主に巻末の年表を参考に作成。wikiのリンクを埋め込んだ。
年代 : 作者 『作品』の順
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いっぷう変わった文学史の概観が得られると思います。
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ホラー文学史は18世紀英国から始まった。近代文豪によるホラー小説の卵
ホラー小説は18世紀のイギリスで生まれ、成長しました。
というより、小説自体が、18世紀のイギリスで生まれたのです。
この時期は、ホラーというジャンルはまだありません。
「不気味な話」「怖い話」を書こうという作家の意志によって単発的・偶発的に書かれた時代でした。
1740 : サミュエル・リチャードソン 『パミーラ』
1747 : サミュエル・リチャードソン 『クラリッサ』
1751 : ヘンリー・フィールディング 『アミーリア』
1759 : ヴォルテール 『カンディード』
1764 : ホレス・ウォルポール 『オトラント城奇譚』
1772-80 : ディドロ 『ブーゲンヴィル航海記補遺』(ルイ・アントワーヌ・ド・ブーガンヴィル)
1773 : ビュルガー 『レノーレ』
1778 : クララ・リーヴ 『老男爵』
1782 :ウィリアム・トマス・ベックフォード『ヴァテック』
1785 : ソフィア・リー 『奥まった場所』
アン・ラドクリフ 『アリスンとダンバインの城』
1790 : アン・ラドクリフ 『シチリアのロマンス』
1791 : サド 『ジュスティーヌ』
1793 : アン・ラドクリフ 『森のロマンス』
1794 : アン・ラドクリフ 『ユードルフォの秘密』
1796 : マシュー・グレゴリー・ルイス 『マンク(破戒僧)』
1797 : サド 『悪徳の栄え』
1797 : アン・ラドクリフ 『イタリア人』
1797 : ゲーテ 『コリントの花嫁』
1798 : サミュエル・テイラー・コールリッジ『老水夫行』
19世紀ホラー文学。吸血鬼とフランケンシュタインの誕生
19世紀になると、ホラーがジャンルとして確立してきます。
ホラー作家というべき人物も登場し始めました。
中でも吸血鬼という素材は、その後数多くの傑作を生みだしました。
ドラキュラは、その中で生まれた1人の吸血鬼なのです。
1812 : グリム兄弟 『子どもと家族のための昔話集』
1816 : サミュエル・テイラー・コールリッジ 『クリスタベル姫』
1816 : バイロン 『シヨンの囚人』
1816 : E.T.A.ホフマン 『砂男』
1818 : メアリ・シェリー 『フランケンシュタイン』
1819 : ポリドリ 『吸血鬼』
1820 :チャールズ・ロバート・マチューリン『放浪者メルモス』
1838 : ポー 『アーサー・ゴードン・ピムの物語』
1840頃 : アンデルセン 『ある母親の話』
1840 : アンデルセン 『マッチ売りの少女』
1842 :エドワード・ブルワー=リットン『ザノーニ』
1842 : ポー 『赤死病の仮面』 1964映画
1845 : シェリダン・レ・ファニュ 『雄鶏と錨』
1846 : アンデルセン 『雪の女王』
1847 : トマス・ペケット・プレスト 『吸血鬼ヴァーニ』
1847 : シェリダン・レ・ファニュ 『ターログ・オブライエン』
1859 : エドワード・ブルワー=リットン 『幽霊屋敷』
1862 : エドワード・ブルワー=リットン 『ストレンジ・ストーリー』
1864 : シェリダン・レ・ファニュ 『サイラス叔父』
1865 : ルイス・キャロル 『不思議の国のアリス』
1871 : エドワード・ブルワー=リットン 『きたるべき種族』
1872 : シェリダン・レ・ファニュ 『曇りガラスの中』
1872 : シェリダン・レ・ファニュ 『緑茶』
1872 : シェリダン・レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』
1883 :オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダン『残酷物語』
1886 :オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダン 『未来のイヴ』
1888-1962 : 『グラン・ギニョール』
1891 : ユイスマンス 『彼方』
1896 : ゲアハルト・ハウプトマン『沈鐘』
1896 :ウェルズ 『モロー博士の島』
1897 : ブラム・ストーカー 『ドラキュラ』
1898 : ヘンリー・ジェームズ 『ねじの回転』
1898 : ユイスマンス 『大伽藍』
1898 : ユイスマンス 『ルルドの群衆』
20世紀 徹底したホラー性の追求・映画の登場
20世紀はこれまでのホラー文学をさらに徹底させた時代でした。
特に19世紀後半に登場した「グランギニョル」という劇団による影響が大きいです。
「グランギニョルを鑑賞するには、事前に医師の診察が必要」とまで言われた恐怖・残酷演劇でした。
これに触発され、徹底したホラー性・極限まで恐怖や残酷性をついきゅうした作品が数多く生まれました。
さらにホラー専門の雑誌(ミステリ・マガジン的な)が数多く出版され、大衆にホラー文学が愛される時代となりました。
また、映画の登場により、
- かつてのホラー文学の映画化
- 映画オリジナルのホラー映画
が数多く登場しました。
1902 : アンドレ・ド・ロルド 『電話口にて』 脚本
1903 : アンドレ・ド・ロルド 『グドロン博士とブリュム教授の療法』 脚本
1903 : モーリス・ルヴェル 『闇の中の接吻』 脚本(リンクは東京創元社)
1907 : アンドレ・ド・ロルド 『恐怖の島』 脚本
1908 : アンリ・バルビュス 『地獄』
1910 : ガストン・ルルー 『オペラ座の怪人』
1913 : サックス・ローマー 『怪人フー・マンチュー』
1914 : ウィリアム・H・ホジスン『幽霊狩人カーナッキ』
1916 : サックス・ローマー 『悪魔博士』
1919 : ロベルト・ヴィーネ 『カリガリ博士の部屋』 (無声映画)
1919-21 : カール・ハンス・シュトローブル 『デア・オルキデーンガルデン』
1920 : モーリス・ルヴェル 『ある精神異常者』
1920 : モーリス・ルヴェル 『麦畑』
1923-54 : 『ウィアード・テールズ創刊』
1925 : ルパート・ジュリアン 『オペラの怪人(映画)』
1926 : ラヴクラフト 『アウトサイダー』
1927 : ラヴクラフト 『文学における超自然的恐怖』
1927 : エドワード・ルーカス・ホワイト 『ルクンドー』
1929 : ラヴクラフト 『ダニッチの怪』
1930 : レーリッフ 『シャンバラ』
1930 : オラフ・ステープルドン 『スターメイカー』
1931-55 : 『ダイム・ディテクティヴ・マガジン』
1931 : ラヴクラフト 『闇にささやく者』
1932 : トッド・ブラウニング 『フリークス(怪物団)(映画)』
1932-50 : 『ダイム・ミステリ・マガジン』
1932 : メリアン・クーパー、アーネスト・シェードサック監督『キングコング(映画)』
1933-43 : 『ザ・スパイダー』
1933 : ラヴクラフト 『魔女の家で見た夢』
1934-41 : 『テラー・テールズ』
1934-42 : 『スパイシー・アドヴェンチャー・ストーリーズ』
1934-42 : 『スパイシー・ディテクティヴ・ストーリーズ』
1935-42 : 『スパイシー・ミステリー・ストーリーズ』
1935-44 : 『ホラー・ストーリーズ』
1936 : ラヴクラフト 『超時間の影』
1936 : ラヴクラフト 『狂気の山にて』
1936 : ラヴクラフト 『インスマウスの影』
1938 : シーベリー・クイン 『道』
1941 : ラヴクラフト 『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』
1944 : ホワイトヘッド 『ジャンビー』
1945 : ボルヘス 『トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス』
1946 : コクトー 『美女と野獣(映画)』
1950 : マーヴィン・ピーク 『ゴーメンガースト』
1950 : ロバート・アーウィン・ハワード作、ディ・キャンプ編纂補佐
『征服王コナン』
1954 : トールキン 『指輪物語』
1956 : フリオ・コルタッサル 『続いている公園』
1957 : ヴァーマ 『ゴシックの炎』
1959 : マーヴィン・ピーク 『タイタス・アローン』
1960 : ヒッチコック 『サイコ』
1960 : ルイ・ヴァックス 『幻想の美学』
1962 : コリン・ウィルソン 『夢見る力』
1966 : ジョン・バース 『やぎ少年ジャイルズ』
1966 : トマス・ピンチョン 『競売ナンバー49の叫び』
1967 : アイラ・レヴィン 『ローズマリーの赤ちゃん』1968映画
1970 : ウィリアム・ピーター・ブラッティ『エクソシスト(小説)』 1973映画
1971 : スピルバーグ 『激突(映画)』
1972 : レイモンド・マクナリー、ラドゥ・フロレスク『ドラキュラ伝説―吸血鬼のふるさとをたずねて』
1973 : アンディ・ウォーホール『悪魔のはらわた(映画)』
1973 : ウィリアム・フリードキン 『エクソシスト(映画)』
1973 : ブライアン・オールディス 『解放されたフランケンシュタイン』
1974 : スティーヴン・キング 『キャリー』
1975 : スティーヴン・キング 『呪われた町』
1975 : スピルバーグ 『ジョーズ(映画)』
1977 : スティーヴン・キング 『シャイニング』 1980映画
1979 : スティーヴン・キング『霧』
1979 : スタン・ドラゴッティ 『ドラキュラ都へ行く(映画)』
1980 : スピルバーグ 『未知との遭遇(映画)』
1980 : 『十三日の金曜日(映画)』
1981 : スティーヴン・キング『クージョ』
1983 : サム・ライミ 『死霊のはらわた(映画)』
1983 : スティーヴン・キング 『ペット・セマタリー』 1989映画
1984 : ウェス・クレイヴン 『エルム街の悪夢(映画)』
1986 : ケン・ラッセル 『ゴシック(映画)』
1986 : スピルバーグ 『グーニーズ(映画)』
1987 : ロバート・R・マキャモン 『ベスト・フレンズ』
1987 : ロバート・R・マキャモン『水の底』
1987 : ロバート・R・マキャモン『スワン・ソング』
1987 : クライヴ・バーカー 『ヘル・レイザー(映画)』
1989 : スティーヴン・キング 『悪魔の種子』
1990 : デヴィット・リンチ 『ツイン・ピークス(映画)』
ほか参考