世界で最も読まれたミステリー作家の一人であり、「ミステリーの女王」とも呼ばれたアガサ・クリスティー。
- エルキュール・ポアロ
- ミス・マープル
などの魅力的な探偵、
代表作『アクロイド殺し』や『そして誰もいなくなった』での斬新なトリック……
彼女の作品は、時代を超えてなお多くのミステリーファンによって支持されています。
彼女の小説を一度でも読んだ方なら、その驚きのトリックに思わず声を挙げたことでしょう!
では、そんな彼女のミステリー作家としての独特の発想はどこから生まれたのでしょうか?
- 死体、
- 密室、
- 凶器、
- ダイイングメッセージ、
- 密室、
- アリバイ
……こんなことばかり考えているミステリー作家って、なんだか恐ろしいそうなイメージさえありますよね。
アガサ・クリスティーは、実際のところはどのような人物だったのでしょうか?
今回は、アガサ・クリスティーという一人の女性のその驚きの人生を掘り下げていきましょう!
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アガサクリスティー生い立ちはちょっと変わった教育ママ?
1890年イギリス南西部のデヴォンシャーに、3人姉弟の末っ子として生まれたアガサ・クリスティー。
そんな彼女の両親は二人ともちょっと変わっています。
祖父の遺産を投資家に預け、働かずして稼いでいた父フレデリック。そして独自の教育観をもち、クリスティを学校に通わせなかった母クララ。
とりわけ母クララがクリスティーに与えた影響は大きかったと言われています。
まず、母クララは「子どもは7歳になるまで文字を書けないほうがよい」という独特の教育観をもっており、おかげでクリスティーは字を習うのが遅く、子どものころは書くのがとても苦手だったそうです。
さらに、同年代の子どもたちが学校に通うようになっても、母クララはクリスティーが学校に通うのを禁止しました。
16歳まで学校を通うことのなかったクリスティーに、当然同年代の友人はできず、遊ぶのはもっぱら使用人やメイドばかり。そればかりか、家の庭で空想の友人と一人遊びをして過ごすこともあったそうな!
しかし、クリスティーは、自身の幼年期について「とても幸福だった」と回顧しています。
自由な発想をもつたくましい母クララを、彼女は尊敬もしていたそうです。
同時に、父の書斎にある様々な書籍をクリスティーは読みふけりました。10歳のときには、すでに詩を書き始めていました。
こうした家庭環境が彼女の小説執筆に影響を与えました!
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アガサクリスティーの経歴は?父の死、結婚、戦争、そして小説家の道へ
父フレデリックが1901年に亡くなると、クリスティーの家は経済的な危機に陥ります。昔からの家を離れ、家族は転々と移動しながらの生活を余儀なくされました。
ハイティーン時代をそうした不安感のなか過ごしたクリスティーでしたが、そんななか小説の執筆に取り組み、1909年にははじめての長編小説を完成させます。
驚くべきことに、このとき偶然彼女の近所には小説家イーデン・フィルポッツが住んでいました。
クリスティーはたびたびこの小説家を訪ね、彼から自作へのアドバイスを受けることができました。(残念ながらこの小説は、編集者にボツにされたそうです。)
英国航空隊アーチボルド・クリスティー大尉と出会い結婚した1914年、時代は大きな戦争のさなかにありました。
第一次世界大戦のなか、クリスティーははじめ篤志看護師として、そして後に薬剤師の助手として負傷者の治療にたずさわりました。
このときクリスティーは、目の前で死にゆく兵士をみとる看護師として、多くの死を体験することになりました。
そして同時に、彼女は薬剤師として、様々な毒物についての知識を得ることができました。
これらは、彼女のミステリー作家としてのキャリアを考えるうえでも、重要な出来事だったと思います。
1920年、彼女は『スタイルズ荘の怪事件』でミステリー作家としてデビューします!この作品ではじめて、エルキュール・ポアロという名物探偵が登場します!
その後作品を続けるものの、鳴かず飛ばずの状態だったクリスティーですが、1926年の『アクロイド殺し』の大胆なトリックと意外な真犯人を巡って大論争が起き、一躍ベストセラー作家の仲間入りを果たします。
どういう作品なのかは、みなさまご一読を!笑
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アガサクリスティーの性格や人柄は失踪事件!?
夫アーチボルドとの間には一人の娘をもうけましたが、その夫婦生活は必ずしも幸せなものではありませんでした。
そんなある日、夫がある年下の女性と浮気していることが発覚します。
そこで起きたのが、
「アガサ・クリスティ―失踪事件」!!
クリスティーやってしまいました笑
すでに作家として売れていた有名人の失踪ともあって、「ミステリー作家自身が事件に巻き込まれたのか?」など憶測がとびかい、警察やマスコミによる大捜索が始まります。
そして失踪から11日後、あるホテルで別名義で泊まっていたのが発見され、保護されました。
そのとき、ホテルの部屋はなんと夫の不倫相手の名義で借りていたそうです笑
なかなかの嫉妬深さではないでしょうか!
ちなみに、この事件そのものが映画化されています。
1979年公開の『アガサ 愛の失踪事件』、興味がある方はご覧になってはいかがでしょうか?
夫とは結局離婚してしまいますが、その後1930年には旅行先の中東で出会った、考古学者のマックス・マローワンと結婚します。
なんとこのときクリスティー40歳、マローワン26歳!おどろきの年の差婚でした!笑
クリスティーの作品には、恋愛の話が意外とでてきます。
デビュー作『スタイルズ荘の怪事件』ではある一家のなかの不倫が問題となり、第二作目『ゴルフ場殺人事件』ではポワロの友人ヘイスティングスの恋愛模様が事件と並行して描かれています。
もちろん、殺人事件の裏には男女の情事あり、とは世のつねかもしれません。
しかし、先にみた失踪事件などをみると、クリスティー自身の恋愛観と作品の関係も考えてみたくなってしまいます。
そこで、最後にひとつクリスティーの小説を紹介します。
クリスティーは推理小説以外にも普通の小説を書いていますが、そのなかにはなんと結婚生活をテーマにしたものがあります!
タイトルは『春にして君を離れ』。
以下、アマゾンの紹介文を引用します。
”優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバクダードからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる……女の愛の迷いを冷たく見すえ、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス”
この作品では、主人公のジョーンが自身の結婚生活を振り返って、過去の別の恋愛、「もしもあのときあの人と」といった話をしたりしていますが、その描写が実に繊細なのです!
これを読むと、クリスティーの作品の別の魅力がわかるような気がします。
奇抜なトリックや設定だけでなく、彼女の作品ではキャラクターの性格や心情の機微が重要な要素になっていると感じました。
みなさんも、クリスティーの作品の印象がぐっとかわるかも?
まとめ アガサクリスティーの性格や人柄は?経歴と生い立ちがスゴすぎた!
さて、今回はアガサ・クリスティーの人生を深堀りしていきました
まとめると、
- ・母による自由な教育のもとでの空想や読書にいそしんだ幼年時代
- ・小説家との出会いや、戦争を通じた生々しい死の体験
- ・夫の不倫、失踪事件、若い男性との再婚
- ・小説には恋愛話が多い?
というのが今回のお話でした!
これを踏まえてみなさんも一度、アガサ・クリスティ―の作品に触れてみてください!