シラーの経歴とおすすめ作品は?性格や生涯のエピソードが面白い

シラーの経歴とおすすめ作品は?性格や生涯のエピソードが面白い

年末が近づくと日本中のいたるところで演奏されるベートーヴェンの交響曲第九番

ガキ使や紅白ではなく、おおみそかには第九!という方も少なからずいるかもしれません。

もはや年末の風物詩といっていいほど、第九は日本でも親しまれています。

ところで、人類愛を高らかに歌い上げる、有名な第四楽章の合唱『歓喜の歌』の詞が、ドイツの作家シラーによるものであることはみなさんご存知ですか?

本名フリードリヒ・フォン・シラー

彼は、現在でもゲーテと並ぶ国民的作家としてドイツでは知らない人はいないぐらいの大物です。

とはいえ、現在の日本ではこの作家はあまりメジャーではないかもしれませんね。

というわけで、今回はドイツの作家シラーをご紹介します!

  • 作家の生い立ちと経歴は?
  • どんな性格だったのか?
  • 今読んでも面白い、おすすめの作品は?

 

などをトピックにその魅力に迫ります!

こちらを読めば、シラーの生い立ち・経歴や作品・性格や人となりが分かります
『群盗』などのシラーの作品もさらに楽しめるようになります。ぜひご覧ください!

 

詩人シラーの生い立ちと生涯

シラーの生涯をたどってみると、彼の人生が必ずしも順風満帆ではなかったことが見えてきます。

 

  • 人生の節目節目にいつも色々な障害にぶつかった
  • 同時に彼はそれを自らの力や友人の助けを借りて乗り越えてきた

 

という彼の苦労人生をここではご紹介します!

 

生い立ち~学生生活

シラーは1759年、ドイツ南西部ヴュルテンベルク公国の小さな田舎町マールバッハに生まれます。

シラーの幼いころの夢は聖職者になることでした。幼いころから勉学の才能を示していたシラーは、7歳よりラテン語学校で勉強しながら神学校への進学を目指していました。

 

しかし、残念ながら彼の希望はかないませんでした。

  • 当時、国を統治していた領主カール・オイゲン公は、ぜいたく好みの横暴な専制君主として知られていました。
  • 彼は、自らに従順な臣下・軍人を養成するための学校としてカール学院を創設
  • そこに領内の成績優秀な生徒を入学させるようにしました。

 

シラーもまたそうした生徒のうちの一人でした。

 

はじめは神学校への進学のためその要請を拒否しましたが、結局権力者の命令に従わざるをえませんでした。

カール学院は規律の厳しい学校でしたが、教師や生徒間の自由な交流は許されており、

シラーはそこで友人たちと文芸の創作活動を始めます。

 

そんな中、18歳で書き始められたのが、彼のデビュー作の戯曲『群盗』です。

シラーは、この作品を1781年匿名で自費出版しました。

 

華々しいデビュー

出版後わずか一か月ほどで上演の依頼が届いたこの作品は、1782年マンハイム国民劇場で初演を迎えます。

前評判からすごい人気で、午後五時開演予定にもかかわらず、自由席を求めた客が午後一時には劇場に押し寄せていたほどでした。

そして初演は大成功!

終演後、

  • 拍手喝采と歓声がいつまでも鳴りやまなかった
  • 感激と興奮のあまり泣き叫ぶ者や気を失う者たちがでた

 

などで劇場が大混乱に陥ったという逸話まで残っているほどでした。

こうしてシラーは新進気鋭の劇作家として華々しいデビューを飾りました。

 

亡命~劇場付作家へ

いざ作家生活スタート!と思いきや、いきなりシラーには作家生命の危機が訪れます。

初演が行われていたマンハイムは、当時プファルツ選帝侯国の首都であり、ヴュルテンベルク公国に住むシラーにとっては「外国」でした。

初演が行われるマンハイムにシラーは無断で出かけていましたが、このことが領主オイゲン公の怒りを買いました。

結果シラーは、

  • 14日間の禁固の刑
  • 劇作家の活動禁止

 

という重い処罰をうけてしまいます。

 

国を去る以外に、詩人として生きる道はもはやありませんでした。

そこでシラーは、ある夜、友人の助けを借りてともにマンハイムへの亡命を試みます。

無事マンハイムへとたどり着いたシラーは、劇場付作家として活動をはじめ、『フィエスコの反乱』や『たくらみと恋』などの名作を次々と生み出していきます。

 

大学教授

順風満帆と思えた作家生活でしたが、再び彼には危機が訪れます。

戯曲『ドン・カルロス』の執筆が思うように進まず、契約の期間のうちに完成させることができず、その結果、シラーは劇場をお払い箱になってしまいます。

一説には、この裏には俳優たちの陰謀もあったと言われています。

 

シラーは経済的にも困窮し、貧しい生活を送ることを余儀なくされます。

しかし、友人たちからの支援もあり、彼は著作活動を続けることができました。

そんななか、彼は歴史研究にも精を出し始め、ついには歴史書の出版まで行います。

 

  • このとき出した歴史書がきっかけとなって、シラーは1789年イェーナ大学の教授に任命されることとなりました。
  • ちなみに、このときシラーの教授任命の裏には、ゲーテからの推薦もありました。
  • こうしてシラーは、歴史研究やさらに哲学研究などを行いながら、作家活動も続けていきました。

 

三十年戦争に関する歴史書も出版し、この成果は後に、この戦争を題材にした戯曲『ヴァレンシュタイン』にも生かされています。

 

詩人シラーの性格がわかるエピソード

詩人シラーは、

自由や正義を愛する理想主義者

 

と評されることがしばしばあります。

 

そんなシラーの理想主義的な性格に共鳴したのか、多くの友人や支援者がシラーの作家活動を熱心に支えていました

彼は経済的に苦しい時期がかなりありましたが、その困難を乗り越えることができたのは、友人たちの助けによるところが大きくありました。

 

例えばそのなかで有名なのは、生涯の親友となったケルナーです。

  • もともと文学を好んでいたケルナーは、シラー作品の思想に感激し、他の文芸仲間とともに彼にファンレターを送ります。
  • 当時劇場を追い出されていたシラーはこのファンレターをきっかけにケルナーと彼の文芸サークルと知り合い、生活を援助してもらうことができました。
  • 売れない作家がファンに食べさせてもらう、というと今でもありそうな光景で何となく親近感が持てるのではないでしょうか笑

 

ちなみにそんな彼らに寄せて作られたのが、第九にも使われた『歓喜に寄す』でした。

 

さらに、生涯のうちにシラーは、

  • マインツ司教代行のダールベルク
  • コペンハーゲンのアウグステンブルク王子

 

など、為政者からの支援も得ることができました。

自由と正義を愛するシラーの理想は、多くの人々に共感をもたらし、そしてシラー自身もそうした人々の支えによって自身の執筆活動を行うことができたのです。

作家シラーはみんなが支えたくなるような熱い理想をもった人物だったということが言えるでしょう!

 

詩人シラーのおすすめ作品

シラーの作品、特に初期作品には情熱的な内容のものが多くあります。

また、シラー自身と同じように、自由や正義をもとめ、目の前の困難に立ち向かう登場人物が多く登場します。

ここではおすすめ作品として

  • デビュー作の『群盗』
  • 恋愛ものの『たくらみと恋』

 

の二作品をご紹介します!

 

『群盗』

群盗』は、ある地方の領主を父にもつ、性格が正反対の兄弟の争いを描いた作品です。

  • 情熱的で自由を愛し、悪友とともに放縦な生活を送る兄カール
  • 理知的で兄の婚約者や家督相続権をねらう策略家の弟フランツ

 

物語は、弟フランツが父に兄の悪行を描いたねつ造の報告書を読み聞かせることから始まります。

  • 弟はことばたくみに父をそそのかし、兄を勘当する手紙を書かせます。
  • それを読んだ兄カールは自暴自棄になり、悪友に誘われるがままに盗賊団のボスとなってしまいます。
  • その後月日が流れ、兄カールは一人の青年貴族と出会います。
  • 婚約者を領主に無理矢理奪われたと嘆くその青年から出た名前は、なんとカールの元恋人アマーリアだった。
  • 彼女の身を案じたカールは、大急ぎで故郷へ帰るが、そこで彼が見たのは……

 

こんなあらすじの『群盗』ですが、

その魅力は

  • 熱い兄とクールな弟の対立
  • 盗賊たちのカッコよさと恐ろしさ
  • 若々しく激しいセリフ回し

 

です!

若きシラーの粗削りだけども、情熱的な人物造形や物語展開が堪能できるおすすめの作品です!

 

『たくらみと恋』(翻訳によっては『たくみと恋』)

  • 宰相ヴァルターの息子フェルディナントと音楽師ミラーの娘ルイーゼは相思相愛の仲。
  • しかし、身分違いの二人の恋は、当時の階級社会のなかで許されるものではなかった。
  • 宰相ヴァルターは、宮廷で権力を手に入れるため、自分が仕える公爵の愛人であるミルフォード夫人と息子を結婚させようとたくらむ。
  • ルイーゼとフェルディナントの仲を裂くため、ヴァルターは秘書のヴルムとある策略をねるが……

 

これが『たくらみと恋』のあらすじです!

タイトルにある通り、この作品では、貴族社会や市民社会のそれぞれの「たくらみ」に翻弄される二人の男女の「恋」の行方が描かれます。

話の内容としては、ドイツ語版『ロミオとジュリエット』といった作品です!

おすすめポイントは

  • 恋愛もの特有の情熱的なセリフ回し
  • 脇役も含めた登場人物の個性的なキャラクター

 

です!

個人的には、フェルディナントの政略結婚の相手であるミルフォード夫人がいい味出してて好きです。

例えば、フェルディナントを愛する彼女が嫉妬のあまりルイーゼに言ったセリフをみてみましょう。

 

”わたしはあの人と一緒になることができない。でも、あんたにだって一緒にさせてやるものか。残念だけど覚えておきなさい。幸せをぶち壊してやるのも楽しいもんなのさ。”

 

どうですか?こんな女性キャラクターっていまの少女漫画とかにもいそうですよね笑

 

まとめ シラーの経歴とおすすめ作品は?性格や生涯のエピソードが面白い

(Wikipediaより引用)

さて、今回はシラーの生涯や性格、おすすめの作品を紹介しました!

最後にさくっとまとめておきます!

  • シラーは、いろいろな壁にぶつかりながらも、それを乗り越え作品を書き続けた。
  • シラーの自由や正義の理想主義は、多くの賛同者を得て、彼の活動を支えた。
  • おすすめは『群盗』や『たくらみと恋』!登場人物の熱いセリフに注目!

 

みなさんも一度シラーの作品を手に取ってみてください♪

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