【哲学的考察】なぜ夏に切なさやノスタルジー(懐かしさ)を感じるのか?夏の終わりや夕暮れに虚しさを感じる理由とは

夏ってさみしいですよね

ノスタルジックな気持ちになります

 

  • 「いつまでもこのままで」
  • 「終わらないで~」

 

寂しくなるのはなぜなのか?

 

そして冬の季節も、夏の写真なんかを見ると、懐かしくなりますよね

 

それは、ちゃんと理由があるんです

日本人は、夏に「永遠不変なもの」を感じるようにできているんです

 

そんな話を、小説っぽく書いたことがあるので紹介します

小説なので、1文が長いですが、そのままにしております


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【哲学的考察】なぜ夏に切なさやノスタルジー(懐かしさ)を感じるのか?夏の終わりや夕暮れに虚しさを感じる理由を哲学・文学的に考察

  • 人物についての事前補足
  • ネオ高等遊民=わたしのこと
  • タケハル=友人。プロの演劇脚本家

 

1.タケハルを喫茶店に呼び出すネオ高等遊民

「おれだ。いま家か? すぐ来て欲しい。すまない。」

電話口でのただならぬ様子に面食らったタケハルが仕事を中断して駅前の喫茶店に着くと、ネオ高等遊民はひどく深刻な面持ちで、喫茶店の入り口を行ったり来たりしていた。

 

タケハルに気づくとネオ高等遊民はすばやく手を上げ、店内へ入った。

注文口でメニューを見ながら、タケハルがどうしたかと聞いても、ろくに返事もしないで、アイスミルクを頼んだ。

「氷少なくしてください。」とネオ高等遊民。

一方タケハルはアイスコーヒーを頼んだ。

 

2.夏と青春の結びつきを指摘する

「すまないな。呼び出して。重要な話がふたつある。」ネオ高等遊民は言った

「いったい、どうしたんだ。」タケハルは言った

「梅雨が明けたな。長かった」

「ああ?」

「暑い日が続いている。夏が来た。」

「ああ?」

「おれたちは、夏が好きだと思わないか? 冬よりも。」

「そうかな。」

「なぜだか分かるか。」

「さあ? それ以前に夏が好きかどうか自体分からないし。」

「まんがやテレビの影響だよ。夏があまりにも青春と結びついているんだ。」

「う、うーん。ますます分からん。」

 

3.タケハルの後悔 夏のなつかしさ・切なさの指摘

タケハルは来たことを後悔した。ろくな用ではなかろうと分かっていたが、やはりこの男に対しては、自分の都合を優先しても構わないなとの思いを新たにした。

 

「甲子園。タッチ。花火大会。大学受験でも最後の思いで作りが夏休みじゃないか。
夏ほど『いつまでもこのままで』『この時がずっと続けばいいのに』と幻想する季節はない。
というかそもそも終戦が夏だ。
原爆落とされたのが夏だ。
もうこれだけで日本人にとって夏が特別だっていうことが証明できるはずだ。」

「ふむ。」

「そしてきわめつけがこれだ。お前に借りていた。」

 

ネオ高等遊民はぱさっとDVDをテーブルに置くと同時に、給仕が飲み物を運んできた。ミルクには氷がふたつだけ入っていた。

 

「おお、ふたつか。いいね。みっつだと多すぎると思っていたんだ。
水で薄まった牛乳なんかまったく飲めたものではない。
かといってぬるくなった牛乳ほど気分の悪い飲み物はない。だからふたつがベストだ。」

 

4.時をかける少女のDVDを見ながら細田守作品の舞台がなぜ夏なのかを語る

タケハルはDVDを見つめた。アニメ『時をかける少女』。

「これがきわめつけ? だったら戦争の方がよほど……まあ舞台は夏だし、野球やってるけど。」

 

ネオ高等遊民はストローから口を離した。

 

「細田守作品。おれはずっと無視していた。なぜなら、ヒット確実だから。
ジュヴナイル小説の金字塔『時をかける少女』のアニメ化。
『サマーウォーズ』なんてタイトルだけでわくわくがとまらねえ。
その上キャラクターデザインが『新世紀エヴァンゲリオン』の貞本義行。
観なくてもおもしろいのが分かるから、観る必要がないと判断していた。」

「おもしろいと分かってるのに、観に行かないんだ。」タケハルは首をかしげた。

「まあ無視していたことは謝る。すまん。」ネオ高等遊民はテーブルに両手をつき、深々と頭を下げた。

 

「おれに謝られても……。」

頭を上げ、口内に残った牛乳を洗い流すように水を口にすると、言葉を継いだ。

 

※時をかける少女と「夏の永遠性」の関係はこちらでも書きました。

「いつまでもこのままで思想」を細田守『時をかける少女』で解説

5.細田守の作品が面白い・切ない・懐かしい理由

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「本題はこれからだ。細田守作品を観て分かったことがある。
今回の新作も含めて四つの作品。それらすべてに共通する要素。
これが細田守の本質であり、ヒットの理由であり、おれたちがこんなにも絶賛してしまう仕掛けが分かった。」

「ほほう。」

「タケハルよ。ちなみにお前の作品には一度も出てきていない。
でもこの仕掛けは、ひとたび使えば、たちまちおもしろくて感動して、心の琴線に触れるような作品にできるぞ。」

「え? なんだそれは?」

 

ネオ高等遊民は牛乳をぐいと飲み、息継ぎをした。

「入道雲だ!!」

「にゅ、入道雲?」

「そうだ。澄み切った青い空に高くふくらむ大きな雲。入道雲は、夏の空だ。」

「えーと」

タケハルは目を斜め上に逸らして間をとり、少し考えた。

「ほんとすみません。それがどうしたんでしたかね。」

「青い空、白い雲、女子高生。青春物語・冒険活劇が入道雲に結びついているんだよ。よく考えてみてくれ……。」

ネオ高等遊民は懇願するような話しぶりだった。

 

※細田守の入道雲についてはこちらでも考察しました

細田守の作品に入道雲のシーンが必ず出る理由はなぜ?時かけから未来のミライまで考察!

6.細田守作品はつらい

「青い空、白い雲をバックに女子高生が飛ぶんだぜ……。これはやられるよ。
『サマーウォーズ』では横にながーく続く大広間で、入道雲をバックに女子高生が涙を流すんだぜ……。
『おおかみこども』では入道雲をバックに、畑を懸命にたがやすんだぜ……。
ああ、もうおれの心は全部持っていかれるよ。
最近の三ツ矢サイダーのCM観ろよ。『飛べ!』とかいって急にアニメになるんだぜ。
もう完全に俺たちの心を分かってるよな。」

ネオ高等遊民はなぜか怒り始めた。

 

7.優れたアニメ作品は、舞台が夏

「細田だけじゃない。おれたち日本国民の共通教養、ジブリ映画――『耳をすませば』も『コクリコ坂』も夏だろう。
『トトロ』も。『風立ちぬ』もオープニングや魔の山では夏。」

「それはネオ高等遊民が大好きな作品がそうだというだけな気もするが。」

「わかっていないな。『エヴァ』はどうだ。」

「ああ……夏かな。いやまてよ……はっ!?」

「何か分かったか?」

「第3新東京市は……セカンドインパクトの影響により、一年じゅう、夏。」

「そうだ! 『新世紀エヴァンゲリオン』はアニメの全てが詰まっているといっても過言ではない作品だ。
すべてのアニメは『エヴァ』に流れ入り、『エヴァ』から再び流れ出す。
つまり、一年じゅう夏である理由は、おれたちが夏をこのとおり特別な季節だと思っていることを分かってやってるんだ。
だから、おれがたまたま夏好きという反論は当たらない。」

「たしかに天変地異が起こったら、ふつうは氷河期に入るとか、そういう冬の時代になってもいいよな。」

「そうそうそうそう……決して冬ではなく、夏なんだよ。」

 

8 エンドレスエイトも夏の終わり

「なるほど、言われてみれば涼宮ハルヒの憂鬱のあの伝説のエンドレスエイトも、夏休みだ」

「そういうことだ。エンドレスエイトは、何回夏休みを繰り返した?」

「えーと、15000回くらいだっけ。」

「15532回だ。およそ639年も繰り返している。しかも夏の終わり。8月17日~8月31日の約2週間だ。夏の終わりであることも、ちゃんと理由があるんだ」

「それが、永遠性とか、ノスタルジーとか、いつまでもこのままでいてほしい思いにかかわるってことね」

「うん。戦争はいつまでも忘れてはいけないものだよね。
夏休みは、子供にとってはいつまでも終わらないでほしい期間。
大人にとっては、いつまでも懐かしい青春時代だよね。
つまり、夏には「不変なもの」がたくさん象徴されている季節なんだよ」

 

ネオ高等遊民は自分の発言をかみしめ、味わうように、ストローを口につけた。
タケハルも、グラスを手に取り、ストローを介さずにコーヒーを飲んだ。冷たかった。

ふたりの間には夏の沈黙が続いていたが、ふいにタケハルが独り言のように漏らした。

「でも、細田守の本質が入道雲ってのは違うと思うな。」

 

以上です

 

高等遊民の有料noteの紹介

 

noteにて、哲学の勉強法を公開しています。

 

現在は1つのノートと1つのマガジン。

 

1.【高等遊民の哲学入門】哲学初心者が挫折なしに大学2年分の知識を身につける5つの手順
 
2. 【マガジン】プラトン『国家』の要約(全10冊)

 

1は「哲学に興味があって勉強したい。でも、どこから手を付ければいいのかな……」という方のために書きました。
 
5つの手順は「絶対挫折しようがない入門書」から始めて、書かれている作業をこなしていくだけ。
 
3か月ほどで誰でも哲学科2年生レベル(ゼミの購読で困らないレベル)の知識が身につきます。
 
3か月というのは、非常に長く見積もった目安です。1日1時間ほど時間が取れれば、1ヶ月くらいで十分にすべてのステップを終えることができるでしょう。
 
ちなみに15000文字ほどですが、ほとんどスマホの音声入力で書きました。

かなり難しい哲学の内容でも、音声入力で話して書けます。

音声入力を使いこなしたい方の参考にもなると思います。

 

2はプラトンの主著『国家』の要約です。
原型は10年前に作成した私の個人的なノートですが、今読んでも十分に役に立ちます。
岩波文庫で900ページ近くの浩瀚な『国家』の議論を、10分の1の分量でしっかり追うことができます
 
 

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