グリム兄弟の経歴や生い立ちは?童話作者のエピソードが面白い!

グリム兄弟の経歴や生い立ちは?童話作者のエピソードが面白い!

『シンデレラ』、『白雪姫』、『赤ずきん』、など、『グリム童話』にある話をひとつも知らないなんて人はおそらくいないでしょう!

ディズニーのアニメもその多くが『グリム童話』を原作に作られています!

とはいえ、その編者であるグリム兄弟のことはあまり知られていないのではないでしょうか?

 

例えば、ドイツで最大のドイツ語辞書を作ったのがグリム兄弟だった、なんてことを知っている人はどれだけいるでしょうか?

グリム兄弟の偉業は、単なる童話作者にとどまるものではないです!

というわけで、今回はグリム兄弟の経歴やエピソードを中心に、知られざる童話作者の素顔をご紹介したいと思います!

 

グリム童話作者。グリム兄弟の生い立ちは?

”グリム兄弟”として知られる二人の兄弟は、ドイツ中部の田舎町ハーナウに生まれます。

兄ヤーコプ・グリムは1785年、弟ヴィルヘルムは1786年と、二人は年子として生まれましたが、なんと彼らにはほかに6人の弟妹がいました。

ヤーコプ11歳、ヴィルヘルム10歳のときに父が亡くなり、彼らは幼い弟妹たちに対し父の代わりをつとめなければなりませんでした。

さらに、母もまた、彼らが独り立ちする前に亡くなってしまったため、兄弟二人は自分たちの学業や研究と並行しながら、家庭を支え、弟妹たちを成人させていきました。

さらに、グリム兄弟の幼少期は全ヨーロッパにおける激動の時代でした。

 

1789年にはフランス革命がおこり、間もなくしてナポレオンがドイツに侵攻してきます。

ヨーロッパは戦乱の地へと姿を変え、兄弟が20歳の年には神聖ローマ帝国が滅亡します。

グリム兄弟は、自身の家庭でも苦労をしながら、こうした激動の時代のなかでその青春期を過ごしたのでした。

 

『グリム童話』成立の裏には、こうした歴史の暗い影があったのです。

兄ヤーコプは、身体も丈夫で、資料集めや現地調査など自らの研究だけでなく、対外的な社会活動にも非常に精力的な性格でした。童話作成のための収集活動は、もっぱら兄の役目でした。活動的で大胆な性格の反面、頑固な一面もあり、実はあまり社交的な性格ではありませんでした。

弟ヴィルヘルムは、持病に喘息と心臓の病気を抱え、あまり丈夫な身体ではありませんでした。仕事の上でも控えめで慎重な性格でした。詩や、音楽、絵の才能も有り、童話集をまとめる際に文章や体裁を仕上げたのは、弟の仕事でした。兄とは対照的に、非常に社交的な性格をしていました。

 

正反対なタイプの二人でしたが、兄弟は互いを尊敬しあい固い兄弟愛で結ばれていました。

弟ヴィルヘルムが兄を「明察さと博学さ」にかけて自分よりも優っていると称えたのに対し、兄ヤーコプは弟の素晴らしい話術と文才を誉めたというエピソードがあります。二人は、互いの長所を高く認め合っていました。

 

グリム童話作者。グリム兄弟の経歴は?

 

天才兄弟!?

田舎育ちのグリム兄弟は13歳で、ヘッセン国の首都カッセルにある高等中学に途中入学します。彼らは持ち前の勤勉さでたちまちクラスのトップになりました。

当時、兄弟は6時間の授業に加え、4~5時間をラテン語やフランス語の自習に使い、毎日10時間も勉強にあてていました。

その能力と努力が認められ、二人は学校の卒業を待たずして大学入学の資格が認められました。今でいう、飛び級というやつです。

そして、大学で彼らは古い文献や伝承の研究を始めます。

 

大学卒業後~兄ヤーコプの知られざる顔とは?

しかし、大学卒業後の生活は、ヤーコプとヴィルヘルムともにとても安定したものとは言えませんでした。

まず、カッセルがフランス軍に占領されるなど、当時の政治情勢は混乱した状態にありました。

そんななか、ヴィルヘルムは持病の悪化によって、療養生活を余儀なくされます。一時回復の兆しも見せましたが、再び病気がぶり返すなど安定した健康状態ではありませんでした。

ヤーコプの方は、いろいろと職を転々としたのち、ヘッセン国の外交官に任命されます。フランス語に堪能だったこともあり、戦後の処理などの際の交渉に帯同しました。

世界史を勉強したことがある方なら知っているかと思いますが、1814年にナポレオン失脚後のヨーロッパの戦後処理のために「ウィーン会議」が開かれます。

なんと兄ヤーコプは、その会議にヘッセン国の特別秘書として参加していました!

グリム童話の作者がこんな世界史の出来事に関わっていたなんて驚きですね!

 

ただし、彼はこの仕事になんの興味ももっていなかったようです。

この時期、彼は時間を見つけては方々で図書館を訪れ資料を収集し、さらにスラヴ語の勉強まで始めています。彼にとって第一は自分の研究でした。

 

その間、ヴィルヘルムはカッセルにある図書館に働き始めていました。ヤーコプもまた、図書館での仕事を希望し、二人は同じ職場で働くようになりました。

後に大学に教職を得るまでの13年間、この図書館での勤務を続け、彼らは自身の研究をつづけました。

 

はじめて『グリム童話』が出れたのは、1812年。

フランス軍からの侵略によって国が大きく変化していく時代のなかで、グリム兄弟は、自らの民族のアイデンティティを探求するために、各地に残る民間伝承を収集しそれをまとめて一つの童話集として出版したのです。

 

『グリム・ドイツ語辞典』

童話の収集以外に、二人はドイツ語の研究にも多くの時間を捧げました。

そんな彼らが五十代のはじめから死ぬまで、二十年にわたって携わり続けたのが『ドイツ語辞典』の編纂でした。

実は、兄弟は生前のあいだにこの辞典を完成させることができませんでした。

 

1838年に兄弟の手ではじめられてから、様々な言語学者に引き継がれながら、ついに完成したのはなんと1961年でした!

なんとこの編集作業は、東西ドイツという国の分裂状態の中でも、両方の学者が協力しあいながら行われたそうです。

この辞書には、語源に関する詳細な説明や様々な時代の文章から引用された例文が収録されており、まさに包括的なドイツ語の辞典とよぶことができます。

リルケやトーマス・マンなど、多くの作家たちがこの辞書を愛読していました。

 

大人が読むグリム童話?

さて、ここでは『グリム童話』についてご紹介しましょう!

『赤ずきんちゃん』、『シンデレラ』、『白雪姫』『ヘンゼルとグレーテル』、『オオカミと七匹の子ヤギ』……

挙げればきりがないほど、『グリム童話』には私たちが良く知る話が収録されています。

とはいえ、大人になっていまさら童話…?と思う方もいるかもしれません笑

 

しかし、みなさんがよく知っているこの『グリム童話』が実はオリジナルではない、というのはご存知でしょうか?

実は、グリム兄弟は何度も改変を重ねながら、いまの『グリム童話』をつくりあげていったのです。

そのひとつの理由は、童話集の初版に対して「内容が子ども向きではない」という批判が多くきたからです。

 

兄弟が各地で集めたオリジナルの話は、性にまつわる事柄や残酷な描写が含まれるものが多くありました。

そこで兄弟はだんだんと内容や表現をマイルドにせざるを得ませんでした。

その初版は、例えば『初版グリム童話集』(白水社)などで、読むことができます。

ここではそのいくつかをご紹介しましょう!

 

グリム童話のシンデレラの内容

まずは『シンデレラ』です。

クライマックスで、シンデレラが落としたガラスの靴を王子が持ってきます。ほかの姉たちは懸命に履こうと試みましたが、サイズが合いません。そこでシンデレラが試してみるとガラスの靴に足がぴったり合って、王子と結ばれることになりました。

ここまではみなさんがご存知の『シンデレラ』です。

しかし初版では、無理矢理靴をはくためにほかの姉たちが踵や足先を切りおとす、という恐ろしいシーンがあるのです!

”王子は下を見ました。すると、花嫁の白い靴下が赤く染まって、血が上のほうまで上がってきていました。”

この血で王子はこの女性がシンデレラでないことに気づきます。

しかし、お姉さんたちもすさまじい執念ですね…笑

 

グリム童話の白雪姫の内容

続いて『白雪姫

初版では、実は白雪姫を追い出すのは継母ではなく実母の妃という設定です。

そしてこの話にも恐ろしいシーンがクライマックスに登場します。

無事王子と結ばれた白雪姫。二人は結婚式を行います。

嫉妬にかられた母の妃は、その様子を見にこの結婚式にやってきます。しかし、そこにはその妃にあるものが用意されていました。

”そこでは鉄の上履きが火の中で真っ赤に焼かれていて、妃はそれを履いて踊らなくてはなりませんでした。足はひどい火傷になりました。けれども死んでしまうまで踊りをやめさせてはもらえませんでした。”

 

とてもディズニーがアニメにできる内容ではないですよね笑

みなさんご存知の『グリム童話』ですが、実は版によって内容や表現が違ったり、話によっては残酷なためまるまるカットになっているものもあります。

いろいろと比べて読んでみると発見があって面白いかもしれませんね♪

 

まとめ グリム兄弟の経歴や生い立ちは?童話作者のエピソードが面白い!

さて、ここまでグリム兄弟の経歴や、『グリム童話』の興味深い一面をご紹介しました。

  1. ・グリム兄弟は、幼いころに父母を亡くし、二人で家庭を支えていた。
  2. ・グリム兄弟の若いころは、大きな革命の時代でもあり、彼らもまたそれに大きく翻弄された。
  3. ・二人は正反対な性格。お互いの長所でそれぞれの短所を補いながら、協力して研究を行った。
  4. ・童話集と並んで、『ドイツ語辞典』の作成にも力を注いだ。
  5. ・童話集はいろいろな版で読み比べると面白い発見あり。

 

グリム兄弟は、童話集や辞典の作成によって、ドイツ文化やドイツ語の発展に大きく貢献する仕事をしました。

その裏には、大変な家庭環境や大きな時代の変化が大きく影響していたということができるでしょう。

以上、「グリム兄弟の経歴や生い立ちは?童話作者のエピソードが面白い」でした

昔の大河ドラマの動画を見たくなったあなたへ。

インターネットで簡単に、大河ドラマ過去作品の動画が見れるようになりました。

方法はこちらです↓

昔のNHK大河ドラマ動画を見たい。過去作品は無料で見れる?

ランキングもどうぞ

大河ドラマ。一番面白い、もう一度見たい作品ランキング2018

高等遊民のnoteの紹介

 

noteにて、哲学の勉強法を公開しています。

 

現在は1つのノートと1つのマガジン。

 

1.【高等遊民の哲学入門】哲学初心者が挫折なしに大学2年分の知識を身につける5つの手順

2. 【マガジン】プラトン『国家』の要約(全10冊)

 

1は「哲学に興味があって勉強したい。でも、どこから手を付ければいいのかな……」という方のために書きました。

5つの手順は「絶対挫折しようがない入門書」から始めて、書かれている作業をこなしていくだけ。

3か月ほどで誰でも哲学科2年生レベル(ゼミの購読で困らないレベル)の知識が身につきます。

3か月というのは、非常に長く見積もった目安です。1日1時間ほど時間が取れれば、1ヶ月くらいで十分にすべてのステップを終えることができるでしょう。

ちなみに15000文字ほどですが、ほとんどスマホの音声入力で書きました。

かなり難しい哲学の内容でも、音声入力で話して書けます。

音声入力を使いこなしたい方の参考にもなると思います。

 

2はプラトンの主著『国家』の要約です。
原型は10年前に作成した私の個人的なノートですが、今読んでも十分に役に立ちます。
岩波文庫で900ページ近くの浩瀚な『国家』の議論を、10分の1の分量でしっかり追うことができます

\無料試し読み部分たっぷり/

1 個のコメント

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。