坂口安吾の性格や経歴は?生い立ちとエピソードが面白い

日本史や倫理などの授業で、必ずと言っていいくらいに登場する「坂口安吾」

 

第二次世界大戦辺り、明治から昭和にかけて活躍した文学者ですね。

受験勉強で彼の著書「堕落論」と「人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ」など著書の中のワンフレーズを頭に叩き込んだ方も多いとは思いますが、具体的なことは何も知らない方も多いのではないでしょうか。

それは勿体無いですよ! 何しろ坂口安吾は、とんでもなく「破天荒」で面白い方だったのですから……!

 

今回は坂口安吾の

  1. 坂口安吾の生い立ちとは?
  2. 坂口安吾の経歴は?
  3. エピソードから見る坂口安吾の性格とは?

について書いて、破天荒文学者「坂口安吾」について知ってもらおうと思います!

 

ポイントは以下の通りです

  1. 破天荒なのは割と最初から? ガキ大将過ぎて有名人になった後は、近眼を理由に不登校、そして留年。「安吾」のPNはここから生まれた!
  2. 戦後の混乱の最中、鋭い眼光で日本の在り方を批判した『堕落論』で一躍有名人に! ついでに汚すぎる書斎も有名に!?
  3. 才能はあっても人生は波乱万丈! 好奇心旺盛で文豪間の知り合いも多かった模様。

 

坂口安吾の生い立ちとは?

坂口安吾(本名:坂口炳吾)は1906年(明治39年)に新潟県で生まれました。憲政本党所属の衆議院議員坂口仁一郎の、なんと十二番目の子(五男)だそうです。父親の肩書きもすごいですが、十二番目の子どもというのもすごいですよね。大家族です!

 

かつては「坂口家の小判を積み上げれば五頭山の嶺までとどき、阿賀野川の水が尽きても坂口家の富は尽きぬ」と言われた程の由緒正しき一家だったそうなのですが、坂口が生まれた頃には祖父の投機失敗や父の政治活動資金運用の関係で傾きかけていたそうです。坂口が文学者として鋭い視点を得たのは親世代の失敗を目の当たりにしたことで人生の厳しさを思い知らされたから、なのかもしれませんね。

 

ちなみに本名「炳五」(へいご)の由来は、「丙午」年生まれの「五男」、という意味なんだとか。「炳」の字には光り輝く、など良い意味もあるのですが、由来が由来だからか、本人はあまり好ましくは思っていなかったようです。

そんな坂口は幼い頃から破天荒で、テストで簡単に満点を取って帰ったかと思いきや夜まで遊び歩いてなかなか家には帰らなかったり、近所の子を脅して無理矢理呼び出したりとまさに『頭が良い分非常にタチが悪い悪ガキ』状態だったんだとか……。

 

それを見た叔父は「炳五はとてつもなく偉くなるか、とんでもない人間になるか、どちらかだ」と言っていたんだとか。幼少期から、坂口は才能の片鱗を見せていたのでしょうね。

 

しかし中学生になると坂口の目は次第に悪くなっていき、家計が火の車状態だったせいで眼鏡を買うことが出来ず(買ってもすぐに壊してしまったんだとか……)、黒板の文字が読めずに成績が下がっていってしまったそうです。

視力低下が成績の下がった理由であると知られるのを恥じた坂口は次第に学校に行かなくなってしまい、遂には留年してしまいます。留年を機にやってきた家庭教師からも逃げ回る坂口……一連の出来事によって、勉強嫌い(および学校嫌い)が加速してしまっていたのでしょうね。

 

そして何が何でも勉強をしない坂口に対し、怒った教師は「お前なんか炳五という名は勿体ない。自己に暗い奴だからアンゴと名のれ」と黒板に「暗吾」と書いたそうです。今、これをやると大問題になりそうです……が、何故か坂口はこれを気に入ったようで、彼は後々「安吾」と名乗るようになります。

人生、何が起こるやら分かりませんね。

 

坂口安吾の経歴は?

坂口安吾が有名になったのは戦後の話ですが、その名を有名にした『風博士』(1931 昭和6年)など戦前に発表された作品もいくつか存在します。

また、坂口は未完成のものや失敗作としか言えないようなものも多いそうなのですが、純文学のみならず、歴史小説や推理小説も執筆し、文芸や時代風俗から古代歴史まで広範に材を採る随筆など、多彩な活動をしたことで知られています。

主な作品には、以下の物が挙げられます。

  • 随筆・評論『堕落論』(1946年 昭和21年)
  • 小説『白痴』(1946年 昭和21年)
  • 小説『桜の森の満開の下』(1947年 昭和22年)
  • 小説『不連続殺人事件』(1947年 昭和22年)
  • 小説『二流の人』(1948年 昭和23年)

 

ここで紹介しているのはあくまでも一部分で、特に随筆・評論のジャンルでは非常に多岐に渡る作品を残しています。

また『不連続殺人事件』は推理小説、『二流の人』は歴史小説と、小説内におけるジャンルも非常に幅広いことが特徴的です。

 

エピソードで読む坂口安吾の性格と人柄は?

坂口安吾の波乱万丈な人生は決して良いことばかりではなく、時には交通事故に遭ってその後遺症に苦しんだり、麻薬中毒に苦しんだりと坂口は悲劇的な一面も持っています。48年という短い人生を生きた坂口安吾は一体どのような人柄・性格だったのでしょうか?

エピソードを交えながら紹介してみたいと思います。

面白い・独特なエピソードとしては、以下の物が挙げられます。

  1. 「余は偉大なる落伍者となつていつの日か歴史の中によみがへるであらう」と机の裏(実際には柔道部の板戸)に掘ってしまう程の落伍者への憧れ? そもそも落伍者とは?
  2. 居候中なのにカレーを出前注文! その数が凄まじい!!
  3. どうやら掃除が物凄く苦手だったようで……今も残るあの有名写真。よく見ると……。

上から順番に紹介していきましょう!

 

坂口安吾の性格1.夢は『落伍者』! 安吾が憧れた生き方とは?

こちらは中学生時代のエピソードになります。

『落伍者』とは周りから遅れてしまい、悪い方向に落ちぶれてしまった人のことを指します。坂口が何故落伍者に憧れたかというと、当初の愛読書がボードレールやポー、石川啄木といった「間違っても人生円満ではなかった方々」による作品であったからでしょう。

学校の所有物に「余は偉大なる落伍者となつていつの日か歴史の中によみがへるであらう」と勝手に刻み、試験は白紙で提出し、授業には出ず百人一首をして遊ぶ……そんなこんなで再び落第しかける坂口なのですが、最終的には大学でフランス語を取得(しかも優秀過ぎて賞を貰う)するなど、文学者として名を残す以外の分野でも活躍しています。基本的にやはり頭が良かったのでしょうね。

そして彼が思い描いていた通りの姿かどうかは別にして、坂口は歴史に名を残す人物となるのでした。

 

坂口安吾の性格2.浪費グセが酷くて妻と共に居候生活! しかし大人しくは出来なかったようで……。

堕落論で売れっ子となった後も浪費グセが酷くて借金に追われ、家は差し押さえられ、家財も当然ながらなく、色んな人の家を点々としていた坂口とその妻。

謎の事件が発生するのは、檀一雄氏の家に居候していた時。坂口は突如、妻の三千代に「カレーの出前を取れ」と命令します――100人前の、カレーを

今でも理由は分かりません。酒に酔っていたのか、むしゃくしゃしてやったのか、全く分かりません。何しろ本人は何も語らず、ひたすら庭に並べられていくカレーを食べていたそうなので……。

(※ちなみに流石に出前を頼まれた蕎麦屋さんも「???」となったのか、実際に運ばれてきたのは20~30人前だったそうです)

 

坂口安吾の性格3.お部屋が汚いのですが。

ここで最初に紹介した画像に戻ります。よく見ていただけると、すぐに分かります……というより、よく見なくとも分かると思います。

 

坂口曰く、2年間掃除をしていない書斎だそうです。(本当に「2年」なのかどうかは不明です)

元々物に対して執着しないという坂口はあまり物を持たず、さらには「片付けると埃が舞うから」などの理由で書斎を放置……ですが、こういった場所は普通露見しないものです。坂口本人も「綺麗ではない」という自覚はあったようですから、尚更。

 

露見してしまった理由は、写真家、林忠彦による発表(公開処刑……?)でした。

元々写真嫌いでなかなかカメラに写りたがらないという坂口を(坂口曰くちょっと強引に)撮影しに来た林は、散らかった書斎を見て「これだ!」と写真家のカンを発揮します。

そして彼は「2年掃除してない書斎」と家主(坂口)という1枚にこだわり、坂口をテーブルの前に座らせ例の写真を撮ったのでした。

まさか坂口本人も、この写真がここまで広まってしまうとは思わなかったでしょうね……。

 

まとめ 坂口安吾の性格や経歴は?生い立ちとエピソードが面白い

坂口安吾の性格や経歴、生い立ちとエピソードの面白いところをご紹介しました

 

破天荒で、大人しくはしてくれず、何かと事件を起こしていた坂口安吾。作品自体も先に挙げた通り、未完成の物が多く残されています。しかし、だからこそ決して長くはない人生の中で、彼はここまで魅力ある作品を残すことができたのでしょう。

日本人初のノーベル文学賞受賞者である川端康成は、「すぐれた作家はすべて最初の人であり、最後の人である。坂口安吾氏の文学は、坂口氏があってつくられ、坂口氏がなくて語れない」と坂口の弔辞を読んでいます。

 

坂口の人生は決して順風満帆な人生ではありませんでした。だからこそ彼の作品からは多くのことを学ばせてもらえるのでしょう。

 

坂口安吾といえば『堕落論』ですが、その続編にあたる『続堕落論』もオススメです。

もう何十年も前の作品なのですが、今の日本、今の私達に通じる内容となっています。そう考えてみると、戦後当初から私達はあまり変わらないまま、ここまで来てしまったのかもしれません。

そんな「変わらないままの日本人」に対して警鐘を鳴らす坂口の『続堕落論』は、きっと誰が読んでもハッとさせられる内容となっていると思います。そんなに長い文章ではありませんので、『堕落論』と一緒に読まれることをオススメします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

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