平和の俳句はひどいのか徹底検証!いち東京新聞読者として物申す

 

東京新聞は朝刊の一面、左上に毎日「平和の俳句」というものを掲載しています。

募集はWeb上で行われており、誰でも投稿できるようになっています。

 

募集サイトはこちら↓

金子兜太、いとうせいこうが選ぶ「平和の俳句」 作品募集中 – 東京新聞

「平和の俳句」には、決まりはありません。1行の「詩」になっていれば、少しくらい575を逸脱してもかまいませんし、季語がなくても大丈夫。ひと仕事終えて体を伸ばす瞬間、湯気を上げるご飯を前にしたとき、あなたが笑ったとき。そのときの優しい気持ちだって「平和の俳句」になります。大人もこどもも、どなたでもどうぞ。大胆な発想で、わたしたちをドキドキさせてください。戦後70年が80年、100年、永遠へと続くよう、ささやかな願いを込めた、この「軽やかな平和運動」に皆さんも参加してみませんか。

(上記サイトより引用)

このサイトでは、過去に紙上掲載された作品も見ることができます。1日1句、入選作品として掲載されています。

しかしそれがインターネットを中心に、「ひどい」「妄想俳句」「護憲の俳句」などという批判が存在します。(まあツイッターや2ちゃんねる系発の批判ではありますが。)

わたしは東京新聞の購読者で、この平和の俳句はいつも目に留まります。基本的には特別何も感じないのですが、やはり時々は「これはちょっとなあ」という印象を受けるのもあります。

批判するようで恐縮ですが、購読者なのだから、多少文句を言っても許される立場にあると認識しています。

平和の俳句をひろってみる

平和の俳句は戦後70年、2015年の1月1日から始まったそうで、2017年の今年で3年目です。そんな2017年の俳句をずらっと並べてみましょう。

・平和の代嚊嬶(かかあ)天下の増える家(1月8日)

・いま何処(どこ)にあの一喝のサイトウタカオ(1月7日)

・原爆の怖さを知った15歳(1月6日)

・青大将平和を念じ冬眠す(1月5日)

・曽祖父が戦争語るぼくは聞く(1月4日)

・初夢や世界が武器を捨てた夢(1月3日)

・寝た気する起きた気のする平和かな(1月1日)

(引用はすべて上記サイトより)

いかがでしょうか。別に目くじら立てて「ひどい」というような俳句もないように思えますが。

わたしの感覚ではこの3つなんか、なかなか良いと感じます。

 

・青大将平和を念じ冬眠す(1月5日)

・曽祖父が戦争語るぼくは聞く(1月4日)

・初夢や世界が武器を捨てた夢(1月3日)

 

他方で、1月7日の作品は、個人的には俳句としてそれほど優れているとは思えません。

それでも「サイトウタカオという人がいたんだなあ」くらいには思いますから、悪くないのかもしれません。

 

「平和の俳句」じゃなくて「護憲の俳句」だ、というような批判もあります

が、東京新聞自体が、大手全国紙と比較して左派的な主張が数多く見られます。

よくもまあこんなに左派的な体制批判ができるなあ、自民党への悪口が言えるなあ、と思うほどです。

 

こんな感じなので、東京新聞の報道姿勢を考慮に入れれば、

「平和の俳句」については、一部の人が批判するほどひどいものではない、

と個人的には感じます。その報道姿勢自体に問題があるかどうかは、また別の話です。

 

ただ、まあこれはちょっとな・・・と思う俳句もあるにはあります。

 

これは本当に平和の俳句?

他方でわたしの気に入らない俳句があります。

・日本は平和についてあさはかだ(12月25日)

 (評者コメント)言い切って見事なり。「あさはかだ」が図星と言いたい。語られることは多くなっているが真剣味が足りない。考え方が甘いのだ。

これは、クリスマスに紙上で目に留めたときに、さすがに「ひどい」と感じました。(購読者なのだから文句言っても許してください。)

なぜこれが、私が個人的に気に入らないかと言いますと、

この俳句には「芸術性のかけらもない」と感じるからです。

 

わたしが先ほど悪くないとして挙げた3つの句には、

「青大将」や「初夢」という言葉が使われ、句の中に文学性が感じられました

もう一つの句である「曽祖父から話をきいているぼく」というのも、一つの情景描写として優れていると思います。

 

それが、この「日本は平和についてあさはかだ」という句になると、文学性も描写も一切ない。平凡な言葉の羅列がたまたま17字になったという感があります。

そして評者のコメント。「言い切って見事。」これは百歩譲って認めます。ここだけで選んだのでしょう。確かに大胆といえば大胆です。

しかし次の「「あさはかだ」が図星と言いたい」。これはねえ。私には何が「あさはか」なのか何も説明されていないので理解できませんでした。

具体性が一切ない言葉に、図星も的外れもないでしょう。「あさはか」とは宙に浮いてふわふわと漂う綿毛のような言葉としか思えません。

あさはかが ふわりとただよう クリスマス

としか思えません。

こうした抽象的で無内容なことばに対して「図星」だとか言って無理やり意味を持たせようとする。さらに言えば「図星」ということばが意味する内容も理解不能。

無内容なことばに対して、無内容な意味づけをする。

二重に無内容であるにもかかわらず、「あさはか」という言葉によって雰囲気だけは「現政権によって平和が脅かされている」というニュアンスを帯びる。

これはどうかと思いますね。

平和の俳句によって不穏な印象を読者に与えるのは、個人的には好ましくないと考えます。

 

まとめ

「平和の俳句」は基本的には良質な句で占められていますが、ごく稀に、芸術的に全く優れていない句が入選されることがある、といったところでしょうか。

もしかしたら、その日は良い句がなかったかもしれません。再三にわたって念押ししますが、わたしは東京新聞の購読者なので、ちょっとくらい文句言っても許してください。

東京新聞

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2 件のコメント

    • おっしゃるとおりですね!
      一面記事にありますし、なんだかんだで毎日観てしまいます。
      最近は、平和の俳句にプレバトの俳句の先生(夏井先生)が評者としてコメントされているので、いっそう楽しいですね。
      毒舌は全然出てこないのがちょっと残念ですが(笑)

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