講談社で出版されていた人類の知的遺産という80巻のシリーズがあります。
1980年代くらいに出版されてました
人文系思想系の入門書です。
なかなかいいシリーズなので、一覧表にしてまとめてみました
一部は講談社学術文庫にも収録されています。
そして「おすすめ度」や「一言評価」も書いておきます
人類の知的遺産、全80巻一覧。おすすめ度。文庫化。評価
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巻数 | 書名 | 学術文庫化 | おすすめ度 | 評価 |
---|---|---|---|---|
1 | 古代イスラエルの思想家 | 〇 | A | 著者が関根正雄。最高 |
2 | ウパニシャッドの哲人 | B | 講談社学術文庫で辻直四郎の本が入手しやすい | |
3 | ブッダ | 〇 | A | 早島鏡正による安定のクオリティ |
4 | 孔子 | 〇 | A | 岩波文庫の論語の訳者。いい |
5 | 老子・荘子 | 〇 | B | 学術文庫で入門にちょうどいい |
6 | 墨子 | B | 墨子自体の解説の単著があまりない | |
7 | プラトン | 〇 | A | 斎藤忍髄。実存主義好きならおすすめ プラトンの生涯の記事 |
8 | アリストテレス | 〇 | B | 今道友信。美学好きならおすすめ アリストテレスの生涯の記事 |
9 | 孟子 | 〇 | B | 大御所貝塚茂樹 |
10 | ヘレニズムの思想家 | 〇 | A | ストア派エピクロス派懐疑派の入門には良書。kindleあり |
11 | 韓非子 | 〇 | B | 大御所貝塚茂樹 |
12 | イエス・キリスト | 〇 | B | 荒井献。イエス本は毀誉褒貶激しい |
13 | ナーガールジュナ | 〇 | B | 学術文庫では『龍樹』。中村元 |
14 | ヴァスバンドゥ | 〇 | B | 学術文庫では『世親』 |
15 | アウグスティヌス | 〇 | B | 良書 |
16 | ダルマ | 〇 | B | 良書 |
17 | マホメット | C | 牧野信也。講談社学術文庫のマホメットは井筒俊彦。こっちを読むのが現実的 | |
18 | 善導 | B | マイナーすぎる単著! | |
19 | 朱子 | C | ちくま学芸文庫の『朱子学と陽明学』がGOOD | |
20 | トマス・アクィナス | 〇 | A | 稲垣良典の優れた解説 |
21 | マイスター・エックハルト | 〇 | A | 上田閑照!最高。高くても買うべし |
22 | イブン=ハルドゥーン | 〇 | B | 良い感じ。kindle。 |
23 | エラスムス | B | 著者はこれしか書いてない | |
24 | マキアヴェッリ | 〇 | A | 佐々木毅によるオリジナリティあふれる良書。kindleあり |
25 | 王陽明 | B | ちくま学芸文庫の『朱子学と陽明学』がGOOD | |
26 | ルター | B | 最新の入門書(岩波新書)でOK | |
27 | イグナティウス・デ・ロヨラ | B | マイナーだ… | |
28 | カルヴァン | C | これももはや読まなくても | |
29 | モンテーニュ | C | 別の人が講談社学術文庫で解説書いてます | |
30 | ベーコン | C | ベーコンも地味に解説書が少ない | |
31 | ガリレオ | B | 伊東俊太郎なだけで手に取ってみていい | |
32 | デカルト | A | 正確すぎて悪夢のような日本語訳をする所雄章の解説。読むべし | |
33 | 黄宗義 | 不明 | すいませんが全くわからない | |
34 | パスカル | B | 伊藤勝彦はデカルト研究がメインでパスカルにも関心のある方 パスカルの生涯の記事 |
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35 | スピノザ | B | 國分功一郎先生の100分de名著が出ました スピノザの生涯の記事 |
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36 | ロック | A | 野田又夫なだけでOK ロックの生涯の記事 |
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37 | ニュートン | B | ほかの本でOK | |
38 | ライプニッツ | B | 悪くないけど手に入りにくすぎる。人と思想かな ライプニッツの生涯の記事 |
|
39 | モンテスキュー | B | 今更読むまでもない | |
40 | ルソー | 〇 | A | 福田歓一の文章はすごい。岩波現代文庫で復刊 ルソーの生涯の記事 |
41 | ディドロ | C | 読まなくてもOK | |
42 | アダム・スミス | B | 読まなくてもOK | |
43 | カント | 〇 | A | 坂部恵はオリジナリティあふれる哲学者。kindleあり カントの生涯の記事 |
44 | ベンサム | B | 読まなくてもOK | |
45 | ゲーテ | B | 手塚富雄のファウスト訳は評価が高い。講談社現代新書のライトな本もいい | |
46 | ヘーゲル | 〇 | A | 精神現象学だけ知りたいなら講談社学術文庫の別本がいい |
47 | ダーウィン | C | 読まなくてもOK | |
48 | キルケゴール | B | 小川圭治。やや難解。本格的に勉強したい人にはおすすめ | |
49 | バクーニン | B | この辺りはそもそも解説書が少ない | |
50 | マルクス | B | マルクス入門はたくさんある | |
51 | ドストエフスキー | A | 内村剛介。過去のドストエフスキー批評をコンパクトにまとめてる良書 | |
52 | トルストイ | C | ほかの読んでない作品を読めばいい | |
53 | ラーマクリシュナ | C | 読まなくてもOK | |
54 | ニーチェ | 〇 | B | 固めの入門としてはあり |
55 | ケア・ハーディ | B | 読む人がいるのか | |
56 | フロイト | 〇 | B | モラトリアムの小此木圭吾 |
57 | デュルケーム | B | 作田啓一はルソー本も熱い | |
58 | フッサール | 〇 | A | フッサール入門は少ないかも |
59 | ベルクソン | 〇 | A | 市川浩も独創性ある哲学者 |
60 | デューイ | A | 鶴見俊輔だから色々読んでおこう | |
61 | タゴール | B | 読む人いるのだろうか | |
62 | マックス・ウェーバー | 〇 | B | ウェーバーも毀誉褒貶激しい |
63 | 孫文 | C | 必要な人は読めばOK | |
64 | ガンディー | C | 平凡社新書のガンディーがおすすめ | |
65 | レーニン | B | 光文社古典新訳文庫の解説でOK | |
66 | ラッセル | B | 意外にあり | |
67 | トロツキー | C | 光文社古典新訳文庫の解説でOK | |
68 | アインシュタイン | 〇 | A | 数学者矢野健太郎ってだけで良い感じ |
69 | 魯迅 | B | 光文社古典新訳文庫の解説でOK | |
70 | ケインズ | 〇 | B | ケインズは入門書もむずいからありかも |
71 | ヤスパース | B | ヤスパースも単著解説は意外にない | |
72 | バルト | B | バルトの解説も易しいのない | |
73 | ヴィトゲンシュタイン | 〇 | A | 藤本隆志。実に良書だそう。ただし古い&文章難しめなので、飯田隆の現代思想の冒険者たちのほうがおすすめ |
74 | トインビー | B | 読みたい人はいないだろう | |
75 | ハイデッガー | B | 木田元でいいなら木田元で | |
76 | 毛沢東 | B | 読む人・・・ | |
77 | サルトル | B | まさかの加藤周一 | |
78 | フランツ・ファノン | B | マイナーすぎてもはやこれしかない。海老坂武。新装版がみすず書房から出ている。100分de名著のサルトル解説者(地味に良書) | |
79 | 現代の社会科学者 | 〇 | B | 富永健一。もはや現代ではない |
80 | 現代の自然科学者 | B | もはや現代ではない |
ぜひコメントなどであなたの感想や評価もお聞かせいただけるとありがたいです
もし文庫化されている本に抜けがありましたら教えてください
頂いた感想・補足・修正提案
キルケゴールの評価をCからBに変更しました(2019/3/22)
おお~、素晴らしいレビューをありがとうございます!
非常に勉強になります。
評価更新いたします!— ネオ高等遊民@哲学youtuber (@MNeeton) March 22, 2019
難解なのでCにしておりましたが、キルケゴールをしっかり勉強したい人にはとても良い本だそうです
ウィトゲンシュタインの評価をBからAに変更しました(2019/3/22)
人類の知的遺産シリーズのウィトゲンシュタイン、おすすめでしたか!
ウィトゲンシュタインを理解するセンスが皆無のネオ高等遊民は
悲しいかな、良書であることに気が付きませんでした!こんなの作ってました↓https://t.co/yLROqx7RWn https://t.co/QEHOiNZdej
— ネオ高等遊民@哲学youtuber (@MNeeton) 2019年3月21日
とはいえ、ウィトゲンシュタインの解説としては、少々古い本です(文章も少し難しい)
↓返信をいただきました
あとあと、藤本先生がこれを書いた時代的制約ゆえ詮無いが、ここ半世紀のヴィトゲンシュタイン研究史上最大の衝撃ともいえるクリプキ(ヴィトゲンシュタインのパラドクス)への言及がない
その意味でもちゃんとそれを解説し、誤解も正す飯田先生のが良書
索引の細かさも良いhttps://t.co/NRMZ6SomNi— 諸隈元シュタイン (@moroQma) March 22, 2019
飯田隆の現代思想の冒険者たちのほうがおすすめとのことです
ドストエフスキーの評価をCからAに変更しました(2019/3/21)
ドストエフスキーについては、「人類の知的遺産シリーズ」の趣旨にはあっていないので評価は妥当と思うのですが、ドストエフスキー批評史に於いては過去の批評をコンパクトにまとめているし、また、内村剛介という事で独自の批評も良いので、研究するのなら必携です。
— 風鈴 (@vent_cloche) 2019年3月21日
マホメットの評価に井筒俊彦の文庫情報を追加しました(2019/3/21)
ありがとうございます!
そのマホメットは、牧野信也が書いたものです
井筒俊彦とは別物ですが、代替になりそうなので修正いたします!(井筒だからならなさそうな気もしますw)— ネオ高等遊民@哲学youtuber (@MNeeton) 2019年3月21日
人類の知的遺産の特徴。前半は解説を読める・後半は抜粋が読める
これらは構成に特徴があります。
前半と後半に大きく言って分かれています
- 前半で思想家・哲学者の生涯や思想の簡単な解説
- 後半で実際にその人物が書いた作品の抜粋・エッセンスの日本語翻訳
そんな作りになっています
以上、【人類の知的遺産】おすすめと文庫化作品・評価。一覧表で全巻網羅でした