2016年12月16日にドメイン取得し、立ち上げたこのサイト。
開設よりおよそ1ヶ月経過致しました。改めて、サイトの趣旨を説明してみたいと思います。
自分でもまだはっきり固まっているわけではありませんので、現時点でのマニフェスト的なものとしてご笑覧くださいませ。
高等遊民.comというサイト(ブログ)の趣旨
このサイトは、文学と哲学を修めた結果、働きたくなくなったブログ主が世界の名著をおすすめしようと考えたサイトです。
なんだかのっけから「人生終わった人間が、胸にくすぶる承認欲求を満たすための最後の手段としてのブログ」みたいなノリにしか聞こえなくなっているような気がしますが!
とにかく、高等遊民と名付けたのは、そんな理由からです。まあほかにも高等遊民を名乗る方はたくさんいるかと思いますが!
そしてそして。せっかくやるなら、人の役に立つようなサイトにしたいと思っていました。
哲学や文学作品は、時代を超えて読み継がれていくものです。
しかし、内容も古くなったり、語りも難解だったり、言葉遣いも堅苦しかったり、やたら分厚かったり、共感もイメージもできなくなったり。
とにかく古典には「読みにくい」条件が次第に積み重なっていきます。
そしてとうとうマーク・トウェインがこんなことを言い出すのです。
‘Classic’ – a book which people praise and don’t read. 「古典 誰もが褒め称えるが、誰も読まない本」
悔しいけど、おもしろい。
記事作成の趣旨について
だから、文学や哲学の名著を紹介しつつ、ちょっとだけおもしろい切り口を用意するようにつとめています。
「こういう視点で読んで、自分は結構楽しく読めたよ」というような紹介を心がけています。
そんな感じの意識で書いたのが、こんな記事たち↓
・プラトン『国家』のテーマとは:グラウコンの挑戦に注目せよ!
『国家』は分厚いから、序盤の問題提起「正義は損である」という言説を詳しく解説。
「万物の根源は水」といったターレス(≠サイヤ人)が、最初の哲学者であるといわれている理由を解説。
・大岡昇平『武蔵野夫人』は貞淑な妻が夫以外の男性を恋してしまう話
秋山という主人公道子の夫が、文学男子に共感性羞恥を発生させるような痛い奴であると指摘。
・マックス・ウェーバーの『プロ倫』は難しい? いや楽しい本だ!
論文にビジネス書みたいなベンジャミン・フランクリン自伝を引用するウェーバーのセンスを絶賛。
それ以外には、資料集的なものの作成にも努めています。
哲学書や文学作品を読んだ感想って、別にあまり求められていないような気がするのです。
感想や書評は、結局独りよがりなものになることが多い。
それであればできるだけ主観を排除した、まとめや資料が検索する方の役に立つような気もします。(だからまとめサイトとかあるわけだし)
そんな意識でずらずら作っていたのが例えばこんな記事↓
岩波書店の全集の総目次。Webに落ちていると少し便利そうなもの。
哲学史の目次を書き出すだけで、何となく流れが見えてくるような気にさせる。
ほんとに資料。14世紀イタリアの世相の把握のため。
むかし教育学の必読文献だった本の読書メモ。重要な論点を箇条書きでひたすら書いた。
もうひとつ、第3に、高等遊民なるものは現代のエンタメや世相にも通じてなければならないとの考えから、多少エンタメや時事ネタ、トレンドネタなども交えた記事を書きました。
明治時代の高等遊民だって、基本的には当時の流行に通じていたからね。というか働かないで流行を追ってばっかの連中だよ。
夏目漱石『それから』を読んだことがある方はいらっしゃいますか。
『それから』の主人公の代助が、ブログ主の理想の姿です。
ただし、高等遊民風の視点を失っては、何でもありのトレンドブログになってしまいかねない。
高等遊民が関心を持ちそうなテーマを書かねば。
そんなふうに考えながら書かれたのがこんな記事たち↓
紅白で恋ダンスを期待されたガッキーに対する同情
・逃げ恥のやりがい搾取を知れば就活は金に汚くていいことがわかる
やりがい搾取を避けるには、ひたすら金のことだけ考えろと主張
鴎外若年期の新書簡が発見されたというニュースを受けて。
・朝ドラ『べっぴんさん』に出た『ステップ英会話』の正体は高難度上級テキストだった
朝ドラ見てたら英会話テキストが出てきた。調べたらモデルがあった。
個人的に好きなまんがのドラマ化。これも資料集的な視点を入れたつもり。
全体的には悪くないけど、芸術性のない俳句を載せるんじゃねえとブチ切れた。
雑談 個人的に問題に思ってること
ちょっと話題が逸れますけど、たとえば「哲学」と検索して出てくるサイトがどんなものかご存知でしょうか?
2chの哲学ニュースがトップです。
この哲学ニュースとは、哲学とは名ばかりのただの2chログです。
以下はこんな感じ。
- wikipedia
- 第1回 哲学ってなんだ?|はじめての哲学的思考|webちくま
- 哲学とは (テツガクとは) [単語記事] – ニコニコ大百科
- 「哲学ってなんなの? ムダじゃない?」 哲学者に話を聞いてきた
- 哲学が人類を「幸福にしない」これだけの理由 | 哲学塾からこんにちは
まあ事情は海外でも変わりありません。たとえば英語版googleで”philosophy”と検索すると
なんか化粧品会社みたいなのがトップにくるという。
続いてwikipedia。
もちろん「哲学」だけで検索なんて、キーワードとして曖昧すぎるから、という理由もあります。
しかし、やはり「哲学」と検索したら、ガチ哲学サイトで埋めつくされてほしいという思いがあります。
- wikipedia
- 日本哲学会
- 京都大学哲学科HP
みたいな感じでね。
おわりに 哲学文学系サイトを作るということ
インターネットで哲学や文学に関する知見そのものを得ようと考えている方は少ないかと思います。
むしろ、「おもしろい本はないかな」とか「この本をおもしろく/楽に読むいい方法ないかな」とか、そういうお役立ち情報のほうが求められています。
その結果、ネットの哲学情報が安易な方向へと流れていき、「哲学入門におすすめな5冊!」みたいな記事であふれかえることになります。
まあこういう記事のほうが読まれますからね。それでみんな好き勝手すすめています。おすすめ入門書読んでるだけで人生終わりそうなほどおすすめされています。
ただし、この弊害として、専門書への案内が少なくなったり、埋もれてしまったりします。
たとえばギリシャ哲学入門とかいって、「ソクラテスの弁明」やら「アリストテレス入門」だのといった文庫新書の類の情報はたくさんあります。
しかしそこから一歩進んだ、学術研究書の一歩手前の本の情報が、ネットではなかなか得られない。(たとえばアリストテレスなら、ロイドやアクリルの概説書とか。)
そういう学術書一歩手前の本は、ネットで紹介されているおすすめの文庫や新書を見れば、その本の参考文献や読書案内には書いてはあります。しかし、ネットにはなかなかのっかって来ない情報です。
そんな感じで、ネット見れば誰でも知れることの、もう半歩先を案内することができればいいなあと思っています。