荒俣宏『ホラー小説講義』文献リンク集西洋編(暫定版)

荒俣宏(1999)『ホラー小説講義』角川書店による。

主に巻末の年表を参考に作成。wikiのリンクを埋め込んだ。

 

年代 : 作者 『作品』の順

リンクはことわりのない限り、wikipediaより。日本版に限りました。

リンクのないものはwiki日本版にないもの。

外国語版wikiを入れるか、その他サイト(出版社等)を入れるか検討中。

作者名や作品名の間違い(のために検索されないもの)もあるかもしれません。

wikiに飛んで、適当にサーフィンして頂くことを念頭に置いています。

ポチポチクリックして、何となく説明を読むだけでも、
いっぷう変わった文学史の概観が得られると思います。

 

 

ホラー文学史は18世紀英国から始まった。近代文豪によるホラー小説の卵

ホラー小説は18世紀のイギリスで生まれ、成長しました。
というより、小説自体が、18世紀のイギリスで生まれたのです。
この時期は、ホラーというジャンルはまだありません。
「不気味な話」「怖い話」を書こうという作家の意志によって単発的・偶発的に書かれた時代でした。

1726 : スウィフトガリヴァー旅行記』  

1740 : サミュエル・リチャードソン 『パミーラ』
1747 : サミュエル・リチャードソン 『クラリッサ

1751 : ヘンリー・フィールディング 『アミーリア』
1759 : ヴォルテールカンディード
1764 : ホレス・ウォルポール 『オトラント城奇譚』
1772-80 : ディドロ 『ブーゲンヴィル航海記補遺』(ルイ・アントワーヌ・ド・ブーガンヴィル

1773 : ビュルガー 『レノーレ』
1778 : クララ・リーヴ 『老男爵』
1782 :ウィリアム・トマス・ベックフォード『ヴァテック』

1785 : ソフィア・リー 『奥まった場所』
    アン・ラドクリフ 『アリスンとダンバインの城』
1790 : アン・ラドクリフ 『シチリアのロマンス』
1791 : サド 『ジュスティーヌ』
1793 : アン・ラドクリフ 『森のロマンス』
1794 : アン・ラドクリフ 『ユードルフォの秘密

1796 : マシュー・グレゴリー・ルイス 『マンク(破戒僧)』
1797 : サド 『悪徳の栄え』
1797 : アン・ラドクリフ 『イタリア人』
1797 : ゲーテ 『コリントの花嫁』
1798 : サミュエル・テイラー・コールリッジ『老水夫行』

19世紀ホラー文学。吸血鬼とフランケンシュタインの誕生

19世紀になると、ホラーがジャンルとして確立してきます。
ホラー作家というべき人物も登場し始めました。

中でも吸血鬼という素材は、その後数多くの傑作を生みだしました。
ドラキュラは、その中で生まれた1人の吸血鬼なのです。

1812 : グリム兄弟子どもと家族のための昔話集
1816 : サミュエル・テイラー・コールリッジ 『クリスタベル姫』
1816 : バイロン 『シヨンの囚人』
1816 : E.T.A.ホフマン 『砂男

1818 : メアリ・シェリーフランケンシュタイン
1819 : ポリドリ 『吸血鬼』
1820 :チャールズ・ロバート・マチューリン『放浪者メルモス』

1838 : ポーアーサー・ゴードン・ピムの物語
1840頃 : アンデルセンある母親の話
1840 : アンデルセン 『マッチ売りの少女
1842 :エドワード・ブルワー=リットン『ザノーニ』

1842 : ポー 『赤死病の仮面』 1964映画
1845 : シェリダン・レ・ファニュ 『雄鶏と錨』
1846 : アンデルセン 『雪の女王
1847 : トマス・ペケット・プレスト 『吸血鬼ヴァーニ』
1847 : シェリダン・レ・ファニュ 『ターログ・オブライエン』
1859 : エドワード・ブルワー=リットン 『幽霊屋敷』
1862 : エドワード・ブルワー=リットン 『ストレンジ・ストーリー』
1864 : シェリダン・レ・ファニュ 『サイラス叔父』
1865 : ルイス・キャロル 『不思議の国のアリス』
1871 : エドワード・ブルワー=リットン 『きたるべき種族』
1872 : シェリダン・レ・ファニュ 『曇りガラスの中』
1872 : シェリダン・レ・ファニュ 『緑茶』
1872 : シェリダン・レ・ファニュ吸血鬼カーミラ

1883 :オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダン『残酷物語』

1886 :オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダン 『未来のイヴ
1888-1962 : 『グラン・ギニョール
1891 : ユイスマンス彼方
1896 : ゲアハルト・ハウプトマン『沈鐘』

1896 :ウェルズ 『モロー博士の島
1897 : ブラム・ストーカードラキュラ
1898 : ヘンリー・ジェームズねじの回転
1898 : ユイスマンス 『大伽藍』
1898 : ユイスマンス 『ルルドの群衆』

20世紀 徹底したホラー性の追求・映画の登場

20世紀はこれまでのホラー文学をさらに徹底させた時代でした。
特に19世紀後半に登場した「グランギニョル」という劇団による影響が大きいです。

「グランギニョルを鑑賞するには、事前に医師の診察が必要」とまで言われた恐怖・残酷演劇でした。

これに触発され、徹底したホラー性・極限まで恐怖や残酷性をついきゅうした作品が数多く生まれました。

さらにホラー専門の雑誌(ミステリ・マガジン的な)が数多く出版され、大衆にホラー文学が愛される時代となりました。

また、映画の登場により、

  • かつてのホラー文学の映画化
  • 映画オリジナルのホラー映画

が数多く登場しました。

1902 : アンドレ・ド・ロルド 『電話口にて』 脚本
1903 : アンドレ・ド・ロルド 『グドロン博士とブリュム教授の療法』 脚本
1903 : モーリス・ルヴェル 『闇の中の接吻』 脚本(リンクは東京創元社)
1907 : アンドレ・ド・ロルド 『恐怖の島』 脚本
1908 : アンリ・バルビュス 『地獄』
1910 : ガストン・ルルーオペラ座の怪人
1913 : サックス・ローマー怪人フー・マンチュー
1914 : ウィリアム・H・ホジスン『幽霊狩人カーナッキ』

1916 : サックス・ローマー 『悪魔博士』
1919 : ロベルト・ヴィーネカリガリ博士の部屋』 (無声映画)
1919-21 : カール・ハンス・シュトローブル 『デア・オルキデーンガルデン』
1920 : モーリス・ルヴェル 『ある精神異常者』
1920 : モーリス・ルヴェル 『麦畑』
1923-54 : 『ウィアード・テールズ創刊』
1925 : ルパート・ジュリアンオペラの怪人(映画)
1926 : ラヴクラフト 『アウトサイダー』
1927 : ラヴクラフト 『文学における超自然的恐怖』
1927 : エドワード・ルーカス・ホワイト 『ルクンドー』
1929 : ラヴクラフト 『ダニッチの怪
1930 : レーリッフ 『シャンバラ』
1930 : オラフ・ステープルドン 『スターメイカー』
1931-55 : 『ダイム・ディテクティヴ・マガジン』
1931 : ラヴクラフト 『闇にささやく者』
1932 : トッド・ブラウニングフリークス(怪物団)(映画)』
1932-50 : 『ダイム・ミステリ・マガジン』
1932 : メリアン・クーパー、アーネスト・シェードサック監督『キングコング(映画)
1933-43 : 『ザ・スパイダー』
1933 : ラヴクラフト 『魔女の家で見た夢』
1934-41 : 『テラー・テールズ』
1934-42 : 『スパイシー・アドヴェンチャー・ストーリーズ』
1934-42 : 『スパイシー・ディテクティヴ・ストーリーズ』
1935-42 : 『スパイシー・ミステリー・ストーリーズ』
1935-44 : 『ホラー・ストーリーズ』
1936 : ラヴクラフト 『超時間の影』
1936 : ラヴクラフト 『狂気の山にて
1936 : ラヴクラフト 『インスマウスの影
1938 : シーベリー・クイン 『道』
1941 : ラヴクラフト 『チャールズ・ウォードの奇怪な事件

1944 : ホワイトヘッド 『ジャンビー』
1945 : ボルヘストレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス

1946 : コクトー美女と野獣(映画)
1950 : マーヴィン・ピークゴーメンガースト
1950 : ロバート・アーウィン・ハワード作、ディ・キャンプ編纂補佐
    『征服王コナン
1954 : トールキン指輪物語
1956 : フリオ・コルタッサル 『続いている公園』
1957 : ヴァーマ 『ゴシックの炎』
1959 : マーヴィン・ピーク 『タイタス・アローン』
1960 : ヒッチコック 『サイコ』
1960 : ルイ・ヴァックス 『幻想の美学』
1962 : コリン・ウィルソン 『夢見る力』
1966 : ジョン・バース 『やぎ少年ジャイルズ』
1966 : トマス・ピンチョン競売ナンバー49の叫び
1967 : アイラ・レヴィンローズマリーの赤ちゃん』1968映画
1970 : ウィリアム・ピーター・ブラッティ『エクソシスト(小説)』 1973映画

1971 : スピルバーグ 『激突(映画)
1972 : レイモンド・マクナリー、ラドゥ・フロレスク『ドラキュラ伝説―吸血鬼のふるさとをたずねて』
1973 : アンディ・ウォーホール『悪魔のはらわた(映画)』
1973 : ウィリアム・フリードキン 『エクソシスト(映画)
1973 : ブライアン・オールディス 『解放されたフランケンシュタイン』
1974 : スティーヴン・キングキャリー
1975 : スティーヴン・キング 『呪われた町
1975 : スピルバーグ 『ジョーズ(映画)
1977 : スティーヴン・キング 『シャイニング』 1980映画
1979 : スティーヴン・キング『霧』
1979 : スタン・ドラゴッティ 『ドラキュラ都へ行く(映画)』
1980 : スピルバーグ 『未知との遭遇(映画)
1980 : 『十三日の金曜日(映画)
1981 : スティーヴン・キングクージョ
1983 : サム・ライミ 『死霊のはらわた(映画)
1983 : スティーヴン・キング 『ペット・セマタリー』 1989映画
1984 : ウェス・クレイヴンエルム街の悪夢(映画)
1986 : ケン・ラッセルゴシック(映画)
1986 : スピルバーグ 『グーニーズ(映画)
1987 : ロバート・R・マキャモン 『ベスト・フレンズ』

1987 : ロバート・R・マキャモン『水の底』
1987 : ロバート・R・マキャモン『スワン・ソング』
1987 : クライヴ・バーカーヘル・レイザー(映画)
1989 : スティーヴン・キング 『悪魔の種子』
1990 : デヴィット・リンチツイン・ピークス(映画)

 

ほか参考

吸血鬼を題材にした作品の一覧 – Wikipedia

 

高等遊民のnoteの紹介

 

noteにて、哲学の勉強法を公開しています。

 

現在は1つのノートと1つのマガジン。

 

1.【高等遊民の哲学入門】哲学初心者が挫折なしに大学2年分の知識を身につける5つの手順

2. 【マガジン】プラトン『国家』の要約(全10冊)

 

1は「哲学に興味があって勉強したい。でも、どこから手を付ければいいのかな……」という方のために書きました。

5つの手順は「絶対挫折しようがない入門書」から始めて、書かれている作業をこなしていくだけ。

3か月ほどで誰でも哲学科2年生レベル(ゼミの購読で困らないレベル)の知識が身につきます。

3か月というのは、非常に長く見積もった目安です。1日1時間ほど時間が取れれば、1ヶ月くらいで十分にすべてのステップを終えることができるでしょう。

ちなみに15000文字ほどですが、ほとんどスマホの音声入力で書きました。

かなり難しい哲学の内容でも、音声入力で話して書けます。

音声入力を使いこなしたい方の参考にもなると思います。

 

2はプラトンの主著『国家』の要約です。
原型は10年前に作成した私の個人的なノートですが、今読んでも十分に役に立ちます。
岩波文庫で900ページ近くの浩瀚な『国家』の議論を、10分の1の分量でしっかり追うことができます

\無料試し読み部分たっぷり/

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