【動画あり】初心者でも読める哲学書のおすすめ。哲学を勉強するメリットや学ぶべき意義や理由とは?

(2019年3月21日更新)

大学院で哲学を研究していた筆者による「哲学書のおすすめ」です。

初心者の方も読みやすいものを選びましたので、ぜひご覧ください。

 

哲学に興味のあるあなた。

なんとなく敷居が高そうで、なかなかはじめの一歩を踏み出せずにいませんか?

  • 大学の授業で、哲学入門があった
  • 哲学は難しそうだから自分には無理
  • 哲学的ゾンビで、哲学に興味を持った
  • 超訳ニーチェで、哲学に興味を持った

すばらしいと思います。

 

この記事を書いている私は高等遊民と言いまして、大学院の修士課程で哲学を専攻していました。

研究していたのは、古代ギリシア哲学についてです。
世界史や倫理の教科書でも有名な、ソクラテス・プラトン・アリストテレスなどを勉強していました

 

この記事では、哲学に興味をもって哲学書を読んでみたいと思ってる初心者の方に

  • 哲学ってそもそも何? どう学ぶ?
  • 哲学を学ぶべき3つの理由
  • おすすめ哲学書

この3つをご紹介します。

 

動画でざっくり知りたい方は、こちらもご覧ください。倍速でも十分です

↑以下に書かれた内容や、おすすめの哲学書とは違う本を紹介してます

哲学とは何か? どう学ぶべきか?

哲学とは何か。

書いていて、恥ずかしくなるような質問です。
たいてい、こういうレポートはうまくいきません(笑)

  • 「文学とは何か?」
  • 「教育とは何か?」
  • 「映画とは何か?」

こういうものを定義しようとすると、たいてい自分中心の話になってしまいますね。

「哲学とは何か?」なんていうのも、まあ無理な質問です。

でも、「哲学をどう役に立てるか?」という話なら、少しはできそうです。

たとえば「世界観の点検」というツールに、哲学を使うことができます。

  • 「常識を疑う」
  • 「当たり前のようにある物事を、疑う」

具体的にどういうことかというと、いまあなたが手にしているスマホ。

  • 「このスマホは、本当は錯覚かもしれない」
  • 「なぜこのスマホが、目に見えて、手で触れるのか?」
  • 「スマホが存在するという根拠は?」

一見、ばかばかしい問いです。
でも「スマホがある」という根拠は何でしょう?
それは「感覚」です。

  • 目に見える
  • 手で触れる
  • 重さや熱を感じる
  • 音楽が聴ける

じゃあ、感覚って、どれだけ信用できるの?

  • 視力検査では、見間違いがあるよね。
  • お風呂の中だと、自分の手が小さく見えるよね。
  • 夢の中でスマホを持っていたら、そのスマホって物理的にはないよね。

こんな感じで、「あたりまえに前提していたものごとの確実性」が崩れていきます。

こうした哲学を「青春の哲学」とも言います。
「中二病の哲学」とも言います(笑)

「全部をひっくり返して、1から確実なものを見つけてやる。」

こんなロマンチックな心意気が感じられるからです。

「世界観の点検としての哲学」のたとえ話をしてみました。

どうでしょう?
ちょっと楽しく感じますか?

こういった哲学観は、藤子不二雄のある作品を読むと、ものすごくよく分かります。
まさに哲学入門にうってつけの、藤子・F・不二雄のSF短編です。

(関連記事)藤子F不二雄『気楽にやろうよ』に学ぶ世界観の点検としての哲学入門

哲学を学ぶべき3つの理由

お次は「哲学を学ぶとこんないいことがある」という話です。

「ハーバード大学哲学科が教える、哲学を学ぶ理由」
というものがあります。原文はこちら。

John Campbellという哲学者が「哲学を学んで得られる3つのメリット」を教えてくれています。

メリット1 哲学をすることで、考える力が得られる!

So the main reason to study philosophy is that you find intrinsic value in reflection and contemplation.

要するに、反省と熟考の力が得られる、といっています。

哲学書は難しい。正直言って、ムズイです。
だからこそ、真剣に取り組めば、考える力が得られること間違いなし。

メリット2 哲学のスキルは、ビジネスの現場で役立つ!

the skills you acquire studying philosophy are highly marketable

哲学を勉強することであなたが得られるスキルは、市場価値が高い、と言っています。

「哲学科なんかいったら、就職できなくて、貧困の道が決まっているとイメージしがちだろ?
でも、そうじゃないんだよ」

こんなふうにギャグっぽく説明しています。

メリット3 どんな業界でも使えるスキルが身につく

In short, philosophy gives you skills that you can apply to any line of work.

要するに、哲学を学んで得られるスキルは、どんな職種・業種にも使えるんだ、と言っています。

(a line of work … 業種・職種)

  • 明晰に考え、表現する力
  • 誰も気が付いていない前提を見つける力
  • 複雑な概念や考えを、わかりやすく伝える力
  • 幅広い文脈でものごとを見る力
  • 権威・慣習に挑戦すること

こんなスキルが得られるから、どこ行っても、あなたはやっていける!
と言っています。

以上が「3つのメリット」ですね。

要するに「頭がよくなるよ」って言いたいんですね!
わたしはそれほど頭が良くなりませんでしたが(笑)

おすすめ哲学者や哲学書ってある?

ここからが目玉です。

では一概に哲学を学ぶといっても、具体的にどうすればいいのか?
とりあえず、「昔の哲学者の作品を読みなさい」という話になりますよね。

もちろん、解説付きで読むことをおすすめします。

  • いきなり読んで楽しい哲学書
  • いきなり読むと全く訳が分からない哲学書(地雷)

があります。いきなり挫折しないように、しっかりと道案内をさせて頂きます。

ちなみにHASIGOという学生連合ブログに、【大学生必見】哲学を学ぶべき理由という記事が掲載されていました。
ライターは早稲田大学の学生さんです。

彼のおすすめしている哲学書(6冊)を見ると「ちょっとキツイ」です。
もう少し歯に衣着せずにいうと「絶対に1冊も読んでないでしょ?」という印象です。
ちなみに↑がおすすめしているのは、この6冊。

  1. アリストテレス「論理学」(?)
  2. デカルト「方法序説」
  3. ハイデガー「存在と時間」
  4. フーコー「監獄の誕生」
  5. ロールズ「正義論」
  6. カント「純粋理性批判」

まずアリストテレスに「論理学」という著作はない……。
ほかも、デカルトをのぞいて、難しすぎる作品ばかりです。
まともに取り組めるのは、デカルト「方法序説」くらいです。

なので、6冊のうち、デカルト「方法序説」はOK。ぜひ読んでください。
岩波文庫で500円しません。哲学書の中では、きわめて薄い本です。

ということで、残りの5冊で、「代わりに読むべき5冊の哲学書」をご紹介します。

1 アリストテレスならちくま新書か「哲学のすすめ」

アリストテレスには「論理学」という著作はありません。
論理学的なことを扱った作品は、3つあります。

  • カテゴリー論
  • 分析論(前書と後書)
  • ソフィスト的論駁論

こんなの読まなくてもOKです。読めません(笑)

「倫理学」なら、ニコマコス倫理学が代表的です。
これは、ちょっと難しいですけど、ちくま新書の『アリストテレス入門』という新書本」と一緒に読むと、すごくよく分かりますよ。

アリストテレスに興味のある方は、以下の記事も良かったらご覧ください。

アリストテレス著作と入門書まとめ~政治学から形而上学まで

アリストテレスが古代ギリシアの一般人向けに書いた作品もあります。

「哲学のすすめ」という作品です。
かなりぶっ飛んでいておもしろいですよ。

「哲学のすすめ」の紹介をこちらで書いてます。

2 ハイデガー「存在と時間」なんか読むな! まずは新書と講義録から

いきなりハイデガー「存在と時間」を読む。
こんな芸当、木田元というハイデガー学者しかやりません。

ハイデガーに興味があるなら、新書から入りましょう。

古東哲明「ハイデガー 存在神秘の哲学」という新書が、とてもおもしろいです。

ハイデガーって、もともとアリストテレス研究者なんですよ。
ハイデガーのおもしろさやすごさの真髄は、その哲学史講義にあるんです。
その辺りは、さきほどご紹介した木田元さん木田元さんの「ハイデガー拾い読み」に詳しいですね。
この本も、非常におもしろいです。もう哲学のうまみが凝縮されていますよ。

これでハイデガーに興味がわいたら、次は
「形而上学入門」というハイデガーの講義をおすすめします。
あるいは「ニーチェ」というこれまたハイデガーの講義。

講義録も十分難しい。でも、新書を読んだら、まずはハイデガーの講義録を読みましょう。
「存在と時間」は、それからでも十分です。

3 フーコー「監獄の誕生」がわかる解説書

「監獄の誕生」は、非常におもしろい本です。
というか、フーコーは、目の付け所が天才的なんです。

「そこに注目するの!? しかもすごくおもしろい!!」
センスが良すぎるんですね。

ただ、ちょっと難解。

おすすめの解説書をサクッと列挙しますと

  1. 重田園江「ミシェル・フーコー: 近代を裏から読む」 (ちくま新書)
  2. 中山元「フーコー入門」(ちくま新書)
  3. ヒューバート・ドレイファス「ミッシェル・フーコー、構造主義と解釈学を超えて」(筑摩書房)
  4. J・G・メルキオール「フーコー・全体像と批判」(河出書房新社)
  5. ジル・ドゥルーズ「フーコー」(河出文庫)
  6. 中山元「フーコー、生権力と統治性」(河出書房新社)

(下にいくほど難しい。)

重田園江さんの新書は、「監獄の誕生」を非常に詳しく説明しています。
「監獄の誕生」をはじめて読むなら、ぜひ手元に置いてください。

哲学書というのは、解説書と一緒に読むものなのです。

4 ロールズ「正義論」読む前にマイケル・サンデル先生を読めばいい

一部では「最も重要な哲学書」なんて扱いを受けているのがロールズ「正義論」
非常に分厚くて、読みにくいので、いきなり読む必要はありません。

それなら、マイケル・サンデル「これからの正義の話をしよう」がおすすめです。
サンデル先生の本は、数年前の哲学ブームの火付け役になりました。

正義というテーマに興味がある方は、ぜひ読んでみてください。

ただし、欠点もあります。
サンデル先生やロールズの正義論は「正義はよいものだ」という前提があること。

  • 「正義はいいことだ」
  • 「正義はすばらしい」
  • 「じゃあ社会で正義を最も実現できる方法はなんだろう?」

こんな姿勢です。
だが、ちょっと待ってほしい。

  • 「正義なんか損だ」
  • 「不正がバレなければ、正義なんかくそくらえだ」
  • 「正義なんて、しょせんは弱虫どものルールだ」

こうやって、「正義はよいことだ」という考えを疑った哲学者もいます。
それは、プラトンとニーチェ。

ロールズやサンデルの正義論は、もう本当に、分かりやすくプラトンとニーチェを無視しています。

プラトンの正義論については、とんでもなく詳しく語りました。
ロールズやサンデルの100倍おもしろいです(笑)

プラトンの正義論については、こちらです↓

(関連記事)「バレない不正こそ最善である!」プラトン『国家』の正義論がヤバすぎる

5 カント「純粋理性批判」なんか1ページ目でやめろ!

最後は、カント。
「純粋理性批判」を哲学入門にすすめるなんて、鬼です。

  • ギター入門にいきなりトレモロ奏法。
  • 水泳入門にいきなりバタフライ
  • 料理初心者にいきなり懐石料理

これくらい、無茶です。

なので、もしあなたが、カントに興味があれば、これまた新書から入門しましょう。
この石川文康「カント入門」(ちくま新書)は、哲学入門書でも最高傑作の部類です。

ちくま新書の入門シリーズ。

この2つは、群を抜いて素晴らしいです。
「はじめての哲学書」にぴったりですよ。

その他には少し難しくなりますが、こんな解説書がおすすめです。

あと、本格的に著作を読む際の、心強い味方になるのは、これ。
「カント事典」(弘文堂)
1つ1つの術語や、キーワードを本当に、ていねいに書いています。よく分かります。

丁寧と言えば、光文社古典新訳文庫の翻訳にある解説も、すばらしい。

中山元訳「純粋理性批判」全7巻

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カントの作品を読むなら純粋理性批判よりも先に「永遠平和のために」を読んでみましょう。
これはおもしろいですよ。(これも驚愕の0円!)

「正義や戦争の問題」に触れているので、現代にも十分に当てはめられます。
これも光文社古典新訳文庫の翻訳がおすすめです。

kindleは神ツールですね。

こちらでも光文社古典新訳文庫のおすすめを紹介してます。(文学が多いですが)

参考:【光文社古典新訳文庫kindle】無料読み放題で評判高いおすすめ作品はコレだ!

まとめ 哲学書を読みこなそう

「哲学書を自分で読んでみたい」あなたへ、

「哲学を学ぶべき3つの理由」と「おすすめの哲学書」を紹介しました。

まとめると、次の通りです。

哲学を学ぶべき3つの理由

  1. 哲学をすることで、考える力が得られる!
  2. どんな業界でも使えるスキルが身につく!
  3. 哲学のスキルは、ビジネスの現場で役立つ!

おすすめの哲学書は、ちょっと色々挙げすぎましたね。
ポイントは、こちらです。

  • 哲学書はいきなり原典を読まず、解説書をひもとくと読める
  • 「ちくま新書」の哲学入門書は当たりがおおい
  • 光文社古典新訳文庫の翻訳は、解説が充実していて買い

最後に、哲学書は、ノートをとりながら読むことをお勧めします。

いま最強のノートツールは、電子書籍です。

kindleなどで、ハイライト(マーカー線)をバンバン引きましょう。
読み終わったときに、ハイライトを見返せば、要約が完成しています。

「紙の本じゃないと読めない」

私もずっとそう思ってましたけど、正直、食わず嫌いでした。
便利さを覚えると、何でも電子書籍にしたくなります。
ぜひ試してみてください。

kindle
まだ電子書籍を使っていないあなたへ

電子書籍なら、あなたの読書ライフに革命を起こします!
スマホで読むのもいいですが、専用端末だと、能率は5倍くらい変わってきます。
どんどん線を引きましょう。

いちばん良い端末は、やはりkindle。
月50冊でも楽々読めちゃう最強の読み放題サービス(kindle unlimited)と合わせて、圧倒的におすすめです。

関連記事:amazon読み放題サービス「無料30日間を使い倒す」方法

kindleの本体はどれがよい?
これは、マンガモデルが圧倒的におすすめです。
他機種との違いは容量。まんがは画像ですから、容量が大きいんです。
とはいえ、文字だけの本でも、マンガモデルは大量にストックできます。
kindleを使いこなすと、100冊も200冊も揃えたくなります。
これが、まんがを読まない人にもマンガモデルをおすすめする理由です。

「Kindle Paperwhite マンガモデル」

 

ちなみに私はTwitterやYouTubeなどもやっています

動画で西洋哲学史の流れを「簡単にサクッと聞き流したい」方のために、こんな動画を作ってみました

2倍速にしてBGM代わりに聞いていただければちょうど良いかと思います(^^)

高等遊民のnoteの紹介

 

noteにて、哲学の勉強法を公開しています。

 

現在は1つのノートと1つのマガジン。

 

1.【高等遊民の哲学入門】哲学初心者が挫折なしに大学2年分の知識を身につける5つの手順

2. 【マガジン】プラトン『国家』の要約(全10冊)

 

1は「哲学に興味があって勉強したい。でも、どこから手を付ければいいのかな……」という方のために書きました。

5つの手順は「絶対挫折しようがない入門書」から始めて、書かれている作業をこなしていくだけ。

3か月ほどで誰でも哲学科2年生レベル(ゼミの購読で困らないレベル)の知識が身につきます。

3か月というのは、非常に長く見積もった目安です。1日1時間ほど時間が取れれば、1ヶ月くらいで十分にすべてのステップを終えることができるでしょう。

ちなみに15000文字ほどですが、ほとんどスマホの音声入力で書きました。

かなり難しい哲学の内容でも、音声入力で話して書けます。

音声入力を使いこなしたい方の参考にもなると思います。

 

2はプラトンの主著『国家』の要約です。
原型は10年前に作成した私の個人的なノートですが、今読んでも十分に役に立ちます。
岩波文庫で900ページ近くの浩瀚な『国家』の議論を、10分の1の分量でしっかり追うことができます

\無料試し読み部分たっぷり/

2 件のコメント

  • 相当参考になりました。哲学の道案内をうたっているサイトは意外とたくさんありますが、参考にならないものばかりです。
    助かりました。

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