島本和彦というまんが家をご存知でしょうか?
大阪芸大在学中に『必殺の転校生』で少年サンデーにデビュー。
間もなく『炎の転校生』で少年サンデーにて連載開始。
20歳で全国レベルの少年週刊誌にデビューし、
以降第一線で活躍し続けているという、
経歴だけなら怪物のような天才まんが家です。
しかも大阪芸大でエヴァンゲリオンの庵野英明
をはじめとしたガイナックスのメンバーと同期でした。
経歴だけ見れば、庵野英明よりもはるかに先んじてデビューしています。
『炎の転校生』に代表される島本和彦の初期の作風は、
SF・アクション・ラブコメ・学園・スポ根といった
これまでのまんがの主要ジャンルをすべて包含しています。
全てを取り込みながら、全く新しい世界観を創出する。
まさに少年サンデーの生み出した怪物でした。
そう、経歴だけ見れば。
その島本和彦が自伝的作品である『アオイホノオ』を連載しました。
『アオイホノオ』は、主人公の焔燃(ホノオモユル)という
ひとかどのクリエイターを目指す男の大学生活を描いた物語です。
そこにいるのは天才ではなく
口ばかりで手を動かさない
面倒くさがりの若者の姿でした。
そして同級生の圧倒的な技量と才能に打ちのめされていく若者の姿でした。
「まんが家まんが」は
藤子A不二雄の『まんが道』に始まり、傑作が多いジャンルです。
しかしこのまんが、単なる「まんが家まんが」ではない。
物語の舞台、1980年当時のまんがを、
まさに快刀乱麻を断つがごとくバッサバッサと斬りまくる、
いわば「まんが評論まんが」でもあるのです。
そして私の今までのまんがの読み方を、根本から覆しました。
「オレは今までまんがを読んでいたのではなかった。
絵入りの字面を読んでいたにすぎなかったのだ・・・!!」と気づかされました。
そんな「まんが評論まんが」アオイホノオの名言はこちらで紹介しました。