火垂ると蛍の意味の違いは?語源から分かる火垂るの墓のタイトルの真意

火垂ると蛍って、なにか意味の違いあるのかなあ?

 

火垂るの墓が上映されますね。2018年4月に高畑勲監督がなくなりました。

いつもは数年に1度夏にテレビでロードショーで放送される火垂るの墓。

追悼として4月の13日に放送されます。

そこで気になったのが、現代の漢字ですね。ホタルは普通、蛍と書きます。けれども、野坂昭如の原作小説『火垂るの墓』では「火垂る」と書きますね。

一体どうしてこんな漢字を使ったのでしょうか?

  • 火垂るは、野坂昭如が考えた当て字なのでしょうか?
  • それとも元々昔から使われていた漢字なのでしょうか?

その辺を調べてみました。

 

火垂ると蛍の違いは江戸時代の百科事典にあり

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火垂るの使い方はかなり文学的ですね。

江戸時代にはすでに普通の旧字体の螢の方が使われていました。

あくまで語源として火が垂れるという言葉が使われていたようですね。

江戸時代に貝原益軒という大人物が書いた百科事典「大和本草」があります。

そこで「ホタルとは火が垂れるという意味ですよ」と説明されています。

ちょっとその部分を画像として引っ張ってくると以下です。

「螢火。ホは火なり、タルは垂なり」

http://www.nakamura-u.ac.jp/library/kaibara/archive01/table.html

 

火垂る(蛍)漢字の語源は?

古い旧字体では、螢と書きます。

やはりもともと日本人は蛍を見て、火をイメージしていたのですね。

「火が2つにウ冠」

この部分はかがり火の意味だそうです。かがり火とは「夜間の警護・照明や漁のためにたく火」のこと。

火が2つあって燭台のように見えますね。

蛍の光を、炎としてとらえて、それが上から下に垂れているということですね。

 

火垂るの墓の舞台で起きた神戸大空襲の焼夷弾が火垂る

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さらに、火垂るの墓という作品をとあわせて考えると?

空からアメリカ軍が落としてくる焼夷弾。

このイメージとホタルが重なり合わさっているのではないでしょうか。

というのも、焼夷弾は昼夜問わず爆撃機から落とされます。

火垂るの墓の舞台は神戸です。

神戸の大空襲ではおよそ3,000トンもの焼夷弾が落とされました。ちなみに東京大空襲では2,000トン。

神戸の大空襲のほうが1.5倍も被害の規模が大きかったんですね。

10トントラックが300台ですよ。

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恐ろしいですね。焼夷弾は、夜、炎上げながら空から落ちてくるものでした。

ちなみに雑談がありまして、火垂るの墓のその焼夷弾爆撃のシーンを作るにあたり、高畑勲監督は焼夷弾の資料を徹底的に集めたそうです。その時に判明したことは焼夷弾は構造上絶対に空中で発火することはないという科学者の結論でした。

焼夷弾は地面に当たった衝撃によってちょっと間をおいて気がつくそうです。なので、空中落下中に衝撃を受けて着火することは構造上ありえないそうです。

この報告を聞いた高畑監督は激怒したそうです。

「そんなバカな。確かに空から降ってきている段階で、焼夷弾は燃えていたのだった。それは自分だけが言っているのではなく、ほかの何人の人たちも同じような証言している」と。

なので、空から真っ赤に燃える焼夷弾が降ってくるイメージと蛍の光のイメージが重なり合っていると思われます。

 

火垂るの墓のタイトルの意味は?

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そもそも火垂るの墓という題名のタイトルの由来や意味ですが、これはお話の中で妹の節子が火垂るの墓をつくるからです。

ストーリーは当然ご存知のものだとして、清太と節子は、おばさんの家を離れて横穴で2人暮らしを始めますよね。

そんなときに近くの水辺で、ホタルをたくさん捕まえてバケツにためておき、夜になったら、蚊帳の中でそのホタルを放つのです。

すると蚊帳の中は蛍でいっぱいになって、とってもきれいだねっていう話があります。

その翌日に、蛍の死骸やたくさんあります。しんでしまったホタルたちのお墓を節子が作ってあげるんですね。

さらに野坂昭如さん自身が、別の文章でこう語っているそうです。

「しんみり、しつとり」私小説、題名は「蛍の川」とし、すぐ伊藤桂一の受賞作「蛍の河」に思い当り、しかし蛍に執着があった。百科辞典をひくと、古語に「火垂る」、火が垂れる、つまり空襲、すぐ「墓」とつづいた。

やはり、空襲のイメージとかけあわさっているんですね。

 

まとめ

 

火垂ると蛍の違い

  1. 火垂るは江戸時代の百科事典に載っている古語
  2. 火が垂れるから火垂る
  3. 野坂昭如氏はまず「蛍」を思い浮かべ、百科事典を調べて火垂るを見つけた
  4. そして空襲のイメージと対比させて火垂るを選択した

 

火垂るの墓は、観たくない、かわいそう、という意見もありますね。

でも、あれは本当に素晴らしい映画だと思います。

なんでもフランスでは20年間、劇場上映が続いていたそうですよ。

この名作の名作たるゆえんを、また語る機会を持ちたいと思います!

 

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1 個のコメント

  • 高畑監督も焼夷弾が燃えながら落ちてくるか気にしていたのですね。
    良いことを知りました。ありがとうございました。

    でも、多くの人が証言しているというのは、本当のことを言っているのだと思いますよ。

    日本の空襲で使われた米軍のM69焼夷弾については、平塚柾緒『日本空襲の全貌』(洋泉社、2015年)という本に、

    「信管(フューズ)を下に向けて落下するために、約1m(3フィート)の長さのストリーマーと呼ばれる麻製のリボンを展開する。親爆弾を開裂し子爆弾を散開する際に使用される爆薬によって、ストリーマーにも火がつくので、「地上からは火の雨が降ってくるように見えた」と言われている。」

    という情報がありました(ウィキペディアの「M69焼夷弾」に書き込んでおきました)。
    この本を読んだとき「火垂る」という意味がわかったのでした(映画は見ていません)。

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