火垂るの墓原作とアニメ映画の違いってあるの?
火垂るの墓と言えばスタジオジブリの高畑勲監督のアニメ映画が有名ですよね。
でもこの原作の小説を読んだ人ってかなり少ないのでは?
原作小説の作者は野坂昭如です。野坂昭如の実体験をもとにした、半自伝的小説。
それがこの火垂るの墓です。
火垂るの墓はアニメ映画ですら見るのが辛くて、
「とても素晴らしい作品ではあるけれど、繰り返し見たいとは思わない」
そんな映画じゃないですか?
だから原作小説があるというのは知ってても、
- 原作小説はもっとひどいんじゃないか
- 悲しい物語で原作までは読む気しないわ
そんなふうに思う人が多いでしょう。
実は私もそうでした。高等遊民を名乗っておきながら、火垂るの墓の原作小説ですら今まで読まずに生きてました。
しかし高畑勲監督の逝去のニュース。
火垂るの墓が追悼記念としてテレビ放送されます。
「もうこの機会を逃したら原作小説の火垂るの墓を読むこともないだろう。」
そう思って読んでみました。
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火垂るの墓原作小説は30ページに満たない短編
まず1つお伝えしたいのは、かなり短い小説であること。
- 普通、小説といえば200ページくらい。
- ちょっと長いと300ページくらい
しかし火垂るの墓はもう短編小説くらいの量です。ページ数で言えば30ページぐらいの小説なんです。
「こんな短い小説だったのか!」
というのがまず一番の驚きでした。
原作あらすじ
ウィキペディアからあらすじを引用します。
とはいえウィキペディアはわかりにくいあらすじなので適宜読みやすく編集しました。
(オープニング)
1945年(昭和20年)9月21日、清太は三ノ宮駅構内で衰弱死した。清太の所持品は錆びたドロップ缶。その中には妹・節子の小さな骨片が入っていた。駅員がドロップ缶を見つけ、無造作に草むらへ放り投げる。地面に落ちた缶からこぼれ落ちた遺骨のまわりに蛍がひとしきり飛び交い、やがて静まる。
(本編)
4歳の節子と兄14歳の清太。6月5日の神戸大空襲で母も家も失い、おばさんの家に身を寄せることになる。
(おばさんとの生活と横穴暮らし)
戦争が進むにつれて、二人を邪魔扱いするおばさん。居心地が悪くなった清太は節子を連れて家を出ることを決心。近くの貯水池のほとりにある防空壕の中で暮らし始める。しかし、配給は途切れがちで、情報や近所付き合いもないので、食料が得られない。節子は徐々に栄養失調で弱っていった。
清太は畑から野菜を盗み、空襲で火事場泥棒し、時には見つかり殴られた上に派出所に突き出されながらも飢えをしのいだ。
(衰弱する節子)
ある日、川辺で倒れている節子を発見した清太。病院に連れていくも医者に「滋養を付けるしかない」と言われる。銀行から貯金を下ろして食料の調達に走る最中、日本が降伏して戦争は終わったことを知った。清太は日本が敗戦し、父の所属する連合艦隊も壊滅したと聞かされショックを受ける。
節子に食べ物を食べさせるものの既に手遅れで、節子は終戦から7日後の8月22日に短い生涯を閉じた。節子を荼毘に付した後、清太は防空壕を去る。
その清太もまた栄養失調に侵されており、身寄りも無い。三ノ宮駅に寝起きする戦災孤児の一人として野垂れ死んだ。清太は他の2、30体の死体と共に荼毘に付され、無縁仏として納骨堂へ収められた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E5%9E%82%E3%82%8B%E3%81%AE%E5%A2%93
まあひどい話です。
原作とアニメの違いはほぼなし!非常に忠実な再現
そして原作とアニメの違いですが、これは正直言ってほとんどありません。
よくほかの原作小説のドラマ化・アニメ化・映画化は、
- 人物設定は変えるわ
- 勝手に新たな人物を作るわ、
- ストーリーは変えるわ
- 全然違う結末にするわ
やりたい放題ですよね。
そのような設定変更がアニメ映画にはほとんどありません。これが驚きでした。
野坂昭如氏自身こう言ってます。
「自分の作品が実写化されれば、もう自分の作品とは関係ない。いくら換骨奪胎されても構わない。」
そんなことをおっしゃっています。しかし、、、
「火垂るの墓についてはちょっと思い入れがある。だから、あんまり設定変更されたりストーリーをいじくられると嫌だなぁ」
そう思っていたそうです。
そして高畑勲氏からアニメ化の話が。
打ち合わせをしたりして試作や絵を野坂昭如さんに見せました。
野坂昭如さんは驚愕したそうです。
「実写映画では絶対に再現不可能な、戦時中の神戸の街並みや田んぼがそっくり再現されている。」
そう感じたそうです。「アニメ恐るべし」という文章も野坂昭如さんが残しています。
節子の年齢は実話と小説で異なる。アニメは小説に合わせている
節子の違いは?
原作と実話との違いは、節子の年齢ですね。
野坂昭如さんの実際の妹さんは2歳に満たないくらいの女の子でした。ほとんど喋れもしない。
しかし『火垂るの墓』原作小説およびアニメ版では4歳の妹になっています。
なのでだいぶ自分でも歩けるし、しゃべることもできます。
清太の違いは?
清太の違いはほとんどありません。14歳の少年。
父親は海軍の大尉で、もともとは裕福だった。物語の冒頭で神戸の三宮駅で死亡することも同じです。
お母さん(母親)の違いは?
清太と節子のお母さんも、原作とアニメでほとんど変わりがないです。
2人よりも防空壕に先に避難しようとした際に空襲に襲われ全身に大やけどを負います。
上半身を包帯でぐるぐる巻きのミイラにされる。
意識が戻ることなく、清太と話をすることもなく、亡くなります。
おばさんの違いは?
西宮のおばさん。これもとても重要な人物ですね。本当に嫌な役になっているこのおばさんですが、原作でも嫌な役は変わっていません。
原作では、2人のお母さんと、おばさんとの間で「もしもお互いが困った場合は助け合いましょう」という約束をしていました。
なので、清太と節子がやってきたときは受け入れますが、
- どうしても疎ましくなったり、
- 自分の子供の方が可愛かったり、
- 愛国心の欠片もない清太のそぶりにイラついたりします。
アニメでは特に言及されていませんが、原作小説では2人のことを「疫病神」とよんで「横穴にすんどったらええわ」といいます。
その他のシーンも忠実
まあ本当に原作に忠実な映画だなというのは総評です。
これは原作が30ページほどという短い作品であるためでしょうね。
1時間半ほどのアニメ映画で充分に原作の内容を反映できたのだと思います。
- 節子の汗疹や疥癬で真っ赤になった背中を、川辺で洗ってやるシーン
- 畑泥棒して、農夫に見つかり、度がすぎるくらいに殴られるシーン
- 交番に連れてかれ、おまわりさんが農夫をなだめるシーン
あらゆるシーンが本当に忠実に再現されているなぁと思いました。
戦争が救いがたいのは、敵からの攻撃ももちろんですが、こうやって身の回りの人間関係が根底から裏切られたり覆されたりするということがありますね。
空襲を受けて火事場泥棒を始めた清太。
戦火に燃える街と空の爆撃機を見て「いいぞ~、やれやれ」とはしゃぐシーンがあります。
ここが、優れた描写だなと思って。
つまり、清太の周りの人間だけが心がすさんでいるのではありません。清太と節子はかわいそうなんですけど、清太は決して清い心を持っていたわけではないです。
清太自身も
- 人間関係のこじれ
- 飢えと泥棒
を経験して、心がどんどん荒んでいくのです。
まとめ 原作小説は読んだ方がいい
火垂るの墓の原作小説とアニメ映画の違いについてご紹介しました。
本当にびっくりするくらい原作に忠実な映画だとわかりました。
ほんとはっきり違うのは、実話における節子の年齢だけですね。
- 実話では2歳。
- 原作小説とアニメでは4歳。
だから原作とアニメでは違いはないです。ほぼ全て、見事なまでに再現されています。
ぜひこれを機会に、野坂昭如さんの原作小説を読んでみてください。
原作小説は文体がすごいんですよ。
1文1文がとっても長くて、人物のセリフも、地の文も関西弁が入り混じってる。
本当にうねうねしている文書というか、擬古文なんです。
だからといって読み難いわけではなく、まぁ俗っぽく言えば「声に出して読みたい日本語」に収録されてもいいような文体なのです。
ぜひこの機会に、原作小説を、お手にとってみてください。
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