パスカルの人物像とエピソードを紹介!
ブレーズ・パスカル。
結論から言うと
- 幼い時から天才
- 病弱
- デカルトとリアルで会い、優しい言葉をかけられた
- コミュ障
- 非モテ非童貞
- 貴族の立場を生かし、「5ソルの馬車」を作り、貧しい人を家に引き取った
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パスカルはどんな人?性格や人物像がわかる逸話とエピソード
パスカルの逸話1 幼い時から天才
3歳で片言ながらも鋭い質問をする。
11歳で物理学の論文を書く。
12歳で独学で三角形の内角の和が180度であることを明かす。
神童。
ウィキペディアでその単語を調べると、二人の偉人の画像が貼られています。
1人は18世紀の天才音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。
もう1人がここでも紹介する17世紀の天才物理学者(であり数学者であり哲学者)のブレーズ・パスカル。
神童。その言葉通り、パスカルは幼い頃から才能を発揮しました。
3歳にして片言ながらも鋭い質問をし、周囲を困らせていました。アインシュタインですら10歳になるまでろくすっぽ言葉を喋らなかったそうですから、これは凄いことです。
【衝撃実話】パスカルの父は、数学を教えなかった
パスカルの父エティエンヌは数学好きで、実はエティエンヌはデカルトとフェルマーの争いに巻き込まれているほど、当時の数学界に深く関わっていました。
じゃあパスカルには早くから理系の教育を施したのか?
意外や意外、8歳のパスカルには数学を教えませんでした。
と思ってのことでした。
しかし、パスカルはそんな父の遺伝子がきちんと継がれていたのでしょう。理系科目への興味が凄まじいほどありました。
11歳で論文を書く
パスカルが11歳の時です。皿を叩いていて何故音が出るのか不思議に思って研究を始め、なんと『音響論』という論文を書いてしまったのです。
1年後、もっと恐ろしいことが起こります。12歳になったパスカルは三角形の内角の和が180度であることを証明してしまうのです。それも独学で。
これに感動したエティエンヌは数学の勉強を解禁し、本格的な理系科目のお勉強が始まります。メキメキと才能を伸ばしたパスカルは家族から「アルキメデスの再来」と呼ばれるようになります。
そして、エティエンヌが入っていたメルセンヌ神父主催の科学アカデミーの一員となり、一流の数学者や科学者達と交流しました。こうして「数学者」パスカル、「物理学者」パスカルがデビューしたのです。
パスカルの逸話2 病弱
哲学者きっての病弱。デカルトがわざわざ訪問し、見守ってくれた。
スピノザといいホッブズといいデカルトといい、哲学者は基本的に病弱な人が多いです。
もしそんな哲学者の中で病弱王決定戦を行うとしたら堂々の一位になるのはパスカルでしょう。
真空の実験をしている20代頃、姉のジルベルトはその時のパスカルの様子をこう書き記しています。
逆にこの状態でよく物理やれたなと思ってしまいますよ。
そうそう、病気といえばこんなエピソードもありますね。
デカルトがわざわざ訪問し、見守ってくれた。
パスカルが1647年27歳の時です。パスカルが病気で床についていると、なんとあのデカルトが訪問してきました。デカルトはパスカルにこう言ったそうです。
ほんとはこういったそうです
この後デカルトは真空についての存在についてパスカルを攻撃します。
パスカルも『パンセ』内でデカルトの思想について攻撃
その事を考えると、この2人の出会いがせめてもの微笑ましい展開として見えてくるのは私だけでしょうか。
パスカルの逸話3 あんまりコミュニーケーションがうまくなかった?
俗世的生活でコミュ障発動
人間について深い洞察を持つパスカルですが、言葉と裏腹にそこまでコミュニケーションがうまく取れる人ではなかったようです。
パスカルが俗世的生活を始めた時、サロンに入っていたことがあるんですが、その時の貴族達にこう言われていました。
でもミトンやメレ(「数学者」パスカルの段で話します)などの名前が出てくるので全く友達が居なかったわけではないようです。少しは居たようですね。狭く深い人間関係を作ることには成功したのでしょう。
如才の無い人間になることは難しいですね。
パスカルの逸話4 非モテの非童貞
片思いと幼馴染の妹への恋心は叶わず?
前回説明したライプニッツといいスピノザといい哲学者は恋愛経験が豊富でない人及び独身が多いようです。パスカルもその例に漏れません。
パスカルは生涯独身でしたが、片思いについての文章を残しており、一応女性を知っていたという記述があったので全く関わりがなかったわけではないでしょう。
幼馴染のロアネーズ公の妹シャルロットと恋の噂が流れたようですが、生涯独身というところを見ると発展はしなかったのでしょう。
さて、パスカルへのsageが続いてしまったので良い話を1つしましょうか。
パスカルの逸話5 献身的
格安でパリを廻れる世界初の公共機関「5ソルの馬車」を作る。
普通科学者と聞くと他人に無頓着なエゴイストを想像すると思いますが、パスカルは
と語っているように非常に献身的な人でした。
晩年のパスカルは貧者救済のために「5ソルの馬車」と呼ばれる、格安でパリ市内を廻れる乗合馬車を考案し実現しました。
パスカルが生きていた当時はあまり利益が上がらなかったようですが、後にこれは世界初の公共機関となりました。
貧しい一家を引き取って長男が病気にかかったら追い出さずに自分が出ていく。
それだけではありません。ボルドーという貧しい一家を引き取って一つ屋根の下で生活していたのです。
しかし、時代は医学もあまり発展しておらず、糞尿が垂れ流され綺麗な街並みでなかった17世紀。
貧しい一家は当然外で暮らしていたわけですから、病気にかかる確率は高いわけです。
実際、長男が天然痘にかかってしまいました。
ここで普通ならこの一家を追い出すはずです。パスカルはどうしたのかと言いますと、姉であるペリエ夫人の2階の一室に移ったのです。
遺言も感動的。
ここまででも十分感嘆に値するのですが、パスカルは死の瞬間にこんな遺言を残したそうです。
「馬車の売り上げの半分を貧しい人へ与えてくれ。
それと、ここに私と同じような貧しい患者を連れてきて、同じように看取ってくれ。
じゃなきゃ、そういった貧しい人達の中で死なせてくれ」
馬車の売り上げ以外を叶えるのは無理だったようで、パスカルは39で亡くなりました。最後まで綺麗な心を持った人だと思いませんか?
最後に、パスカルと肩を並べる天才物理学者アインシュタインの名言を一つ。
「成功者になろうとするな。価値のある人間になれ」
では、結論を。
- ・幼い時から天才
- ・病弱
- ・デカルトとリアルで会い、優しい言葉をかけられた
- ・コミュ障
- ・非モテ非童貞
- ・貴族の立場を生かし、「5ソルの馬車」を作り、貧しい人を家に引き取った
パスカルの人物像やエピソードがわかるおすすめ本。入門・解説書
1・パンセ 岩波文庫
下巻はパスカルが回心した時の文章とパンセの内容をジャンルでまとめたアンソロジーなどが入っている。パスカル好きは必携の本。
詳細:岩波文庫の青帯(哲学思想・言語)のおすすめは?絶版含めた一覧リストと評価・レビュー付き
2・100分de名著 パスカル パンセ
1回25分、全4回で世界の名著を解説していくNHKの番組『100分de名著』のテキスト。入門書だけどかなり詳しく書いてあって、記事を書くときに何度も助けられた。
これからズラーっと参考文献を提示していくけど「こんなに読めねぇよ!」って人はもうこれ1冊だけ読んで。パスカルは大体語れるようになる。
3・人類の知的遺産34 パスカル
ニートンさんが前に大きな表を作ってそれぞれのコメントを書いていた『人類の知的遺産シリーズ』。
その中ではパスカルは高評価にあったけれども、本当にその通り。これはもはや宝。生涯も思想も詳しく書いてある。
4・『パスカル 人と思想』
すまない。これだけ画像がない。
何故かというと、この本自体古いものだからだ。あろうことかタイトルも忘れ、これであってるのかすら不明だ。薄めの緑色の本だ。知っている人は教えてくだされ……。
本自体は非常にパスカルの生涯や情報がまとまっていて良い本だった。
5・『フランス的人間』
大学で見つけた表紙がカオスな本。
モンテーニュとデカルトとパスカルについて書いてくれている。情報だけでなく文章も巧みなので読み物としてもオススメ。
因みに私はこの本からパスカルが非童貞であることを知った。多分この本読まなかったら童貞って書いてたと思う。
哲学にまつわる小説を書いてらっしゃる白兎扇一〈@WhiteRabbit1900〉さんに書いて頂きました