他者様の運営するサイトのご紹介。
その名のとおり、世界の古典・名著が、色々と紹介されている。
特筆すべきは、すべて翻訳が、運営者様自身の手によって行われているということ。
それだけではなく、翻訳する題材の、読みどころまでをしっかり解説してくれている。
その解説は確かに「読んでみたい」と思わせてくれる、魅力的な解説である。
下記クリックで好きな項目に移動
キケロ『トゥスクルム荘対談集』
たとえばキケロの書いた『トゥスクルムの別荘での対話』の紹介ではこんな一節がある。
この本を読めばプラトンを読まなくていい。プラトンに書いてあることが分かってしまう。そういう便利さをしっかりそなえている。
……この本を読めばプラトンは読まなくてもいいというのは、そういう意味だ。この作品を読むことによってプラトンの素晴らしさを知ることが出来る。
なんとも読みたくなってくるではないか。
ルソー『社会契約論』
ルソーの『社会契約論』 第一巻
この人間はみんな平等だという考え方をルソーは「社会契約論(しゃかいけいやくろん)」という難しい名前の本の中で、非常にわかりやす い形で、皮肉をたっぶりこめながら、しかも熱っぽく読者に語りかけている。
もちろん、ルソーのこの本は当時では非常に読みやすくておもしろい本だった。だから、かれの時代には非常に広く読まれてフランス革命の原動力にまでなったのである。
ルソーの『社会契約論』が、読みやすいだって? そんなバカなと思った。
この「社会契約論」の文体はまさに演説用のもので、きっとルソーは身ぶり手振りを加えながら皮肉たっぷりにあるいは机を叩いたりしなが らこの文章を人々の前で読み上げるつもりだったことでしょう。
ルソーは「社会契約論」を人前で発表する機会に恵まれたとは思いませんが、初期の彼の文章が人前で読まれたものであることはよく知られています。
「社会契約論」はけっして醒めた姿勢で書かれた学術論文ではありません。
あるいはこの翻訳文が感情を 込めすぎている、皮肉すぎると感じる方もいられるでしょう。
しかし、まさにルソーは感情を一杯に込めて皮肉たっぷりにこの文章を書いたのです。
本訳で「です・ます調」を採用したのもこのために他なりません。
その本が当時、いかに読まれたか? というのは、どんな作品においても、非常に重要な問題だ。
そして運営者様の翻訳された『社会契約論』を読むと、まあこれがおもしろい。
たとえばこんな箇所。
人間の作る支配機構は全て支配される人たちのために作られているのですが、グロティウスはこの意見に反対です。
そして、彼は奴隷の存在をその実例として挙げています。
これはグロティウスがよくやる理由づけのやり方で、彼は事実さえあればそれで正しさの証明になると思いこんでいるのです。
もっと論理的なやり方がありそうなものですが、これほど独裁者たちに好都合な理由づけのやり方は他には思いつかないほどです。
この翻訳では、グロティウスへの皮肉・あてこすりっぷりが、これ以上ないほど明瞭に伝わってくる。
デュマ『モンテクリスト伯』
そして『モンテクリスト伯』の紹介。
ちなみにこのサイトの書き手は、この「世界の古典つまみ食い」の紹介で、『モンテクリスト伯』に興味を持ち、実際に読んでみた。
アレクサンドル・デュマ ( Dumas 1802-1870 ) といえば『モンテクリスト伯』である。
この物語は本屋で見ると岩波文庫で七巻もあって、外見からはとてつもなく長いために、とても手が出ないと、誰もがしり込みしてしまう。
しかし、実は、いったん読み出したら最後、物語の面白さに取りつかれて、とうていやめられなくなって、七巻で終わってしまうのがもったいないと思うほどの魅力に満ちた物語なのである。要するに、めちゃくちゃおもしろいのだ。
この言葉は、真実である。
どうか、だまされたと思って、読んでほしいと思うくらいだ。
人生は短い。だが、『モンテクリスト伯』を読む価値は十分にある。
わたしたちは、『モンテクリスト伯』の登場人物と、感情を共に分かち合うことができる。
共に笑い、共に涙することができる。共に驚き、共にハラハラドキドキすることができる。
世界で一番おもしろい小説だと思う。
この物語の翻訳はさすがにないので、岩波文庫を手に入れよう。
一番手に入りやすい翻訳は岩波文庫のものなのである。
岩波文庫の翻訳は、黒岩涙香の『巌窟王』という偉大な(と言っても読んだことはないが)先祖を持つゆえであろうか、実に流離な文体をもった非常にすぐれた日本語で書かれている。名文なのである。
しかし、この翻訳には大きな欠点がある。その第一は漢字の用法の古さ、あるいは難解さである。
例えば、「一揖する」が「いちゆうする」と読み、これが[会釈をする]という意味であることは、いまの人間には、漢和辞典を引かなければ分からないのではあるまいか。
かくして私のサイトの一頁「 岩波版モンテクリスト伯を読むための用語集」が生まれたのである。
筆者である私は、上記の用語集を印刷して、岩波文庫のモンテクリスト伯を読んだ。
そんなにしょっちゅう出てきて、そのたびにつまずくと言うことはない。すらすら読める。
時々、なんだこの日本語は、というのが出てきて、それは飛ばして、読書に一段落ついたら、用語集を眺めていた。
覚えてるのは、「雷挺(らいてい)のごとく」という表現が何度も出てくる。
要するに稲妻だが、驚いたとき、または、迅速に行動したときの表現である。カッコイイ。
ほかにもたくさんの古典・名著の紹介があるので、誰にでもおすすめしたいサイトである。
モンテクリスト伯は岩波文庫で読める。しかもkindleで読めるのかよ!
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