更級日記の作者の読み方と内容は?菅原孝標女の性格がかわいい?

平安時代に書かれた『更級日記』をご存知ですか?

菅原孝標女が自分の少女時代から現在までを回想しながら書いた日記です。

  1. 『更級日記』の作者の読み方は?
  2. 『更級日記』の内容
  3. 作者菅原孝標女の性格はかわいい?

 

今回はこの3点について紹介していこうと思います!

 

こちらを読めば『更級日記』を読んでみたい気持ちにきっとなりますよ。

 

更級日記の作者の読み方は?

『更級日記』を書いたのは菅原孝標女です。

これは「すがわらたかすえのむすめ」と読みます。

 

平安時代中期に書かれた作品ですが、当時は高貴な人以外は、女性が自分の本名を名乗ることはありませんでした。

『更級日記』の作者も同様で、父親の名前「菅原孝標」+「女」で表されています

ちなみに、「女」と書くと、今では彼女が思い浮かびますが、古文においては「女」は「むすめ」と読み、娘を表すんですね

現在とは違う読み方なので、勘違いしそうですが、「女」を「むすめ」と読むことを覚えてくださいね☆

さて、菅原孝標女についても少し紹介しておきますね。

 

  • 彼女はかの有名な学問の神様、菅原道真の子孫にあたります。
  • 一家は学者の家柄でしたが、菅原孝標は生涯を受領で終えました。

 

お父さんはそんなに出世しきれなかったんですね。

母方の伯母は『蜻蛉日記』を書いた藤原道綱母です。

彼女は離婚してしまったので、夫の名前ではなく、息子の名前+母で表されていますね。

菅原孝標女は、『更級日記』の他に、

  • 『夜半の寝覚』
  • 『浜松中納言物語』

も書いたのではないかと言われています。

父方も母方も勉学や文学に優れた血筋なので、菅原孝標女自身もとても賢い女性だったんですね。

 

更級日記の内容を簡単に分かりやすく

さぁ、では『更級日記』の内容解説にうつりましょう。

『更級日記』は菅原孝標女が晩年に書いた作品です。

自分の生涯を振り返った、自叙伝のようなものです。

内容は大きく3つに分けることができます。

  1. 上総から京までの旅(13歳頃のこと)
  2. 京での生活(30歳頃まで)
  3. 結婚と宮仕え(50歳過ぎまで)

 

更級日記の内容1.上総から京までの旅

菅原孝標が上総(現在の千葉県)の国司として赴任するのに付き従っていた菅原孝標女。

彼女は9歳から12歳までを上総で過ごしました。

父が任期を終え、上総から京に帰り着くまでの約90日の旅の状況が書かれています

教科書には冒頭部分が採用されることがありました。

習ったことがある人もいるかもしれませんね。

  • ど田舎(上総)で育った私だが、世間には物語というものがあると聞いた
  • なので、ぜひとも読んでみたいと思い続ける。
  • 姉や継母たちが色々な物語を話して聞かせてくれるが、物語を知りたい気持ちは募る一方。
  • 私を満足させてくれるほど、大人たちは物語を空で覚えてはいない・・・

こんな内容ですね。

特にハマった物語は『源氏物語』でした。

寝ても覚めても『源氏物語』を読みたいと願う彼女が取った行動は・・・続きは次の見出しで詳しく述べるとして、やっと父の任期が終わり、何も娯楽の無いど田舎から、華の都への帰京が決定します。

彼女は帰京が嬉しくて仕方なかったはずです。

 

  • 帰り道で目にする富士山や浜名の橋で見た波の様子に感動している姿が書かれています。
  • しかし、雨や雪、険しい山道に悩まされる苦難の旅であったことも記されています。

90日もに及ぶ帰京の旅はそれは大変なことだったでしょうね。

今とは違い、歩きでの旅ですもんね。

新幹線に乗ってピューンというわけにはいきません。

13歳の子どもが90日間も旅を続けるのは、とてもしんどかったに違いありません。

 

更級日記の内容2.京での生活

90日に及ぶ長旅を終え、無事に京に帰ってきた菅原孝標女。

憧れだった『源氏物語』を手に入れることでき、読みふける様子が書かれています。

そりゃ~もう嬉しくて嬉しくて、他のことなど手につかなかったでしょうね。

『源氏物語』の世界にどっぷり浸かっていた菅原孝標女ですが、現実の世界は華々しいことばかりではありません。

  • 姉が二児を残して死んでしまう
  • 乳母との死別
  • 父が常陸国(現在の茨城県)に赴任する
  • 母が出家する

このような出来事が続くのです。

 

特に乳母との死別は、大好きな物語を読む気を起こさせないほど、菅原孝標女の心に影を落としました。

乳母は出産するために上総に残っていました。

そのまま上総で産後の生活を送っていたんですが、流行病にかかってしまい、死んでしまいました。

菅原孝標女は、上京して物語に熱中し、乳母のことを気にかけていなかったことをとても悔やみました。

 

乳母とは、母同然の存在です。

特に、小さい頃、異郷の地で暮らしていた菅原孝標女にとって乳母の存在は大きかったはずです。

そんな乳母ともう会えないと知った時の絶望は凄まじいものですよね。

このような悲しい体験をしながらも、母の計らいにより、再び『源氏物語』熱を取り戻した菅原孝標女。

『源氏物語』全巻を手に入れて、ますます物語の世界へと引き込まれていきました。

 

更級日記の内容3.結婚と宮仕え

『源氏物語』にも出てくる宮中に憧れを抱いていた菅原孝標女。

縁あって、祐子内親王家に出仕するようになりました。

しかし、憧れていた宮仕えとは違い、楽しいものではありませんでした。

 

この頃から、少し現実が見え始めます。

菅原孝標女が30歳の頃でした。

 

やっと物語の世界から現実を見るようになったのですね。

物語にはまりすぎていて何もしてこなかったので、自分には何もない・・・

なんて愚かな生活をしていたんだろう・・・

今更そんなことを思っても遅いのですが、働きに出てみて、一気に現実を知っちゃったんですね。

 

これって、現在でもあるあるですよね。

小さい頃から夢見がちな子ほど、社会に出てからいろんなことを思い知るんですよね。

まさに、菅原孝標女もそうでした。

 

そして、時を同じくして、結婚もしました。

30歳で結婚って、当時にしたらだいぶ遅いですよね。

普通は15歳頃から嫁ぎ始めるので、とーっても晩婚だったわけです。

これもまた、物語に熱中していたからでしょうか。

 

結婚にも憧れを抱いていましたが、ふたを開けてみると、光源氏のような王子様は現れず、平凡な夫と結婚することになりました。

これまた、現実を突きつけられたんですね。

夫は橘俊通と言う人でした。

夫との生活は可もなく不可もなくといった感じでしょうか。

子どももうけ、いわゆる普通の家族生活を送りました。

 

40歳頃には、物語世界からしっかりと足を洗い、現実世界での幸せを祈るようになりました。

石山寺に籠ったり、長谷寺に参詣したりと、仏の世界に心の安らぎを求め始めます

 

51歳の時に、夫に先立たれ、子どもも自立しているので、孤独となってしまいました。

その後、ひとり寂しく生活していくこととなりました。

日記の最後でも、若い頃に物語に夢中になり過ぎていたことを後悔し、もっと仏教を学んでいたら良かったと反省します。

せめてこれからはきちんと仏教と向き合おうと仏教に救いを見出して日記を締めくくっています。

 

日記の最後で、物語に熱中して、何も学んでこなかった自分を後悔してはいますが、やはり菅原孝標女の中で、少女時代こそが絶頂だったのでしょう。

その証拠に、物語にどっぷりとはまっていた少女時代を生き生きと書き記しています。

孤独になってしまった時に、昔の輝いていた時代を思い出して、筆を手に取ったのかもしれませんね。

きらめきを放っている少女時代から、現実を目の当たりにして少しずつ冷静になってくる菅原孝標女の心情の変化を読み取っていくのも面白いですよ。

 

菅原孝標女は性格がかわいい?

菅原孝標女、私はとっても好きなんです!

もうね、可愛くって仕方がありません。

宮仕えや結婚を経験して現実を目の当たりにするまでの菅原孝標女は、まさに

 

  • 「腐女子」
  • 「文学オタク」

という言葉がぴったりでした。

『更級日記』の内容から、オタクっぷりを紹介しますね。

みなさんにも菅原孝標女のかわいさが伝われーーー!

先ほどから、少女時代に物語にどはまりしていたと何度も言っていますよね。

そう、菅原孝標女は『源氏物語』沼にどっぷりと浸かっていました

『源氏物語』を読みたいけれど、上総なんかのど田舎では手に入らない。

周りの大人に語ってもらうけど、詳細まで覚えてはいない。

あぁーーーーー気になるーーーーーー読みたいーーーーーー読みたいーーーーー!!!!

 

読みたくて読みたくてたまらなくなった菅原孝標女は、なんと、等身大の仏像を作らせて、拝む拝む拝む・・・

「早く京に帰って、たくさんあると聞いている物語を全部読ませてください」

こんなお祈りを朝昼晩、ずっとしていました。

仏像を彫らせるってすごくないですか?

神頼みならぬ、仏頼みですよ。

 

結果的に、京に帰ることができたので良かったですよね。

しかし、等身大の仏を作らせたので、京に持って帰ることは叶いませんでした。

 

仏像との別れの際、菅原孝標女は置いていかなければならない悲しさに、ひっそりと涙を流しました。

やっとのことで願いが叶ったので、仏のことなんて眼中になかったのかと思いきや、涙を流して別れを悲しむなんて、優しいですよね。

こういうところにも、彼女の可愛らしさを感じます。

 

さて、帰京を果たし、母に頼み込んで、何とか『源氏物語』を数巻ゲットすることができました。

もちろん、オタクは夢中になって読む、読む、読む!!!

あっという間に読み終わってしまったことでしょう。

少しだけ読んだら、そりゃ~続きが読みたいですよね。

しかし、簡単には手に入らない代物。

 

またしても、『源氏物語』を読みたいと悶々とする日々の始まりでした。

乳母との死別など、悲しい別れを経験した菅原孝標女でしたが、彼女を立ち直らせたのも物語でした。

お寺に参詣した時には「どうか読ませてください」とお祈りするほど。

まだまだ物語の沼から抜け出すことはできそうにありませんね。

 

読みたい読みたいと思っていた時、偶然、おばが『源氏物語』フルセットをプレゼントしてくれました!

菅原孝標女の喜びは大爆発!!

もう、外界とのかかわりは絶って、世界には『源氏物語』と自分としかいないかのように読みふけります。

何度も何度も読んで、暗唱できるほどに。

夢に仏が現れて「法華経を習いなさい」と言われても知らん顔。

 

ついには、「自分も女盛りになれば、綺麗になって、光源氏に愛された夕顔や、宇治の大将に愛された浮舟のようになるにちがいないわ」と一人でワーワーキャーキャー妄想しまくり

もうこうなると誰も手が付けられません。

マンガや小説を読んで主人公に恋する今どき女子となんら変わらないですよね。

1000年前にもオタクや腐女子っていたんですね。

菅原孝標女は、まさに、元祖オタクだったんです!

どうでしたか?物語読みたさに一心不乱に祈りまくり、物語が手に入ったら一心不乱に読み漁り、そして妄想を膨らましてニマニマする彼女、可愛くないですか~?

愛すべき元祖オタクです!

 

まとめ:更級日記の作者の読み方と内容は?菅原孝標女の性格がかわいい?

『更級日記』の内容や作者について紹介しました。

簡単にまとめると

  • 『更級日記』は平安時代に菅原孝標女によって書かれた
  • 菅原孝標女は「すがわらたかすえのむすめ」と読む
  • 『更級日記』は菅原孝標女が晩年に、自分の人生を振り返って書いた
  • 菅原孝標女は、『源氏物語』をはじめとした物語沼の住人である

 

ここまで熱中できるものがある青春時代って本当に羨ましいですよね。

しかし、物語の世界のような生活を期待していた女性に待っていたのは、普通の平凡な現実でした。

このギャップに、菅原孝標女はかなり戸惑ったでしょうね。

物語沼から現実世界に抜け出してきたとき、どんな気持ちだったのでしょうね。

みなさんにも菅原孝標女のオタクっぷりをぜひ読んでいただきたい!

 

簡単に読めるものをいくつか紹介!

  • 『更級日記 平安時代の元祖文系オタク女子の日記』清水康代
  • 『更級日記』川村裕子

 

最初の方はタイトルからして面白そうでしょ?

マンガなんですが、きちんと『更級日記』のストーリーが分かりますよ。

以上、「更級日記の作者の読み方と内容・菅原孝標女の性格がかわいい」でした。

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