カントの性格と経歴の代表作は?生い立ちやエピソードが面白い




17世紀後半に活躍し、主著『純粋理性批判』によって哲学の歴史を大きく塗り替えたドイツの哲学者カント

哲学に興味のある方なら一度はその名前を聞いたことがあるでしょう。

  • ひとはどうやって世界を認識しているのか?
  • ひとが倫理的に生きるとはどういうことか?
  • ひとが自然や芸術を美しいと思うのはどうしてか?

 

カントは、こんなことを哲学の問いとして考えていました。

200年以上も前の人物ですが、いまでも哲学をするうえで彼の存在を無視することはできません。

哲学者ときくと、どんな人物をみなさんは想像するでしょうか?

  • どんな生い立ちでどんな生涯を送っていたのか?
  • どんな性格や人柄だったのか?
  • 彼の代表作は?

 

今回は、哲学者カントの素顔に迫ります!

これを読めば、カントの生い立ちや性格がわかって、彼の哲学書がさらに楽しめるようになります!ぜひご覧ください!

 

カントの生い立ちと生涯

まず簡単にイマヌエル・カントの経歴と彼の主要著作を年譜で確認してみましょう。

そこから見えてくるのは、苦労人カントの姿です。

 

1724年(0歳) :東プロシアの首都ケーニヒスベルク(いまのポーランドとリトアニアに挟まれたロシア領)に生まれる。

 

1747年(23歳):ケーニヒスベルク大学卒業。

 

1770年(46歳):ケーニヒスベルク大学の教授になる。

 

1781年(57歳):『純粋理性批判』出版。

 

1788年(64歳):『実践理性批判』出版。

 

1790年(66歳):『判断力批判』出版。

 

1804年(79歳):死去。

 

彼の著作で最も有名なのは、『純粋理性批判』『実践理性批判』、『判断力批判』の三つです。

  • これらはまとめて「三大批判書」とよく呼ばれています。
  • 上の年譜をご覧になってわかる通り、カントが哲学者として歴史に名を残すこととなった「三大批判書」はすべて晩年に書かれています
  • 当時の平均寿命を考えてみれば、カントはかなり長生きでした。

 

さらに、この年齢で主著を出版するというのもかなりすごいことです。

また、ケーニヒスベルク大学を卒業してから教授として勤めるまでの間にもかなりの年数があることに気づきます。

実は、カントは、大学の教授になるまでの20数年の間

  • 金持ちの家の家庭教師
  • 図書館の司書
  • 大学の私講師

 

として食いつないでいました。

私講師というのは、当時の大学制度では、固定給ではありませんでした。

受講生から直接受講料を集めて、それを給料にしていました。

そのため、その収入は受講生の数に左右され、決して安定したものではありませんでした。

 

つまりカントは、

  • 40はじめしてようやく定職を手に入れ、
  • 還暦間近にようやく自分の哲学を打ち立てた

 

というわけです。

大器晩成ということばは、カントにこそ当てはまると言えます。

 

カントの経歴と代表作

ここではカントの代表作「三大批判書」をご紹介します。

ですが、その前に、この「三大批判書」を書くまでのカントの経歴を簡単に説明しておきましょう。

 

カントのいろいろな論文

私講師などで生計をたてながら、30代から40代にかけてカントはたくさんの論文を執筆しています。

そのなかには、哲学だけでなく、自然科学の論文がいくつもあります。

当時はまだ文系と理系という区分ははっきりしたものではありませんでした。

むしろ哲学は、自然や人間のあらゆる現象を考察するものとして機能していました。

このころカントが書いていたものをいくつか見てみると…

  • 「地球は老化するか、物理学的考察」
  • 「火に関する若干の考察の略述」
  • 「風の理論の説明のための新たな註解」
  • 「頭脳の病気に関する試論」

 

なんてものがあります。

これだけみるとごりごりの理系っぽいですが、あくまでもこの世界をどうみるかという点にカントの関心はありました。

 

カントの代表作『純粋理性批判』

とはいえ、『純粋理性批判』を読まずしてカントを語ることはできません!

この作品でカントは、理性という観点から人間の認識の問題を取り扱っています。

  • 世界はどのように成り立っているのか?
  • この世界の法則を人間はどのように認識することができるのか?

 

このような疑問に対して、カント以前の哲学は、という存在によって説明していました。

つまり、「神がこの世界を作った、ゆえにこの世界は合理的に作られている」、というわけです。

しかし、このような神中心の世界観は徐々にその正当性が疑問視されるようになります。

そうしたなかで、カントは新しい世界観を自らの哲学によって提示しました。

 

彼は、私たちが普段接している世界というのは、実は「人間にとってそう見えている世界」なのだと主張します。

  • 世界に触れながら、人間は自らの理性によって情報を処理して世界を認識しています。
  • そうやって認識された世界というのは、犬や猫、あるいはコウモリが認識する世界とは違うものです。
  • いまの世界がこう見えているのは、単に人間が自身の認識システムを通じてそう見ているからなのです。

 

人間は、この世界のなかに様々な自然法則を発見してきました。

それができるのは、そもそも世界を理性という情報処理システムによって認識しているからです。

 

『純粋理性批判』では、理性がそうした処理をどのように行っているのか、を細かく分類しながら説明しています。

このようにしてカントは、世界の根拠を、神ではなく人間の認識構造のなかに求めました。

そうして、神中心の世界像とは違った、人間中心の世界像を打ち立てたのです。

 

カントの代表作『実践理性批判』

『実践理性批判』で扱っているのは、倫理の問題です。

それまで、道徳というのは宗教や教育によって誰かから教えられるものでした。

例えばキリスト教であれば、神によって定められたものを守る、というのが道徳的な生き方でした。

それに対してカントは次のように主張します。

  • そのような道徳は他人によって強制された義務でしかない
  • 人間が倫理的に生きるために必要なのは自由である

 

つまり、倫理には、

  • 自分自身のことを自分で決めること(自己自律)
  • 他人に対しても、そのような自己決定の自由を認めること(他者への配慮)

 

が必要なのです。

これを基礎に、『実践理性批判』では倫理のために必要なルールを考えていきます。

 

カントの代表作『判断力批判』

この本で中心となるのは、美とは何か?という問いです。

  • ひとが美しいと思うのはなぜか?
  • 美しさに何か普遍的な法則性はあるのか?

 

こうした問題をカントは、判断力の問題として考えました。

何かを認識するとき、ひとはしばしばその対象に対して、「心地よい」や「不快」とか、「美しい」や「醜い」といった感覚的な判断を下しています。

カントは、そうした人間の美的判断一般の問題をこの本のなかで取り扱いました。

 

【エピソード】カントの性格や人柄は?

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カントは生涯独身でした。

正規の職を得るのも遅く、生活はつつましいものでした。

そんなカントはどんな性格だったのでしょうか?

 

【エピソード】几帳面なカント

彼の性格を知る有名なエピソードとして、カントの散歩の話があります。

  • カントは散歩を日課としていました。
  • コースと時間は決まっていて、毎日同じ時間に同じところを通っていきました。
  • その時間がいつも性格なので、町のひとはカントの姿をみて時計を合わせたという逸話も残っています。

 

特に教授の職について以降は、ほとんど社交もせず、毎日5時に起きて22時に寝るという規則正しい生活を行いました。

カントは、かなり几帳面な性格でした。

 

【エピソード】出不精なカント

さらに、カントは旅行や遠出もほとんどせず、生涯を生まれ故郷であるケーニヒスベルクで過ごしました。

いわゆる出不精な性格でした。

実はケーニヒスベルク大学の教授になる前に、一度別の大学から声がかかったことがありました。

しかし、カントはその要請を断ります。

  • その理由の一つとして彼は、「生来虚弱で未知の地で生活するのが不安」と説明しました。
  • その後、イェーナ大学からも声がかかりますが、カントはそれも断っています。
  • よっぽど故郷を離れるのが嫌だったのでしょう。

 

【エピソード】読書が苦手なカント

哲学者というとたくさんの本を読んでいるイメージをお持ちでしょう。

しかし、実はカントは自分で本を読むことをあまりしませんでした。

  • 蔵書も少なく、新しい本もすぐひとにあげてしまっていました。
  • さらに、友人との夕食会のたびに「自分の代わりに本を読んで、自分の思想となにが違うのか教えてくれ」と頼んでいました。
  • 弟子ヤハマンによると、カントは自分の頭で考えることに夢中で、他人の本からアイディアを見つけるという能力が欠けていたようです。

 

逆を言えば、カントが哲学者として大きな功績を残したのは、自分自身の頭のなかだけで思考する能力がずばぬけていたからだとも言えます。

 

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まとめ カントの性格と経歴の代表作は?生い立ちやエピソードが面白い

さて、最後にカントについてまとめると、

  • ドイツ最大の哲学者カントは、実は「遅咲き」の人だった。
  • おすすめは、『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』の「三大批判書」。ただし、とんでもなく難しいので入門書から入るのも◎。
  • カントは、規則正しい生活を送っていた。
  • カントは、出不精な性格だった。
  • カントは、自分の哲学に夢中でひとの本を読むのが苦手だった。

 

おすすめの作品は、「三大批判書」ですが、いきなり読み始めるとべらぼうに難しいです。

気になった方は、

  • 石川文康『カント入門 』(ちくま新書)

 

をまず手に取ることをお勧めします。

 

  • 網谷壮介『カントの政治哲学入門: 政治における理念とは何か』(白澤社)

 

は、カントと政治の話が中心ですが、カント哲学の入門にも適した良い本ですのでこちらもぜひ。

哲学が好きな方は、ドイツ近代哲学の祖ともいえるカントをぜひ読んでみてください!

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かなり難しい哲学の内容でも、音声入力で話して書けます。

音声入力を使いこなしたい方の参考にもなると思います。

 

2はプラトンの主著『国家』の要約です。
原型は10年前に作成した私の個人的なノートですが、今読んでも十分に役に立ちます。
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