫に胸が悪くなるのも、彼の文章力が素晴らしいからなんですね。最低な輩としながらも作家として優れているという高等遊民さんのおっしゃる通りだと思います。読んだ後のモヤモヤがすっきりしました。懲りずに他の作品も読んでみます。ありがとうございました。

  • 大昔も現在も女性をもて遊んだ殿方はクズかもしれませんね。でも女性もしたたかかも…激しい恋をして異国まで来て…私はエリーゼさんが捨てられたとは思いません! 思いっ切り泣いてこの恋を日本に捨て去った…だから何の躊躇なく結婚されたのだ思います。だから鴎外に振られたのでは無く、自分が彼を捨てたと心から鴎外を追い出したと思いますね。 エリーゼさんが幸せな結婚をされ本当に良かった!    

  • エリーゼさんは鴎外を本当に愛してました…
    鴎外と離れても諦めきれず、鴎外からの手紙を切ない想いで待ちわびる日々をおくっていたと思います。
    その後日本に訪れています。

    そのエリーゼさんの鴎外に対する想いを歌った曲が、阿久悠さん作詞で大橋純子さんがが歌われた「たそがれマイラブ」との一説もあります…

    もし、その一説が正しければこの曲の歌詞の内容は、鴎外と離ればなれなっても尚、ドイツの地で鴎外を愛するエリーゼさんの熱い想いが伝わってきます。

  • いや、文学作品の主人公の男はクズっポイのが多いですからね。でも完璧人間書いても小説にならないでしょう。駄目なことやって、悩む。悩んだ末に女性に酷い事をしてしまう。そこが読みどころなんでしょう。まあ、特に女性が現代目線で読んだら単なる胸糞小説か、「こんなに悩んだんだよ」という言い訳小説に見えるかもしれませんが…

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