アメリカ公民権運動の指導者キング牧師。
キング牧師の思想でユニークな点は「白人に対する同情」が含まれていることです。
言うまでもなく、ひどい差別をされてきたのは黒人です。
たとえば私たちのような、当事者でない第三者が同情するのは、ふつう黒人ですよね。
そして白人に同情の余地などなく、非難されるのが当然でしょう。
なぜ、人種差別の加害者である白人が同情されるのでしょうか。
キング牧師はこんなことを言います。
「白人は人種差別によって、自らの魂を歪(ゆが)めている。」
「白人は、黒人の復讐を恐れている。我々が、彼らを赦(ゆる)していることを示し、安心させねばならない。」
魂が歪んでいること。
これは人種差別を受ける黒人よりも不幸なことであると、キング牧師は暗に言っています。
ちなみにギリシアの哲学者ソクラテスやプラトンも似たようなことを言っています。
そして、「赦す」ということ。
赦すことによって、黒人は白人よりも優位な立場に立つことができます。
悪いことをする者は、実は魂が歪んだ劣った者であり、赦しを与えられるべき弱い存在である。
このような、常識とは正反対の思想、逆説的な驚くべき思想を根本に据えて、キング牧師は公民権運動を展開させてゆきます。
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FBIにとってキング牧師は「目の上のたんこぶ」だった
2017年11月3日、キング牧師に関する新しい資料が公開されました。
(CNN) トランプ米政権が3日に新たに公開したジョン・F・ケネディ元大統領の暗殺に関する文書676点の中に、米公民権運動指導者マーチン・ルーサー・キング牧師を非常に否定的に描いた連邦捜査局(FBI)の秘密分析が含まれていたことがわかった。
キング牧師に関する20ページの文書では、同氏をさまざまな共産主義者の影響と結び付けようと試みているほか、同氏が率いていた公民権団体「南部キリスト教指導者会議」での資金不正も指摘。またキング牧師の不倫や他の性的に不適切な振る舞いなど、同氏の個人生活についての臆測や主張も記されている。
同文書の筆者らがこうした情報の裏付けを取っていたのかどうかは不明。
FBIの分析はまた、1964年のノーベル平和賞がキング牧師に授与されるべきだったのかについても疑問を呈している。
文書は1968年3月12日付で、FBIがエドガー・フーバー元長官に率いられていた時期に作成されたもの。フーバー氏は捜査員にキング牧師の動向を監視させていた。フーバー氏は1960年代に、キング牧師に対する広範な監視プログラムを承認。これはFBIによる国内防諜(ぼうちょう)プログラムの一環で、後日に激しい批判の対象となり、多くの改革につながった。
https://www.cnn.co.jp/usa/35109854.html
FBIの公開文書はこちらから確認できます。(pdf)
https://www.archives.gov/files/research/jfk/releases/104-10125-10133.pdf
キング牧師新資料・目次と冒頭の抜粋
目次を見ると、何となく内容がイメージできますね。
共産主義者を意味するCommunistという単語がちらほら。
脱税を意味する tax dodgeという単語も。
また、プライバシーを調査した
- previous sexual experiences(過去のイロ経験)
- King’s mistress(キングの情婦)
なる言葉も。
1956年から、マーティンルーサーキングは際立った役割を果たしてきた。アメリカにおける黒人の平等な権利獲得運動において。
こんな感じでFBIがキング牧師を調査していたとは、驚きですね。
ときの当局が、歴史的権利運動の指導者をどのように監視していたのか。
非常に興味深い文書だと思います。