【会議用ボイスレコーダーを70歳のおばあさんに売る方法】ジャパネットたかた社長自伝が面白すぎた

去年読んだ面白い本

ジャパネットたかた社長自伝『伝えることから始めよう』

古典文学や哲学しか読まない私でしたが、去年からは割となんでも読んでます。

そんななか、大当たりだったのが、↑。

ジャパネットたかたって知らない方はいないと思います。
これ、たぶん、普通に読んでも、単なる成功物語にしか読めません。

でもある視点から読んでみると、泣くほど参考になります。ひいひい声出しながら線引いてました。

ある視点というのは、

  • 「高田社長は、どうやって商品を売ったのか?」
  • 「真似できるとしたら、どんなところだろうか?」

もう、どんなマーケティングの本より、参考になります。
ジャパネットのおそろしいところは、どんな商品でも新しい顧客を開拓するところ。

基本的にジャパネットたかたの購買層は主婦~シニア世代ですよね。
若者向けだろうが、ビジネスマン向けであろうが、それをシニア世代が欲しくなるように商品の魅力を伝えるということです。

たとえば

ボイスレコーダー

これって、むかし、ビジネスマンは会議の時にだけ使うような商品だったんです。
っていうか今でもそうだと思います。あとはブラック企業対策に、社畜が持つとか(笑)

じいさんばあさんにボイスレコーダーなんてどう考えたって必要ありませんよね。
これをシニア層にどうやって売ったのか?

「ボイスレコーダーは会議に使うのも便利ですけど、高齢者社会では、ちょっともの忘れそうな時に、自分の声をメモしてもいいですよ」

たったこれだけのことで、売れるんです。
たとえば

「このレコーダーは最新機能で音質がハイレゾで 10時間録音できる超高性能なんですよ」

なんて言っても、絶対売れません。なぜなら「ハイレゾ」という言葉がよく分からないし、必要性が分からないから。

相手の気持ちに立って、本当に相手の生活がこれで変わるよ、
と高田社長自身もそこまで商品を研究してはじめて、自信をもって提案できるとおっしゃっています。

もう1つは、商品の機能や性能なんて二の次ということ。
高田社長は「感動を届ける」という表現をしています。

どこでも買えるテレビを、どうやって売るのか? 
なぜジャパネットたかたで買うのか?

ちょっと引用してみましょう。

「さて皆さん、 42インチの大画面テレビがリビングに来たら、恰好いいでしょう。お宅のリビングは一気に生まれ変わりますよ。素敵なリビングになるんです。それだけでは無いですよ。大きなテレビがあったら、自分の部屋にこもって、ゲームをしていた子供たちがリビングに出てきます。大迫力のサッカーを見たりするようになりますよ。家族のコミュニケーションが変わるんです!」

たぶん、ピンと来ないかもしれません。
どういうことかというと、説明してくださっています↓

「大きなテレビがリビングにあったら、生活がどんな風に変わるか、お客様にとってどんな良いことがあるのかを想像してみたんです。量販店にたくさん並んだ大画面を眺めて、画質比較しているだけでは、こういうことは想像できないでしょう。 大画面テレビの本当の魅力はどこにあるのか。大画面のテレビがあれば、お客様の生活はどんな風に変わるか、それを考えたんです。」

この「生活が変わる」っていうのが、商品の魅力を伝えるポイントなんですよね。
性能よりも、想像力に訴えかけるんです。これを手にしたら、生活がどんなふうに変わるのか、ちゃんと伝えられるかどうか、いかに魅力的なイメージを提示できるかどうか。そのためには、製品の徹底的な研究も必要ですよね。

優れた政治家や指導者も、似たような能力を持っているのではないでしょうか。
言葉や身振りで、そうした明るい未来を表現する能力があります。

もういくらでも例があります。

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div style=”border:2px solid #009900;padding:10px;border-radius:10px;margin-bottom:20px;”>「こんなお手紙もいただきました。東北の方の農家のお嫁さんからのお手紙です。お嫁さんはお姑さんとの関係がうまくいかなくて困っていたそうです。無口なお姑さんとどんなふうに接したらいいのかわからない。なかなか心を開いてくれない。共通の話題を見つけるのも難しいと悩んでおられました。
そんな時、私がカラオケマイクを紹介していたのを見て、思い切って買ってみたら、なんとお姑さんはカラオケが大好きだったそうです。一緒にカラオケ歌ったらお姑さんと仲良くなれた。それまでのことが嘘みたいに、嫁姑関係がうまくいくようになりましたというお礼の手紙でした。
カラオケマイクが悩みの多かったお嫁さんの生活を変えてしまったんです。わずか2万9,800円、金利・手数料ジャパネット負担のカラオケは、その価格の価値を大きく超えてその人の人生を変えてしまう。そんなこともあるんですよ。」/div>

そしてわかりやすく伝えるということ

「私はラジオ・ TVショッピングでは難しい専門用語は使わないで、できるだけやさしい言葉で話すようにしていました。例えば「カメラのピントを合わせて」と普通に言ってしまいますよね。でも、私は言わないんです。代わりに「距離を合わせる」と言います。ズームという単語も使わずに「遠くのものも近づかなくても大きく撮影できる」と説明していました。コンパクトカメラとも言いませんでした。名刺くらいのサイズのカメラと言いました。そのほうが、大きさがイメージしやすいでしょう。
専門用語は便利ですよね。複雑な事でも一言で言い表すことができます。つい、使いたくなります。でも、その言葉の意味を知らない人には何のことだかわかりません。ですから、誰にでも分かる言葉で伝えることが大切です。」

とりあえず以上です。引用が長かったですねー。すみません。
でも、最後まで読んでくださったあなた、超おもしろかったでしょう?

もう「誰かに何かを言葉で伝えたい」と考えている方にとっては、宝の山のような本です。

ジャパネットたかた社長自伝『伝えることから始めよう』

高等遊民のnoteの紹介

 

noteにて、哲学の勉強法を公開しています。

 

現在は1つのノートと1つのマガジン。

 

1.【高等遊民の哲学入門】哲学初心者が挫折なしに大学2年分の知識を身につける5つの手順

2. 【マガジン】プラトン『国家』の要約(全10冊)

 

1は「哲学に興味があって勉強したい。でも、どこから手を付ければいいのかな……」という方のために書きました。

5つの手順は「絶対挫折しようがない入門書」から始めて、書かれている作業をこなしていくだけ。

3か月ほどで誰でも哲学科2年生レベル(ゼミの購読で困らないレベル)の知識が身につきます。

3か月というのは、非常に長く見積もった目安です。1日1時間ほど時間が取れれば、1ヶ月くらいで十分にすべてのステップを終えることができるでしょう。

ちなみに15000文字ほどですが、ほとんどスマホの音声入力で書きました。

かなり難しい哲学の内容でも、音声入力で話して書けます。

音声入力を使いこなしたい方の参考にもなると思います。

 

2はプラトンの主著『国家』の要約です。
原型は10年前に作成した私の個人的なノートですが、今読んでも十分に役に立ちます。
岩波文庫で900ページ近くの浩瀚な『国家』の議論を、10分の1の分量でしっかり追うことができます

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